05-007 勧誘
宿屋に入って部屋を取ると、宿屋の店主だか番頭だかみてーな奴が声を掛けてきた。
「お客様は、商人の方ですか?」
「ま、まぁそんなトコだ。」
テキトーに相槌を打っておく。
俺は商人っぽく見えるのか。
「お客様、商人ギルドへは行かれましたか?」
「あん?なんだそりゃ?」
「この街には、商人ギルドという組合が御座いまして、登録しておくと、様々な優遇措置が御座いますよ。」
「優遇措置?」
どうやら話によると、ギルドへの寄付金でギルド員のランクが上がり、様々な優遇措置、つまり税金やら店の警護やら、様々な益があるらしい。
「まぁ、俺は他国の大商会の三男だからな。いまは、各地で珍しい商品になる物がねーかと旅してるトコだから、店を出す気はねーぜ?」
「それでしたら尚更、商人ギルドに加入しておくべきで御座いますよ。」
「あん?」
「商人ギルドに加入すれば、各商会との繋がりが簡単に持てますので、各商会の取扱い品の確認が簡単に出来ますです。」
「…おめー、随分と商人ギルド推しだなぁ?」
「そりゃもう、宿屋も商人の一種ですし、私共は商人ギルドの宿屋部門の役員を兼任しておりますので。」
…そうか、宿屋はサービス業、サービス業は商業か。
ゲームとかじゃ宿屋を経営して繁盛させるヤツなんざ無かったから、気付かなかったぜ。
宿屋ゲーム…?
どう考えても、ツマラナそーだな。宿屋ゲームなんざ有るわきゃねーか。
まあ、本当は商人ギルドなんざ用はねーが、アリバイ代わりに所属しとくのも手か…
「商人ギルドへの登録では、主要商品の提出をすれば、簡単で御座いますよ。」
…あん?主要商品だぁ?




