03-006 悪魔の王の所業
そしてまた、エルフの美少女の視点です。
「う、うぐぐっ!」
私を押さえつけた魔王は信じられないことに、親友の、親友の肉を…私の口へ押し込んだのだ。
私は…私達は無力だった。
絶対に勝てるわけの無い相手だったのだ。
…でも…
親友の肉を、私に無理やり食べさせるなんて…酷過ぎる…。
あまりの仕打ちに私は、身体の力が抜けていった。
廻りの仲間達もあまりのことに身動きが出来ないようだった。
悪魔の王、魔王。
そいつはその名に恥じない非道な行為を行ったあと、混乱に陥った私達を後目に、悠然と去っていった。
森の広場に残された私達。
周囲に散らばる友達だった鹿達の屍を、私達は黙々と弔った。
「許せない…。」
あの魔王、絶対に倒す。
親友だった鹿の女王、ピュリカの魂に誓って。
ごめん、ピュリカ。
貴女を食べさせられてしまった私を『許して』とは言わない。
貴女を食べさせられた罪を背負って、私は誓う。
あの魔王、絶対に…絶対に倒す!
…こうしてまた、魔王は討伐される原因を作ってしまったのでした。
なお、その日以来、凶獣も現れなくなったので、あの凶獣の正体は魔王だったのだと、エルフ達は考えたのでした。




