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爆縮と体温の機知(5)

溜息は平行に流れて行く

噛み締めた奥歯の力が

意味の無い物として

抜けていく

ぴんと張った

あの糸の先は

ただ、切れるしかなかった

体内で起ころうと

体外で起ころうと

違いのない

行き場のない

どうしようもない

霧雨に濡れて

もっと

ちゃんと濡らしてくれよと

ぽっと

鼻の先へ出す

浮かびもせず

沈みもしない

平行に流れて行く

目線と同じ高さで

平行に流れて行く


国道にも高速にも

定かでは無い

人のサイズの靄が

ちり紙サイズの不満が

流れている

途中のコンビニにも

パーキングエリアにも

そんな形の空気が

明るさに押し退けられながら

残っている

自販機の下に

ゴミ箱の隙間に

トイレの掃除用具の中に

人知れずに漂っている

吐き出した物が

喫煙所に置き去りにされたり

駐車場の車の下に

放ったらかしにされている

あの空気を溜息と言うなら

あの萎びた気体は

溜息になるのだろう

誰も気づかない

人間の排気ガスだ


満たされたいと願う

あの姿と

満たされなかったと落ちる

あの姿

ひたすらに

その方向へと

気体を押し出しながら

出来るよ

大丈夫だよ

新しい酸素を取り入れ

排気していく

重力に負けることなく

何かに押し上げられることもなく

想いの分だけ

真っ直ぐに飛ぶ

消えてしまうまで

ひたすらに飛ぶ

壁は通り抜け

山も貫通し

それでも飛んで

ゆっくり消える

風に巻き込まれ

溜まってしまう場所もある

消えそうな時には

影響を受けてしまうからだ

何だか

気持ち悪い場所があるのも

きっと、その所為だ

固められた物は

全く違う物へと変わる

変な吹き溜まりだ


窓を開けてしまうのも

少しだけ休憩したいのも

音楽を聴きたいのも

飲み物が欲しいのも

体内に溜まってしまった物を

気体を

吐き出してしまいたいからだ

息が詰まっているのではなくて

排気したい気体が

身体の中に溜まっているのだ

有耶無耶と曖昧を

上手く注入して

特効薬みたいに使いたくて

まずは自分から

まずは自分からと考え

他人に同じように

うつしていく

違う者が同じ場所に居ると

そんな形は起こる

あの整備している形を

理解して楽しめるなら

一緒に溜息を出しに行こうと言える

いや、もう

同じようなことはしているか

あれを大切にできてこそ

本当に人間らしいのだろう

だから

好きなように出せば良い

その気体は

浮かびもせず

沈みもしない

平行に流れて行く

目線と同じ高さで

平行に流れて行く

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