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リビングデッド〜命の雫〜  作者: 悟飯 粒
学校の怪異その1〜屋上の首吊り場〜
14/25

話は加速する

タンタンタンタンタンッ!!!

1、2、34と加速していく走り!!そして対象との絶妙な距離になった瞬間、軸足の左足で思いっきり踏み込み、地面と首がほぼ平行になるように体をひねりながら飛び出す!!


「脊髄断裂キィーック!!!」


ゴリン!!!

そして思いっきり(しずく)の背中に膝蹴りをかました!!

手応え……あり!!今度こそ悶絶させてやろうじゃない!!


「あれ?」


おかしい。私の身体が前に進まない。雫の背中に蹴りをかましたのだ、私の体重に耐えきれず雫の体が前のめりになるはずなのに一切動かない。

体が硬いのはよくわかっていた。痛いほどよくわかっていた。でもこれは………


ドサッ

私はその態勢、位置のまま地面に倒れこんだ。

まるで岩だ。イライラして巨大な岩に前蹴りをした時みたいな、スッキリ感と無力感をふつふつと感じる。


「なんでお前ここにいんだよ………」


スッ

雫が私に手を差し伸べた。

………上から目線で腹立つなぁ。


「……ふんっ、ショッピングよショッピング!!女の子なんだから年がら年中ショッピングよ!!」


私は雫の手を叩いて勢いよく立ち上がった。

ひぃー!!右膝痛すぎぃ!!半月板割れたんじゃないのこれ!?


「お前女をなんだと思ってんだ。」

「え?女子力の塊?」

「………こういう幻想がモテない男を創り出すんだよな。」

「そこには同感。」

智子(ともこ)ぉおお!?なにあんた雫の味方してんのよ!!そこは否定してよ!!」

「アヤは女なんだから別に良いでしょ。」

「やだぁ!!こいつの意見を否定できないのがやだぁ!!」

「じゃあ更にお前を否定してやる。お前が蹴った部位は背骨の腰椎だ、脊髄じゃねぇ。バカだろお前。」

「背骨なんて全部同じようなもんでしょ!!」

「アヤ…………」


智子の哀れみの目!!

見るな!!そんな目で私を見るなぁ!!


「脊髄とか腰椎とか見分けつかなくなるぐらい背骨をバキバキにしてやる!!」


シュッシュッ!!

私のファイティングポーズからのシャドウボクシング!!雫と背骨に恨みを込めて、唸るぜ私の炎の拳!!


「……まぁ、なんだ……その、あれだ。お大事にな、色々と。」


そして雫は私達の元から離れていく。


「…………」

「……………」

「………………」

「……誰が[頭おかしい人]だぁあ!!!」

「いや言ってなかったよね!?そんなこと一言も言ってなかったよね!?」


私はバッグからフライパンを取り出し、雫に向かって振り下ろす!!


「っつ……」

「……あれ?消えた?」


フライパンを振り下ろした瞬間、雫が私の目の前から消えた。音もなく、前ぶれもなく、忽然と。


「金属はやめろ、魂がざわつくだろうが。」


ヒタッ

声と共に現れた、喉に対する冷たい感触。

いつのまにか後ろに回り込んでいた雫の細く白い指先が私の喉を捉えていた。


「え?ええ?」

「……落ち着け。」


その言葉と雫の冷たい指が、興奮していた私の感情を鎮めていく。鎮めていくっていうか……寒気が………

ブルッ

命の危機を感じて背中に悪寒が走った。冷や汗が止まらないんですけど。


「……んで、なんでお前フライパン持ってるんだよ。」


私が意気消沈したのを見計らい離れた雫が聞いてきた。その言葉で私はなんとか我に帰ることができた。

……なぜフライパンを持っているか?ふふっ、ふふふっ、はっはっはっはっ!!そんなの決まってるでしょ。


「花嫁修業中よ!!」

「………花嫁ってフライパンで人殴ろうとすんの?」

「………包丁ならケーキに刺すけど、フライパンはちょっとなぁ。」

「料理ができない私はフライパンを肌身離さず持つことで!!フライパンのイメージを頭に焼き付けてフライパンマスターになる予定なのよ!!どうだまいったか!!」

「無視すんじゃねぇよばか。」

「ばーか。」

「ともこぉお!!!あんたがそっち側行ったら色々とキツイんだけどぉ!?」

「んじゃそういうことで。」

「逃げるんじゃないこのチンチクリンがぁ!!」


思いっきり雫の後頭部にバッグを投げつけた。


「あんたみたいな根暗もやしが外出なんてどこに行く気なのよ!教えなさい!」

「……………チッ。」

「教えられないの?うわーーいかがわしいとこなんだぁ。マックとか?」

「その理論でいくとアメリカのいかがわしさ半端ねーぞおい。………図書館だ図書館、くんじゃね」

「ぶふーーっ!!根暗っ!!もやしっ!!ハウスダスト症候群!!」

「あとでマジで覚えて」

「可哀想だから麗しの私がついて行ってしんぜよう!!喜ぶが良い!!」

「本当話き」

「しみったれた空気をまるで換気扇のように浄化してくれる!!あっはっはっはっはっ!!」

「………………しね。」


というわけで図書館に来た。

この町はショッピングセンターと図書館が結構近い位置に建設されている。なんか町がショッピングセンターを街中に誘致したお陰だと、智子がさっき言っていた。私はそう言うのは興味ないけれど、町の中心地に施設が集まるのは便利で嬉しい限りだ。

そして図書館はというとかなり古い。かなり歴史があるらしく、建物の一部は県指定の文化遺産に認定されているらしい。まぁ、そこには私達一般人が入れるわけじゃないから関係ないけれどね。それよりも2年後に改築工事をするってことの方が興味深いよね。図書館なんて今後行く予定ないけど!


「てかなんで図書館に来たの?こんな地味な場所……」


まぁお似合いではあるが、転入最初の休みに来るところではないと思った。こんな勉強と知識しかない場所………うちの学校なら尚更だ。


「……調べ物。」


そう言うと雫は一階の部屋に入った。私も後についていくが……寒っ!なにこれっ、さ、サムィ!!なんでこんなに寒いのよ!夏だからってクーラー効かせ過ぎ!


「この気温じゃないと紙は保存ができないんだよ。もろいからね。」


ガチガチ震えている私を追い抜き、智子は近くの棚に手を伸ばした。そしてその紙束を広げた。


「平成2014年3月27日、4ヶ月前の新聞記事ね。ここは新聞の保管場所、歴史と事件が詰まってる。」


カツンカツン……

雫と智子はドンドン奥へと進んでいく。


「学校側は多分自殺を大っぴらに発表しないだろう。ただ、学校にはそういうのを報告する義務があるんだ。しないなんてことはまず常識的に考えてありえない。」


2人の姿を震えながら追っていく私。

……雫の背中を見て、彼は寒い場所がよく似合うなと思った。


「しかし学校内部と生徒間の情報を見る限り、やはり報告はしてないんだろうな。なぜその義務を放棄する危険を冒すのか?いや、冒しつづけているのか?それは………」

「…………学んだから。」

「…………」


智子の答えに、雫は顔を少しだけ後ろに向け目を合わせることで肯定した。


「最初に自殺が起こった時にきっと発表したんだ。そして………何かがあった。現在にまで尾が引くほどの、義務を放棄しなければならないほどの何か………そうすると話が通る。」


雫は立ち止まった。

そこは約100年前の新聞が並ぶ棚だった。


「………引き返すなら今だぞ?」

「……………」


私はここの寒さと、雫の話とそれをイメージした時の気持ち悪さと、そして、活字のあまりの多さに吐き気を覚えた。

どうしてもつまらない部分を話全体の最初に持ってきちゃいます。実力不足なのは分かってるんですけどねぇ……どうしたものか。

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