お茶菓子会議その③
「今日の午後16時頃カテリーナさんが対応していた窓口にて、冒険家志望の転生者が現れまシタ。」
フェルディアは資料を確かめながら淡々と男の特徴をかたった。
転生者、加藤英一 ニホン出身
黒髪の高校生で中肉中背、服装はニホンの学生服のようで黒い学ランを羽織っていた。
ここに来たのは毎度の如く放課後、学校の帰り道で交通事故に会い、気づいたら女神とやらに導かれてらしい。
なぜか転生者の殆どはこの国の言語がわかるのだがそれも女神の導きらしいんだとか。
女神の導きは結構融通がききがちなんだよなぁ…。
使用可能魔術は確認してるだけでも火属性のみ。
初代のような学習型なら厄介だが、今はまだなんとも言えないのが現状。
「使用可能魔法は中級の火属性だけかい?」
「断定は出来ませんがおそらく火属性だけでショウ
学習型なら何かと転生した時に予兆が来るはずですシ…
ですが、中級以上の火属性魔法も十分に考えられると思いマス」
「それは私も同意見だ。一度だけ魔法を見たが、あれは中級以上の火力だったと思う。」
そう言って私は机上にあるお菓子に手を出す。
どうやらアンナの手作りクッキーらしい。
うま、うまうま。
「んー…やっぱり試験を受けさせないとわかんないのかねぇ…。」
「とりあえず様子見と言った所でしょうカ」
「えー!もうパパっとやろうよ!」
「エレナちゃん、こう言うのはしっかり計画を建てないとだめなんですよ。」
「でもさでもさ、エレナならさ、こう…プチッとできるよ!」
純粋な目でエレナはえげつない発言をする。
確かにエレナ一人でも事足りそうだが…
「ダメだ、今回の件はアンナに任せようと考えている」
「えぇ!?私ですか!?」
「そうだ」
アンナはまさか自分とは思わなかったのだろう、もちろんアンナのオリジナル魔法との相性を考えれば無理もない話ではある。
「えぇー!なんでエレナじゃないのー?なんでー?」
「そ、そうですよ!私なんかよりエレナちゃんが今回は適任じゃないですか?相性も私よりいいですし…」
「丁度良い機会だし相性が不利な相手との戦闘に慣れておくのも大切な経験だからな。大丈夫、私とマティルも一緒だ」
「え、アタシもいくのかい?」
「え?もちろんだけど?」
「えぇ…」
「それじゃあ私とエレナちゃんはお留守番ですカ?」
「そういう事になるな」
「わかりましタ」
驚くアンナ、不満そうなマティルとエレナ、特になんとも思っていないフェルディア
各々絶妙な顔持ちの面子であった。