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電子一夜物語  作者: メフィストフェレス
23/29

夢と幻想の狭間で。


私の行く所に平穏はない。


ーーいや、違う、人は争うように出来ている哀しい生き物なのだ。


だが人は、優しい生き物でもある。


ーー力なき優しさなど無意味。ただ己の身を削るだけ。


身を削る事を厭わない勇気だってある!


ーーその結末はいつも悲劇ではないか!

砂漠の街も!

ハルノクニも!

極夜の城も!

結局は我を通したものが局面を動かしてきたではないか!

お前は何を得た?

お前は失ってばかりだ。

どうせ傷つくならば何かを得れば良いものを。

優しさと言う幻に惑わされお前は傷を増やす。

滑稽だな。


私は・・・・道化だ。いちいち傷ついては道化は演じれぬ。

それに私は何も得てない訳ではない。

人々の強さを見た。心を見た。勇気を見た。愛を見た。優しさを見た。信念をみた。覚悟を見た。

決して無駄にはしない。


ーー無駄に?ふふふ、無駄にしない?ふははは。

お前はそれらをどこで説くつもりだ?

お前の行く先は破滅ばかりなのに。

お前の説くソレでは破滅には勝ち得ないのに。

痛いほどわかっているはずだろ?

もう、捨ててしまえ。

心も、勇気も、愛も、優しさも、信念も、覚悟も!

それが真の強さだ。

そうすれば傷つく事はもうない。


もう・・・・傷つかない?


ーーそうだ。もう傷つかないのだから、もう癒される必要はない。もう他者をもとめる必要もない。


モウ・・・・必要ナイ?


ーー仮面を捨てろ。自分の道を探せ。人の物語ではなく、自分の物語を紡ぐのだ。


ワカラナイ。仮面ヲ捨テタ私ハ何者デモナイ。誰ニモ必要トサレナイ。


ーー他者に必要とされるな。他者を必要としろ。仮面を捨て、一人の人間として、生を謳歌するのだ。人々を笑わすのではなく、笑う側に回るのだ。


ソノ他大勢ニハ・・・ナリタクナイ。


ーーならば朽ちろ。道化のまま、見るものもいない舞台で一人踊り続けろ。その足が折れるまで。その声が枯れるまで。


ワカラナイ・・・ナリタクナイ・・・ナリタクナイ・・ワカラナイ・・



私は・・・地獄行きが確約された追放された悪魔祓い・・・?


ワカラナイ


私は・・・殺しの悪魔を従える白髪の呪術師?


ワカラナイ


私は・・・悠久の時を生き、時間の理を手にした錬金術師?


ワカラナイ


私は・・・無から創造された自律したゴーレム?


ワカラナイ


私は・・・平穏な生活をしながらも人々に迫害された怪物ミノタウロス?


ワカラナイ


私は・・・殺しあいの末に生き残った魔女の末裔?生き延びる為に魔道に堕ち、混沌を統べる魔人?


混沌・・・?魔道・・・?コロシアイ・・・最後の一人・・・。

蠱毒ノ法・・・。コドクノホウ・・・。


胸に空いた穴はいとも簡単に道化を飲み込みました。

自身を見失い、意識もないままに彷徨い歩く。

歩く事はできる。喋る事もできる。

ですが意識は薄く、記憶もできない。

何が夢で、何が幻想か。

ワカラナイままに時を過ごします。




そう、最後の魔女に会うまでは。


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