猿の前説その⑦
ん…?どういうことだ…?
この世界に来て何度目かの頭の整理だ。
はたして転生前はここまで頭を使った事はあるだろうか。俺自身この世界についてまだ知らないことばかりだが流石に限度というものがあるだろう。
とりあえず地図を確認する。
「は…?」
我ながらなんとも間抜けな声が出たもんだ。
そこに書かれていた地図は先程と同様わかりやすく簡素な地図になっていてギルドからスタートとして
役所までの道のりが書かれていた。
途中までは全く同じ道のりだったのが途中から大きな広場を突き抜けてから役所らしき建物のマークが書かれている。
やはり、この地図変わっている。
広場なんてこの地図にはもともと書いてなかったし
役所マークもついてなかった。
そして何より…。
「この役所…中世というより現代建築じゃねぇか…!」
広場を突き抜けた先にある高さ10mはあろう黒い箱のような一面ガラス張りのなんとも重厚な現代建築と言う他ない建築物が太陽の光を反射して佇んでいる。
「それに…すこし…いや、かなり太陽の位置がズレている…扉を開けるまで夕方だったのにこれは…もしかして昼に戻っている…?」
顔を上に上げると、そこには謙遜のけの字も知らなさそうにしている太陽が誇張なしでさんさんと輝きまくっている。このまま視認し続けると目が悪くなりそうなほどに。
これは疑いようもない。昼に時間が戻っている。
夕方から明日の昼へと時間が加速した方も頭では考えていたがどっちみち戻ろうが進もうが異常なことには変わりない。
…俺はもしかしたら異世界転生を勘違いしていたのかもしれない。正直、チートをつかい無双やら復讐やらハーレムやらを築き上げる第二の人生イージーモードを想像していた。それがこの様だ。
あの女神はなんで何も言ってくれなかったのか。
少しは想像しているものとギャップはあることぐらい分かっていただろうに…。
そもそも何なんだ。ちょっと待ってくれ。
1、地図を渡される
2、役所とおもわれた扉を開ける
3、そこには広場と現代建築物
4、時間が戻っている(加速している)
5、おまけに地図は変わっている
本当にどういうことなんだ…?訳がわからない。
しかし、ここでボケーッといわばどうにもならないことをどうにかしようとして突っ立ってるだけでは
事の解決には到底なりえない。ひとまずは役所の中に入って…現代と作りが一緒なら玄関先にフロントがあるだろう。そこでいろいろと聞ければいい。
「半日の疲労感じゃないぞ…。」