03-005 狂乱の美少女
だけど、主人公の側から見ると…
「い、いやぁぁ!」
なんだよ?いきなり女の悲鳴とか?!
次の瞬間、廻り中から矢が飛んできた。
ぉぃぉぃぉぃ、俺が何をしたってぇんだよ?!
素早くマントを翻し、飛来した矢を弾き飛ばす。
そして、リーダーらしき女を捕まえて…
「くそぉ!離せ!離せぇ!!」
…泣いてやがる?
俺が捕まえた女は、若く美しいエルフの少女だった。
押さえつけていると、周囲から弓を構えた女エルフ達が現れた。
…エルフって…揃いも揃って美人なんだな。
いや、そんな感想を言ってる場合じゃねぇか。
「みんなっ!私に構わずコイツを撃って!なにをしてるのっ!」
か、過激な奴だな。ってか完全に気が動転してないか?
美少女がこれだけ狂乱しているのは、初めてみる気がする…
「でも、リーダーに当たる…」
「いいから撃ち殺して!」
「うぐ…撃て!」
ぉぃぉぃ、勘弁してくれよ。
軽く魔法を使って、エルフ女達が構えた弓を破壊する。
流石に…美女達を傷つけるのは、俺の趣味じゃねぇ。
「こ、こいつ魔王!?」
「太刀打ちできない?!」
廻りのエルフ美女達が狼狽える。
押さえつけたリーダーらしき美少女が泣き喚く。
「くっそぉ、殺せぇ!慰みモノにする気なら、いっそ殺せっ!」
…俺、最初からそんな気はないって。
ふと、俺は片手にまだ、焼いた鹿肉を持ったままだったことに気が付いた。
「これでも喰って、気を落ち付けろよ。」
俺は、押さえつけているエルフの美少女の口へ、鹿肉を押し込んでやった。
こうなるわけで。




