第195話 懐かしい時間
国王ハンスの挨拶が行われた後、立食形式の懇談会が始まった。
学院対抗戦の観戦に来た両親たち全員に対し、招待状を送り参加してもらえる人たちだけで王城内で行われており、和気あいあいと各所で話し声が飛び交っていた。
「お久しぶりです、ハンス国王」
「エリックさん、お久しぶりです。今日は懇親会と言う場でもあるので、国王はいりませんよ。一学院生の親として接して下さい」
「分かりました、ハンスさん」
エリックにそう言われて、ハンスは少し照れくさそうにしているとエリックの隣に立っていたリーリアに小さく笑われる。
「自分で言っておいて、恥ずかしそうにするのはどうなのよハンス」
「う、うるさいな。しょうがないだろ」
「こらこらリーリア。口が過ぎるぞ」
「エリックさんの言う通りよ、リーリア」
そこにやって来たのは、ハンスの妻でもあるティアであった。
ティアはリーリアに近付いて来て、昔の様に小さい言い合いを始まってしまう。
それを真横で見ていたエリックは小さくため息をつき、ハンスはエリックに謝りながら2人を止めようとするが、エリックに止められる。
「こういう時ぐらい、好きにやらせた方がいいよ。ティアさんも毎日王女して忙しくされいる様ですし、たまには発散と言う場や気が許せる相手との話が必要ですよ」
「そうですかね? 一応学院対抗戦にティアは出て、発散的な事は出来たのかと思ってましたが」
「あははは。女と言うのは、男が完全に理解は出来ないものなんですよハンスさん。と言う事で、少し向こうに行きましょうか」
「えっ、離れるんですか? あっ、エリックさん!?」
エリックはハンスの腕を掴み、軽く引っ張って行き言い合いを続けているリーリアとティアを残して、その場を離れて行った。
「本当にそう言う所は変わらないわよね、リーリアは」
「アンタこそ、変な所に真っすぐな所が変わってなくて面倒よ」
2人はそのまま言い合いをしていると、ふとハンスとエリックがその場から立ち去っている事に気が付く。
ハンスとエリックは、他の所で別の人たちと会話をしているのを見た2人は互いの顔を見て、小さく笑ってしまう。
「はぁ~何してるんだか。あんたとは、昔からこんな感じになっちゃうのよね」
「おい、別にいつもじゃないし、だいたいそっちから吹っ掛けて来るだろティア」
「はいはい。そう言う事にしといてあげるわ」
そう言ってティアは、近くの飲み物を2つ取るとリーリアに1つ渡した。
リーリアはそれを素直に受け取り「ありがとう」と口にする。
「少し場所を移さない? ベランダの方にも出れるから、そこに行かない?」
「いいわよ」
すると2人は懇親会が行われている会場のベランダへと出て行き、いくつか用意されていた机に飲み物を置いた。
「昔にもこうやって似た場所で2人になったの覚えてる?」
「何年前の話をしてるんだよ」
「嘘、覚えてないのリーリア!?」
「っ……覚えてないとは、言ってないでしょ」
リーリアはベランダの手すりに手を置き、ティアの方を向かずに答えた。
それを聞きティアは少し安心した表情を見せ、同じ様に手すりに両手を置き外の方を眺めた。
「今でも貴方と会った日の事を、昨日の様に思い出すわ。まさか『黄金の悪魔』に声を掛けられるなんて思ってなかったし、あの時は変な奴に目を付けられたーって思ったわ」
「それを言うなら、お前こそ『ボッチエリート』だったじゃないか。私はそれがどんな奴かと思って、優しさで声を掛けた上げたんだ」
「ボ、ボッチエリートって私の事?」
「あっ、これはマイナとだけの呼び名だった。確か『孤高の花』だったか? まぁ、どっちも似たようなか感じないか? 最終的は『月の魔女』になったんだか、いいじゃないか」
「ちょっと、何事もなかった様にボッチエリートを流そうとするんじゃないわよ、リーリア。て言うか、マイナもそう呼んでたの?」
「(マイナは言ってなかったが、ここは巻き添えにして分散させるか)」
リーリアは咄嗟に何の悪さもしていないマイナを巻き込むことを決め、勝手に一緒にそう呼んでいた事にさせた。
その後ティアによる追求があったが、リーリアは何とかかわしマイナがいる時に改めて話そうと少し強引に流れを持っていき、その話は一度終わった。
「(ふ~何とかなったな。マイナすまん。今度付き合ってもらったら、何かしら奢るとここに誓っておこう)」
2人はそのまま雑談をし、久しぶりに親友同士だけの話をし続け、持ってきた飲み物が空になった。
するとそこへタイミング良く、ウェイターがやって来た空のグラスを回収し、新しい飲み物を持って来ていたのでそれと交換した。
それからは、結婚してからの話に華が咲いていた。
「あれ、また飲み終わっちゃったわ。ウェイターさん、は今は中で忙しそうにしてるわね。リーリア空のグラスこっちに渡して」
「え、あっはい」
「それじゃ少し待ってて。私が先に取って来てあげるから。もし次無くなってウェイターが居なかったら、貴方が取りに行く番ね」
そう言ってティアは、少し足取り軽く室内へと戻って行った。
私はその後ろ姿を見届けた後、また外の景色へと目を向けた。
「(やっぱり、この場にマイナも居たらもっと楽しいだろうな。後ハンスも、少したどたどしい感じでいたら昔っぽくて懐かしくなるかも)」
私は学生時代の頃を思い出して、1人で思い出し笑いを浮かべていた。
するとそこへ、背後からウェイターらしき人物が飲み物はいらないかと声を掛けて来た。
私は「友人が今取りに行っているから結構だ」と伝えるも、背後のウェイターは一向に離れて行こうとはせず、その場に何故か立ち尽くしていた。
「(何? 何で後ろのウェイターはずっといるの? ……はぁ~こう言う事はあまり言いたくないけど、ずっと後ろに居られるのも気持ち悪いしな)」
少しため息を漏らしつつ、私は振り返りその事を伝える。
ウェイターは、それを聞き私に謝罪をして来たので、そのまま立ち去ってくれるだろうと思い私はまた背を向けようとした瞬間だった。
「そうか。やっぱりこの姿じゃ気付かないよな。君に会う為に、わざわざ来たんだけどこれが現実ってやつだねリーリア」
「っ!? ……貴方、どうして私の名前を知っているの?」
咄嗟に名前を呼ばれたので、私はウェイターの方へと再び視線を向けるが、そのウェイターとはどこかで会った事などなく今日が初対面の相手であった。
「(本当に誰? こんな奴とはあった事ないし、私はティアの様に有名って言う訳でもないから、どこぞの奴が私の名前を知っているのはおかしい)」
警戒し疑いの目を私が向けていると、そのウェイターは近くの机に手に持っていた物を置き、右手で顔を覆いながら話し始めた。
「なら、こっちの顔と声なら聞き覚えがあるかな?」
そしてウェイターが覆った右手をそのまま右へとスライドさせていき、改めてその顔を見た直後私は自身の目を疑って声が出なくった。
今目の前に現れたのは、20年以上前に自分を庇って死んでしまった友人であるバベッチであったのだ。
「久しぶり、だね。リーリア」
本作品にご興味をお持ちいただきありがとうございます。
皆様に楽しんでいただけるような作品を今後も書いていきたいと思います!
もし少しでも楽しんでいただけたなら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。
画面下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただければとても喜びます!
また是非ともブックマークして、連載や作品を追いかけていただけるのも大歓迎です!




