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皆さん、こんにちは。

俺の名前は、高杉タカスギ シンです。

一文字加えたら歴史の人になりそうだね、と常々言われておりました。

年は23歳、1年半ほど彼女なし。

家族構成は、父、母、弟の4人家族です。

彼女が出来たら、ネズミが住む夢の国とか、お台場にあるハリネズミが住む所とかその近くの女神の砦とかに行くのを妄想するのが楽しかったです。



って現実逃避はここまでだ!何だここは?

俺はさっきまで運転してたはずなんだけど。


辺りを見回しても、木・木・木……

森?森の中?

車は?荷物は?

分からない事ばかりだ。服は会社帰りのスーツのままだし。


とりあえず少し歩いてみるか。

立ち上がった時にショルダーバッグが肩からかかってる事に気が付いた。


「森田カバン!!って中に何も入ってないって店員言ってたしなぁ」


森の中を歩くには革靴だと痛い。

何か出てきた時走って逃げれるのか、コレ?


あーっ、悩んでても仕方ないから道を探そうか。



時計を見て2時間くらい歩いた事に気が付いた時、何か森が拓けた場所が見えるって走った!


道!道だ!あった!



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



で?道があってどうすればいいんだ?

それにどっちに行けばいい?

てかコレが異世界ってやつ?


「よし、次は第一異世界人を探そう!」


イイ感じの棒を見つけて倒し進む方向を決めながら歩いていると、中身の無い筈の森田カバンに重みが増した。

開けて覗くと本が一冊入っていた。

これはまさか!!


ハイ出ましたよー。異世界辞典。


歩くのも疲れたから木陰に座って読む事にした。

前書きから読むか。


【異世界とは地球、大まかには現在住んでいる次元とは異なる次元に存在する世界の事だ。】


あぁ、うん。それは分かるよ。

背表紙を確認すると、子供向けの図鑑などを出している学業研究所の出版だった。

余り難しい感じに書いてなくてよかったぁ。


【異世界に行くには、転移と転生がある。

転生は、現世で死に、新しい人生を送る。生まれ変わりともいわれる。

転移は、何かの弾み(事故、召喚など)で異なる世界に行く事だ。

元の世界に戻れるのか、という疑問もあるが、転生であれば元の世界に戻る事はほぼゼロである。元の世界の肉体が死したための生まれ変わりであるからだ。】


ほーほー、なるほど。俺の場合は、転移って事か。


【転移は状況による。元の世界で死亡しかけ、そのタイミングで転移した場合は戻れないと考えた方がいい。葬儀も済まされ荼毘に付した後に戻ること出来ないであろう。】


荼毘に付すってまた難しい表現を……


【死に至るほどではない事故や召喚であれば元の世界に戻れる可能性はある。ただ、飽く迄も可能性であり、確定ではない。

気を付けなければいけない事は、事故であった場合、自分の死に際を思い出し、精神が崩壊する事だ。】


う…うん


【いきなり異なる世界に来て混乱する事も多いだろうが、異世界に行ってしまった人達の幸運を祈る。


追記:チートスキルを手に入れていた場合は気を付けて使うように。】


対象年齢何歳の辞典何だろうか。死とか出て来てるからそんなに低くはないのかな、とかどうでもいい事を考えていた。

いやいや、俺どうしてここにいるんだ??


ここに来る前の事を思い返してみた。

会社を出て、父さんと母さんへのプレゼントを買って、本屋に行った。

弟の誠への本を買って、くじ当たったから車に乗せて帰った。その途中……



あ!!!!思い出した!!!

飛び出して来た猫か犬を避けようとして車ごと川に突っ込んだんだ。

あ~じゃあ俺死んだんかな。


まぁ考えてても仕方ない。それにしても辞典というより異世界説明書みたいな感じだな。


パラパラ捲ってみるが、ナント!!白紙だ。

えぇぇ、本ですらないじゃないか。

表紙、背表紙を確認しても特に何も書いてないし、前書きをもう一回見直すと、前書きの裏ページに書いてあったよ。絶望的な文章。


【注:この本はご自身で書き込んで頂く辞典です。それっぽく書いて自分だけの異世界辞典を作りましょう。】


どうしよう、俺、泣きそう。


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