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カランカラン!!


「おめでとうございます!特賞です!」


店員の嬉しそうな声が響く。


俺は今、社会人になってからの初ボーナスを家族の為に使おうと思って、弟のご希望の物を買いに書店に来ていた。

その書店では、書店グループで対象の本を購入したら引けるというガラガラくじをやっていた。

ちなみに対象の本は……弟のご所望の本は……



【異世界に行ったら役に立つかもしれない辞典】


あーーー!予約するのとか買うのとかめっちゃ恥ずかしかった!

ネットで予約して買えば良かったよ!


「特賞はこちらです!【異世界に行ったら役に立つかもしれないグッズ】です!良かったですねぇ。これでいつでも異世界に行けますよ!今からお渡ししますね。かなり多いんですが、今日はお車でお越しですか?」


「いや、車で来てますが、本を欲しがってるのは俺じゃなくて弟です!」


「あーははは。分かりました分かりました」


くっそ!店員がにやにやしてる。

なんだよ、その恥ずかしがらなくても自分は分かってますって顔は~!!


昨今流行りの異世界。ホントに興味は無い。

異世界に行くより、いつか出来るであろう彼女と夢の国に行きたい!

そんな心の葛藤も虚しく。


「恐れ入りますが、量が量なのでご一緒にこちらへお願い致します。あ、お車に乗らない賞品はお送りさせて頂きますね」


俺の車は所謂ミニバンだ。免許を取り、車を買うとなった時に、いきなり弟に


「兄ちゃん!大っきい車がいいよ!異世界に行ってもとりあえず中で寝れるしね。荷物も沢山乗るよ」


両親も何故か乗っかってきて、


「お母さんねぇ、皆で温泉とか行きたいなぁ」


「父さんはな!父さんはキャンプしたい!!」


じゃあ、父さんがでかい車買えよ!

ってなわけで、父さんの援助もあり、家族に押し切られてミニバンだ。

てか初心者マークにミニバンて。

荷物は確かに乗る。でもでかいからバックモニターが無かったら駐車難しいんだよなぁ。苦手だし。ありがとう、バックモニター。


まぁそんなこんなで賞品のある場所にすぐ着いた。

んで、賞品を目にして俺の顔は多分笑顔が引き攣っていたんじゃないかと思う。


賞品は、アウトドアグッズ一式・調味料各種・調理器具・布団一組・食品などなど。

なんじゃこりゃー!!

いやいや、確かに異世界とか知らん場所に行ったら役に立つかもしれんが、どうやって持って行くんだ。


「あのー、普通これだけの量だったら後日配送になるんじゃないんですか?」


「仰る事は分かります。実はそれがですねぇ、このくじは当書店グループ限定の催しでして、企画担当の、あ、森田っていうんですが、その森田曰く『帰りに異世界に行ってしまうかもしれんだろ!!だから当日お渡し可能なら当日に渡すんだ!』って言ってましてね、各店舗置き場に困るというか、ゴニョゴニョ……。

あ、おまけ付けときます!先月発売した異世界絵本のくじなんですけど、予約キャンセルがありまして、特賞が出なかったんです。なのでそれも差し上げますね!!」


森田さん、経費的なん大丈夫??


何だか体良く不用品押し付けられた気もするが、弟が喜ぶんだったらいいかな。

んで?その賞品何かね?


「ありがとうございます……」


「こちらは、『異世界に行ったら役に立つものが詰まったマジックバッグになるかもしれないバッグ』です!まぁ中身の入ってない普通のショルダーバッグなんですけどね。うちのスタッフは森田カバンって言ってましたね。ハハハ」


「ハハハ」


申し訳ないが乾いた笑いしか出んわ。

とりあえず賞品という名の荷物を車に乗せるか。

後部座席を倒せば十分に乗るだろう。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



荷物を乗せ終わった俺は、買い忘れた物がないか考えた。

父さんには時計を、母さんには財布を買った。

んで件の弟には本を。

うん、これで全部だな。ついでに、じぃちゃんとばぁちゃんのお供えにぼた餅を買って帰ろう。


近所のスーパーのぼた餅が美味しくて、ばあちゃんいつも買ってたなぁ。程よく粒も残ってて甘すぎなくて俺も好きなやつ。

よし、奮発してぼた餅を2パック買おう!スーパーだから高くはないけど。


一通り買い物を済ませた俺は車に乗って帰っていた。


いつもの帰り道、いつもの通り車を運転して、なのに何でだ?

一体何が起きたんだ?



「ここは何処なんだー!!!!!」


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