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リビングデッド〜命の雫〜  作者: 悟飯 粒
学校の怪異その1〜屋上の首吊り場〜
15/25

クマムシコールドォオ!!!

新聞記事の要約がよく分からなかった人用に、後書きに凄まじく簡潔に書いたあらすじを書きます。わかったという人も、「こんなクソ文章でわかるか!」って人も、読めば理解の一助になると思います。

学校創立は104年前、1910年に行われた。当時から理系を養成し、地域内外でエリート高等学校とみなされていた。理系学校ということで日本中からエリートが集められ、戦時中ですら勉学に勤しむ。その為、世の富豪や成金は、その学校か陸軍士官学校かのどちらかに、安全の為に息子を入れる風潮になっていた。愛国心を謳いながら安全を謳歌できるのだ、これほど楽な場所はない。栄え、各界とのパイプも着実に増えていき、学校は末永らく安泰かに見えた………

事件は今から75年前、1939年に起きた。学校の屋上で3人の自殺者が出たのだ。この年は第二次世界大戦が始まった年で、理系の人間に対する需要は跳ね上がっていた。それはつまり学校への期待も膨らんでいるということで、3人の自殺者が出たくらいならそこまでのダメージはない。そう考えた学校は自殺者が出たことを発表した。

しかし学校の目論見とは反対に、発表を聞いた途端子供を辞めさせるという親達で溢れかえった。どうやら自殺者が出たということを、「この学校には行き届いた設備とストレスケアがない」と判断したのだろう。また、この学校以外にも別の理系学校が複数個、この学校ほどではないにしろ隠れるように功績を積み立てていた。それを目敏く感知した親達は一斉に学校を辞めさせ、別の学校に入れさせるに至った。


「そのせいで学校の経営は思いっきり傾いたわけだ。一時休業から国民学校、女子校を経て今の状況に持ってきたと………時代の流れに必死に食らいついてよく頑張ったな。褒めてはおこう。」


(しずく)は新聞を元の位置に戻すと、体を思いっきり伸ばした。


「「あ、あ、あ、あ……」」

「………なんでお前らここにずっといるんだよ。凍え死ぬぞ。」


約1時間の調べ物の間、私たちはずっとこの場所で、雫が読んでいた新聞を眺めていた。お陰で体が冷え切って震えが止まらない。歯がガチガチなってるし、膝なんてもうプルップルさ。


「ふー!!死ぬかと思った!!」

「だからって外出た瞬間にあったまりきるなよ。クマムシ以上だぞ。」


私達は新聞の部屋から出て自習室に入った。智子(ともこ)はいまだに震えているけれど、まぁ私は頑丈だけが取り柄だからね!すぐに復活しちゃうのさ!


「あんたなんであんな新聞読めたのさ。」


私はスポーツドリンクを飲みながら、雫に尋ねた。

なんか左から文始まってるし、漢字がいつも使ってるのと形が違うんだよね。言葉遣いも難しいし……


「ん?そりゃあまぁ……慣れだな。」

「ふーん?」

「………慣れだ。それ以上のことを言うつもりはない。」

「隠し事とかいかがわしい……」

「これは隠してるんじゃねーよ。お前にだけは言いたくないだけだ。」

「それを隠してるって言うんじゃないの!?」

「いや、言わないだけだ。後ろめたい気持ちは一切ないが、お前にだけは言いたくない。」

「なんでぇ!?こんなに誠実な私に対してその仕打ちはありえないわぁ!!」

「お前が誠実だったら死の商人も顔が真っ青だわ。もっと自分を理解したらどうだ。」

「私の肉体と魂は素晴らしいってことはわかるさ!!」


この類稀なるバディ!!天才的な頭脳!!人を思い遣る心!!これら全てを兼ね備えた私に敵などいないわ!!


「……肝心なところで的外れだ。やっぱお前はバカだよ。」

「バカじゃないもん!!」

「あっそ。」


朝の10時ごろになった。窓から見える通りを歩く人が増え始めた。雲間にチラつく晴れ模様が、外出しやすさを示している。みんなはショッピングとか遊びとかに向かっているのだろうか。

………あれ?なんで私ここにいるんだ?買い物をするはずだったのに……


「…………結局あっただろ、自殺。」


私はいつショッピングセンターに行こうかと考えていると、雫が自習室の出入り口を眺めながら聞いてきた。


「これでお前も納得したか?」

「………昔あっただけだし。今も起こってるとは思えない。」

「…………そうかい、そいつは大変だな。」

「……………」


自殺なんてあるわけがない。身近な所で誰かが死んで、気づかないわけがない。学校が、人が、空気が、死を隠すわけが………


「でも認めなきゃいけない状況にあるのは確かだ。首突っ込んじまった以上腹くくれよ。」

「………まだ決定的なのは見つかってないもん。いままでのはあれでしょ?えーっと………」

「じょ、状況証拠。」


いままで凍えていた智子がやっと口を開いた。そして口をグニグニと動かし筋肉をほぐす。


「確かに色々な情報が合致し始めてはいる。でもそれは結局今から遠い昔の情報だったり、編纂された噂話だったりと確実性はない。それは認めるよね?」


智子が体を震わせながら雫に聞いた。


「………まぁな。」


うぇーい!!いいね智子やっちまえぇ!!


「でも私達も認めなきゃいけないと思うの。合致し始めているということは、偶然では処理しきれない何かがあるということを。全否定は……多分もう無理だと思うから。」


ええー………やだぁ。こいつのこと認めたくなぁい。


「…………まじ?」

「まじまじ。」

「……マジョリカパール?」

「あんたつけてないでしょそんなの。」


むーー……確かに認めなきゃいけないようだ。癪だなぁ。


「…………」


私達のやりとりを見た後、雫は立ち上がって出入り口の方に向かった。


「ん?どこ行くの?」

「しょんべん。」

「あのさぁ……もっとこう、[トイレ]とか言い方をさぁ……」

「んじゃピィ。」

「なら許す!」


ガラガラっ

雫は出て行った。


「……アヤさぁ、ピィの意味知ってる?」

「ん?全然。セルフ修正音?」

「…………やっぱりアヤと一緒にいると救われるなぁ。」


ガタガタと体を震わせながら、智子は薄く笑った。


「自分のままでいて良いんだって………救われる。」


???……どういう意味?


「自分のままも何も……自分は自分なんだからさ、生きているだけで自分のままでしょ?あれ?なんか自分言いまくってよくわからなくなったな。あっはっはっは!!」

「………うん、多分そうなんだろうね。」


うーん、難しい話をしてると頭がパンクしてしまいそうになる。なんとか話を変えられないかなぁ。あっ、そうだ!


「そういえば今日は雫と仲良いじゃん!昨日までは嫌ってたのに!なんかあったのぉ?」


私はニヤニヤしながら智子に聞いた。

まぁ間違いなくありえないけれど、これも定番のネタというやつさ。


「………そうした方が、アヤは幸せでしょ?」

「んん?」

「私はもう変な意地を張る必要がないからさ。アヤの為になることをしたい。それだけなんだ。」

「???……う、うん。ありがとう?」

「………ふふっ、どういたしまして。」


智子が笑った。多分、いままで見たきた中で1番綺麗だったと思う。なぜ笑ったのかは全然わからないけれど。


「……………」


雫が背中を預けている扉の先にはアヤ達が笑いあっていた。対照的に雫は鋭い視線で奥に広がる廊下を見つめ続ける。

気配が増えた……いや、濃くなったのか?


「…………保険かけとくか。」


雫は最後、閑散とした闇を見つめながら、自習室に消えて行った。

自殺者が出たせいで信用がなくなり、世界レベルの学校が潰れました。しかし政策の1つを利用することでなんとか再建しました。以上!

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