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二十才以上年下の子が使う小細工を全て見通していたと思います
それから毎日のように電話するようになりました。頻繁に会うようになりました。彼には杉並区内のアパートに移ってもらいました。アパートと言っても、教会の二階でした。宗教法人の客室に暫く住んでもらうことにしたのです。教会で私は若者グループのリーダーみたいになっていたし、かなり発言力を得ていたので、私から牧師さんにお願いして部屋をかしてもらえるようにしました。アラキさんも喜んでいました。久しぶりに体を横たえて眠れると言って。
既に書きましたように、私は妖婦です。純粋にアラキさんの為を思っているようでも、常に何か反対のものが私の中にあります。ものすごく利己的な何かです。私が意識していようと意識していまいと、常にバックグラウンドで働いている何かです。十四年前の自分は気づいていなかったとしても、今振り返る時、はっきり分かります。
私は教えを分かち合う名目で、一方ではアラキさんを誘惑していました。アラキさんも馬鹿ではないので、きっと分かっていたでしょう。彼にしてみれば、二十才以上年下の子が使う小細工を全て見通していたと思います。