相棒ホロケウの助言
また期間が近づいている……だと!
ま、まにあえーーー(笑)
「そんなこともあるのだな」
事情をホロケウに説明すると、溜息を零しながらそう言われてしまった。
自分でも分かっているからかまわないけど。
「僕ってやっぱり変……だよね?」
「まあ、珍しいとは思う。今まで聞いたことのない話だったからな。だが、変とは思わない。お前が言う場合に限りは」
「……どういうことだい、ホロケウ?」
「オレの知っている限り、お前は昔から他のオオカミとは違っていたからな。つまり――元からおかしい奴に、変な奴という感想は抱かない……ってことだ」
「ああ、そう……どうせ僕はおかしな奴さ。昔からぼーとしているって言われてきているからね」
「そう怒るな……。というか、ウォセ。怒りたいのはオレの方の筈なんだが?」
そうだった。おかしいボクの所為で迷惑を掛けられているのはホロケウであった。
「ごめんよホロケウ」
「……ふん、まあいいさ。それで、そのシカとはどうしていきたいんだ?」
問題の核心に触れられて、僕はすぐに言葉が出なかった。
「……会いたい」
口から出た本心は短く、中身がなかった。
また、ホロケウに怒られるかな?と思いながら、ホロケウの顔色を窺うと――、
「会えばいいじゃないか」
「え!?」
「何を驚いている?会いたいのなら会えばいい。会って見事に嫌われて来い、スッキリする筈だ」
「そ、そんな……」
「言葉も通じない、ましてや自分が喰われるかもしれない奴とどう仲良くなる気だ?会って誤解を解いてこい、解ければいいがな」
ホロケウは強い口調で語る。いつものことなのだが、いつも以上に語気が強い。
「――でも……」
と、反論しようと口を開ける前にホロケウに遮られる。
「それとも、このままずっと相手に誤解をさせ続ける気か?今までよくしてくれていたのは自分を出来るだけ肥えさせて食べるつもりだったんだな?と思われるのが一番悲しいとは思わないか」
「――!!」
ホロケウの言う通りだ。相手はきっと同じシカが何故か食料を用意してくれていると誤解している筈だ。
いつか僕が食料を用意していると分かってしまったら、裏切られた気持ちになるだろう……。
僕が逆の立場であったらそう思ってしまう。
「……ホロケウ!僕行ってくる」
「ああ行ってこい」
僕は雪に積もってしまった笹の束と花一輪を足で払い。それらをくわえて雪原を走り出す。
後ろを振り返りホロケウの顔を見ると、悲しそうな表情をしていた。
失敗するのが眼に見えているのだろう。
でも、僕は足を止めることはなかった……。