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第7-5話 精霊の謎パワーとミスリル銀でランクアップ(中編)

 

「凄いですね……ミスリル銀の鉱脈がこんなに……」


 目の前にはキラキラと輝きを放つミスリル銀の鉱脈。


 ガリッ……岩肌に露出した白銀の鉱脈をノミで少し削りとる。 ミスリル銀のかけらを掌に載せて観察するが、おもわず感嘆の声が漏れてしまう。


「この純度、なんという事だ……これなら、ほとんど精製せずに加工できるんじゃないか? このレベルの鉱脈なんて、帝国の歴史上発見されたことが無いぞ……」


「にはは! ここの鉱脈はとっておきだからな! 好きに使うがよいぞ、ししょー!」

「そのかわりだな、きさまの新作スイーツを……!」


「あっ! ずるいサーラちゃん! アイナも食べるんだからっ!」


「……その”すいーつ”と言うものは、美味しいのですか? 主に肥料的な意味で」


 ……ミスリル銀より団子な女子連中は置いとくとして、これだけのミスリル銀があれば、カイナー地方の収入的にも大きな助けになるだろう。


 まずはアイナたちが使う武器に……また、最高の魔力電動効率を持つミスリル銀を使えば私たちのダメージ床も……。


「……主にコスト面で断念していた、究極のアレですね、兄さん?」


「くく……そうだともフリード……私たちのダメージ床が世界を制覇するのだ……」


「ぬおお……カールさんとフリードさんがマッドでカオスでアレな感じですっ!」

「サーラちゃん、世界のバランスを取ると言われる聖獣的に、アレはいいんですかっ?」


「にはは、面白そうではないか」


「……おなかすいた」


 怪しく笑う私とフリード。

 究極の金属であるミスリル銀を手に入れたマッド……天才ダメージ床技術者である私たちを止める者はだれもいないのだった。



 ***  ***


「試験採掘はこれくらいでいいだろう」


 あの後、任務としてついて来てもらった町人たちにも手伝ってもらい、坑道を補強。


 参式とアルラウネの力を借り、選定用の沈殿池を掘ると、川から水を引く。

 取水口と排水口には、魔法浄水器を取り付ける。


 ふふ……今の時代は自然環境への配慮も必要だからな……帝都環境局特A基準を満たす魔法浄水器……完璧である。


「えいっ! とりゃー!!」


 どぼ~ん!


 背後で豪快な水音が響く。


 何事かと思ってふり向くと、アイナがハンマーで粉々に砕いたミスリル銀鉱石を沈殿池に投げ入れたところだ。


「うわわ! カールさんっ! ”ミスリル銀”が浮いてきましたよっ!」


 水面の波が収まるころ、次々と白銀に光る金属の粒が浮上してくる。


 ミスリル銀は粒子が細かく、比重が軽いのでこのように水に浮かぶのだ。


「よしアイナ、その網ですくってくれ」


「わかりましたぁ!!」


 ……数時間ほどの作業で、20キロ程度のミスリル銀を採取することが出来た。

 実は、これだけで数十万センドの価値がある。


 僅か1日の採掘でこれほどの量を採取できるとは……恐るべき鉱脈である。


「さて、さっそく精製してみようか……コイツの出番だな」


 私は、道具袋からハンマーのようなモノを取り出す。


 槌の部分は耐熱魔導金属でできており、柄の部分からは魔導コードが伸び、コードと繋がったベルトを自分の腕に付ける仕組みだ。


「わふっ? それ、”ダメージ床伍式”ですか?」


 私が装備したコイツに興味を持ったのだろう。

 てててっと走り寄ってきて、私の手元をのぞき込むアイナ。


 ぶんぶんと振られるしっぽが彼女の好奇心を表している。


「うむ! アイナの”ソレ”がうらやましかったのでな……私も自分用に”伍式”をカスタイマイズしたのだ!」

「名付けて、”ダメージ床伍式・カールサインド”!!」


「”だめーじゆかごしき・かーるさいんど”!!」

「めちゃめちゃカッコいいです! カールさんっ!!」


「ははははっ! そうだろうそうだろう!」


 気分が良くなったわたしは、伍式の武器デバイス部分である、ハンマーを空高く掲げる。

 きらり、と夏の日差しに輝くハンマー。


「なんですかこの知能指数の低い会話……」


 冷静なフリードのツッコミは、さわやかな夏の風に流されていった。



「……おほん。 コイツは、大きな魔力を込めると武器にもできるんだが……メインの使い方はこうだ!」


 バチバチッ……ブイイイイインッ!


「わふうっ!? ダメージ床のスパークが、すり鉢状に収束していきますっ!」


 そう、ダメージ床のエネルギーをこのように一か所に集めることによって、超高温を発生させることができる。


 そして、これほどの温度があれば、魔法金属であるミスリル銀すら溶かすことができるのだ!



 どろり……見る見るうちに溶け出したミスリル銀は、液体となり耐熱皿に溜まっていく。


 試作品は……そうだな。


 サーラに頼まれていた爪楊枝は余り部分で作るとして、いつも力仕事をしてくれている彼女にプレゼントをしても良いだろう。


「??」


 不思議そうな表情を浮かべるアイナの目の前で、溶けたミスリル銀は形を変えていき……。


 しゅわっ!!


 沈殿池で冷却、余計なバリをカットして出来上がったのは……。


「これ……新しいメリケンサックと胸当てですか?」


「ああ! 頑張ってくれているアイナにプレゼントだ!」

「ミスリル銀製の胸当てに、”ダメージ床伍式・アイナカスタムきわみ”だっ!!」


「うおおおおおおおっ!? カールさんっ! 超すーぱーカッコいいですっ!」

「わ~い!! ありがとうございますっ!!」


 きらりと光るアイナの専用装備。


 ソイツを受け取った彼女は大喜びでぴょんぴょんと飛び跳ねる。


 ふふ、そんなに喜んでもらえたら、作った甲斐があるな。


「えへへ! さっそく装備してみますね……うおっ!? 軽っ!?」


 朝食を作っていたからか、着たままの改造メイド服の上からメリケンサックと胸当てを装備するアイナ。


 うむ、よく似合っている。

 装飾は、街に帰ってからだな。


 上機嫌なアイナを見てほっこりしながら、私は彼女に似合うカワイイデコレーションを想像するのだった。


「なんかこれ、着けてないみたいです! それに、魔力も……えいっ!!」


 ズドウンンンンッ!!


「……うおっ!?」


「わわっ! すごい!?」


「にはは、やるのう!」


 アイナが魔力を込めた瞬間、ドリル状の青白いダメージ床の力場は10メートル以上伸びて……。


「わふうっ!? カールさん、これ……以前のアイナカスタムの5倍以上のゲイン(?)がありますっ!!」


 どうやら私の可愛い犬耳メイドの拳は、本当に宇宙に届いてしまったようだった。


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