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01-008 名案。
なんとか勇者様と交渉に入れた主人公。
…さて。
…俺の言葉に、難しい顔で黙り込む勇者様御一行。
やがて誰からともため息が漏れ…
「あたし、まだ戻りたくないな…。」
他の三人が頷く。
「なぁ?俺を討伐するのは止めて、この世界で暮らしたらどうだ?」
「拙者、戦意のない相手を屠るのは、些か…」
あ、忍者、案外いい奴。
「まぁ、魔王退治は暫く保留でも、いーかなぁ…」
勇者様も、やや乗り気だ。
「儂はとりあえず、テメーを殺ってみてーけどなぁ?」
…う、鬼畜ドワーフめ。
「だけどさ…ここで魔王を倒さないと、カッコ付かないじゃん?」
…また、黙り込む四人。
その時俺に名案が閃いた。
「なぁ?魔王が既に城から逃げ出してた事にしねー?」
四人が俺の顔を見る。
「…オメー、まだ逃げ出してねーじゃん?」
「だからよー、俺が仕組んだ宴会に騙されてるうちに、俺がこっそり逃げ出してたって筋書きでさー」
その後は五人で、明け方まで宴会を繰り広げた。
…まぁ、俺は店員役だけど。
ようやく、主人公は勇者様御一行との妥協点を見つけたようです。