05-011 商人ギルド証
あの宿屋のヤツの勧めでもあったし、とりあえず俺は承諾した。
とりあえず、だけどな。
俺は別に商人がやりでー訳じゃねーし、隠れ蓑になればよいだけだ。
だか、寄付金ゼロで高ランクギルド員かぁ?
なんかソレは、悪目立ちしそーだな。
別にこの天文学的価値らしいジュエリーを寄付してやっても、俺は痛くも痒くもねーんだが、そんな事をしたらコイツらが、それこそ心臓麻痺でもしかねー。
俺は、善良な魔王だからな。
そんな残忍なこたぁしねーぜ。
替わりにテキトーに魔法で作った、小粒の宝石を寄付してやった。
俺は、善良な魔王だからな。
「こちらが、当ギルドのギルド証にございます。本来であればもっと更に上のランクがルイス様には相応しいのですが、1ギルド支部長の権限では、こちらが最大限にございます。誠に申し訳ございません。」
「あぁ、細かいこたぁ構わねーぜ。俺は、ここで商いをする訳じゃねーからな。」
「ありがとうございます、ルイス様。ご寄付頂いた宝石だけも、最高ランクに相応しゅう価値にございます。」
テキトーに鷹揚に頷いて、商人ギルドを出る。
護衛を付けるとか、従者を手配するとか言ってたが、むしろ邪魔なだけだ。
そもそも国元から見本を多数携えて、あちこちで披露して全く無事な理由を考えてみろと言ったら、納得したようだ。
本当のところ、現代国家の軍隊が相手でも、俺が負けるわきゃーねーからな。
ましてやこの世界で俺が負けるわきゃーねー。
…やべ、調子に乗るトコだったぜ。俺は魔王だから、転成勇者だとかとは、相性がわりいんだった。
くわばらくわばら…
さて、テキトーに街中をぶらつきながら、宿屋へ帰るとすっか。
とりあえずギルド証っつー、身分証明も出来たしな。
ふむ、商人ギルド証が。
ははは、思い付きなルイス・ティファニーっつう、偽名が書いてあるな。
ランクは………魔王ランクかぁ。
…………?
な、なんちゅーランク名なんだよ!!
普通、ゴールドとかA級とかじゃ、ねーのかよぉ!!!
因みに、これより上のランクだと、エンジェル級とかゴッド級とかに、なる訳で(笑)




