01-009 明暗。
ようやく、自由の身となれそうな主人公です。
散々飲み食いした揚句、カラオケやら余興やらまでやらされて、俺はへとへとだ。
勇者様御一行は、酔い潰れておやすみ中だ。
…さて、俺は夜逃げしなければ。
いや、既に夜明けだ。
朝立ちだな。
…そんな事はどーでもいい。
こっそり魔王の玉座の後ろの扉の中へ潜り込む。
階段を下れば宝物庫だ。
俺は宝物庫へは向かわず、そこで蝙蝠に変身する。
あんまりカッコ良くはねーが…贅沢は言えねー。
宝物庫の入口から、真上に舞い上がる。
…気付かねーよな、こんな隠し出口。
垂直に20mも上がってゆくと、やがて城の屋上に出た。
…夜明けか…。
俺は蝙蝠から飛竜へと姿を変える。
どっちへ行くかな…。
とりあえず、当分は放浪の身だ。
正体を隠しとかねーと、連中がまた俺の討伐に来なきゃならなくなっちまう。
・・・・・・・・・・
後に俺は風の噂に聞いた。
勇者様御一行は、魔王軍を打倒し、華々しく凱旋したようだ。
城下はお祭り騒ぎだったらしい。
勇者様はアレス王として、とりあえず王座に収まったらしい。
…あの柄の悪い賢者姫が嫁さんか?
そこは聞きそびれたが…まぁ、尻に敷かれそうだな。
放浪の旅に立つ魔王と、凱旋する勇者。
奇妙な妥協をして、この世界を共に楽しむ事にしたようです。
…やっと、プロローグの終了です(笑)