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冒険家ギルドへようこそ!  作者: 片栗キノコ
冒険家ギルドへようこそ!
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プロローグ 1 冒険家ギルドへようこそ!

第1章 冒険ギルドへようこそ!

朗らかな陽気が窓から差し込み、穏やかな午後がながれる。

ここは帝国の郊外の辺に位置する町、ファスト。

特産や名物などはあまりないが気候も温暖で

年中安定した作物も取れ、周辺に生息している

モンスター達もあまり強くなく非常に暮らしやすい町だ。

そこで私、カテリーナは冒険家ギルドの受付嬢をしている。

この町はモンスターも弱く武器屋や宿屋の値段もリーズナブルで安い。そのため人々からは冒険家の出発口とも

言われたりする。

もちろん出発口と言われるだけあって冒険家ギルドに来るお客さんは基本冒険家になりたい人や周辺の畑を荒らしているモンスター達の討伐依頼など色々と来るが

受付嬢には負担の少ない業務内容となっている。

ぶっちゃけ給料も高く、嫌な上司も生意気な後輩も厄介なクレーマー客もすくなく、想像以上の激務もなく、と

ホワイトな職場である事は認めよう。

なんなら近所の宿屋の受付嬢の娘より楽に仕事をしている。

ただし、一つだけの仕事内容を除けばの話だが…


「す、すみませーん…」


受付窓口から弱々しい男の声がする。

私は途中だった冒険家ギルド本部に届ける報告書を書くのを止め、声のする窓口の方へと早足で進んだ。

受付窓口を覗くとそこにはいかにもひ弱そうな

男性がポツンと立っていた。

例えるならモヤシがあだ名のような外見をしている。


「は〜い。こちら冒険家ギルドです。ご用件はなんでしょうか?」


営業スマイルは忘れず口角を限界まで上げる。

受付嬢として当然のマナーだ、働いて約6年この笑顔の練習は誰よりもやってきた自身がある。


「あ、あの…落とし物の捜索依頼なんですど…」


どうやら冒険家登録をしにきた訳ではないらしい。

てっきり登録をしにきたと思っていたが…

だが、冒険家ギルドは冒険家の登録だけが仕事ではない

冒険家ギルドは冒険家になりたい人や現役の冒険家

までにあらゆるバックアップやサービスで支えまた、

冒険家に依頼される仕事をその冒険家にあったレベルで

提供し、それに見合った報酬を依頼主から冒険家にトラブルのないようスムーズに渡すのが主な仕事だが

その他にも迷子の捜索依頼、落とし物捜索依頼、などの

依頼と呼べる依頼を全てギルドが引き受け

過去の依頼の整理や冒険家の管理や個人情報の管理

他の支部との依頼の連携などデスクワークなども意外と

多い。


「落とし物の捜索依頼ですね、では少々お待ちください」


そう言って一旦私は必要な書類などを取りにいくために窓口を立ち去る。


「確かここの棚に…お、あったあった落とし物依頼の張り紙と届け出BOX」


必要な物を取り終えると私はまた早足で受付窓口まで駆けつける。お客様を待たせてはならないのも受付嬢としてのマナーだ。


「お待たせしました。ではまずこちらの届け出BOXから

落とし物がないかちゃんと確認してから、無い場合こちらの書類に誰が、いつ、なにを落としたのかなるべく具体的に書いてください」


「はぁ…わかりました。」


そう言って男はガサゴソとBOXの中を漁り始めた。

この男が探しているのは一体何なのだろうか。

まぁ、大方家の鍵か財布かなにかだろう。


「もし、何か困りごとがあったり書類が出来上がったら言ってくださいね」


「あ、わかりました…」


そう言って私は今度こそ報告書を書くために自分の机へと戻ろうとするが…


「あ…書けました。」


「(チッ…書くの無茶苦茶早いじゃねぇか…

さっさと報告書をまとめて休憩に入ろうと思っていたのに…。)」


しかし、お客様を前にして休憩するわけにもいかないので机へ向かうはずだった踵を返し、また受付窓口へ向う

そこには書けたと思しき書類と…


「(なんだこれ、汚ねぇ字!なんて書いてんだ…?)」


そこには読めるか読めないかギリギリの文字の羅列があった。


「…ありがとうございます。ではこちらの張り紙、ギルドの依頼掲示板に貼っておきますね」


「お、お願いします…」


そう言うとモヤシ男はそそくさとギルドを出ていった。

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