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私は妖婦
さらに私は妖婦です。先天性なのか後天性なのか、物心がついた年頃より、相手の心を操るテクニックを心得ていたと思います。美人ではありません。でも、十代後半には異性を夢中にさせる「何か」を使い始めていました。殆ど意識していない場合でも、やはりそれでも前頭葉の脳細胞では冷たく客観視する自分がいて、相手の心を見透かしつつ、「私がこのように言えば彼はこうするに違いない」「私がこんな振りをすれば彼は引き込まれるはずだ」みたいな実験を行なっていました。二十歳までには名人級の妖婦だったと思います。
心から愛したアラキさんにしても、私の餌食になりましたし、アラキさんがまんまと餌食になっていく事を、私は心の片隅で楽しんでいました。以下の『世田谷コネクション』で書いた数回など、今見れば、下心見え見えです。(私の下心です。こうした方法でアラキさんを釣っていた自分が、はっきり分かります。当時は意識下に近いレベルでやっていたのだとしても。)
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