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思い出しました。

オリジナル小説初めて書きました。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。



7歳の誕生日を迎えるまで、少女は本当に本当に幸福だった。

いったい何が幸福かって、今まで過ごしていた日常が、いつまでも続くと無垢に信じていたところだろう。

少女は聡明で、特別美しい容姿をしていた。


少女の名はシアン・ブルーベル。美しいシルバーブロンドと、まるでブルートパーズのような瞳をもつブルーベル家の令嬢だ。家柄は中流階級の貴族で、2つ年上の兄と、2つ年下の妹がいる。

両親は美男美女のお似合いな恋愛結婚。自分の子供たちを溺愛している。

そんな幸せな家族のもとに生まれた、シアンの7歳の誕生日。

シアンは階段から転落、窓の外を眺めながら階段を下りていたら、ドレスの裾を踏んで頭から落ちた。

いつもよりめかしこんで、いつもは履かせてもらえない高いヒールを履きたいとワガママを言って浮かれていた。


しかし、天国から地獄へ転落するのは速い。

意識を失う瞬間、少女は前世の記憶を取り戻した。




芳醇な香りを放つ葡萄酒。クリスタルを盛大に使った鮮やかに輝くシャンデリア。豪華絢爛な、目もくらんでしまいそうなきらびやかな部屋の中心。

深紅の血だまりをつくり倒れている青年を、取り囲むように三人の美しい女性が跪いていた。


『はっ……結局、僕は裏切られたわけか。もはや僕の味方は僕だけだったということだろう。散々愛を吐いたくせに、三人がかりで僕を殺しにかかるとはな』


形の良い唇を血に染め、吐き捨てるように恨み言を言いながら憎々しげに女性たちを睨み付ける。

美しいシルバーブロンドと、氷のように冷たい輝きをたたえた青い瞳。血にまみれてもなお、その姿は美しく、青年は女を惹きつける魅力をもっていた。



『あら、王子。勘違いしておられますわ。わたくしたちはやり直すのです』


『は……?いったい何をやり直すと言うんだ……っう、』


『王子、貴方はわたしくしたち三人に愛されながら、誰一人として愛してくださりませんでしたね』


『それが、いったい、なんだって言うんだ…ウッ……』


『このままでは誰も幸せになれないと思いましたの。貴方様は優秀であられます。そのため、傀儡子にしやすい貴方様の弟王子に、貴族の支持が高まっています。……せめてわたくしたちのうちの誰かがお子を孕んでいれば状況は変わっていたでしょう。ですから、王子がどこぞの暗殺者に殺されてしまう前に、わたくしたちの手で殺してしまおうというわけです。……そして、今度こそ本当に愛してもらえるように、呪いをかける。……この際、愛されるためなら手段なんて選んでいられませんわ。』


『な……来世に干渉する、なんて、禁術でもできるわけがないだろう!…ッ、グゥッカハッ』


『できるかできないかは来世に転生してからお分かりになりますよ。…さあ、王子。安らかにおやすみなさいませ。その髪と瞳を頼りに、私はきっと貴方様を見つけてみせます。…だから、今度こそ私を愛してくださいね?そうでないとわたくし、何をするか分かりませんから。』



最後に見たのは美しく微笑み、心臓にナイフを突き立てるかつての正妃だった。




目が覚めて、シアンは全身の血の気が引いた。なんてことだろう。私はかの有名なすけこまし王子の生まれ変わりだったなんて!


しかしこのシルバーブロンドとブルートパーズの瞳が何よりの証拠だ。そして全部思い出した。王子として生まれ、正妃と側妃に殺される日まで。


それにしてもあの正妃本当にやるとは!


目を覚まして家族と乳母に心配して囲まれながら、少女は生まれ変わったであろう元正妃達と、どうやったら再会を回避できるか頭をフル回転させていた。



これは、厄介な呪いにかけられた少女が、色々頑張りながら最愛を見つける物語。




ぼちぼち更新していきたいと思います。

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