02-003 自然の摂理
とりあえず、気の向くままに。
バギッ、ズバン!
俺が剣を振るうと、巨大な狼は真っ二つになり、そして灰になって消えていった。
ボスを一撃で倒された狼の群れは、散り散りになって逃げてゆく。
まぁ、逃走時に散り散りになるのは常套手段だ。追撃をされても全滅せずに済む。
いや、追撃はしね~けどな。
肉食獣の存在も自然の摂理だからな。
ただ、あのバカでけぇ狼は頂けなかった。
鹿の群れを面白半分に食い殺してやがったからな。
獲物を絶滅させちまったら、肉食獣も喰うものが無くなって絶滅だ。
そんな道理もわからねぇ奴は…たぶん、イレギュラーな存在だろう。
アレも転成者だった可能性もあるかもな。
ホントのとこはもう判らねぇけど。
助けてやった鹿の群れが、俺を慕って周りに集まって…
…なぁんて訳きゃねぇよな。
当然ながら鹿の群れも、とっくに逃げちまってる。
助けた野生動物が仲間になるとか、そんなんは御伽話の世界だけの話だ。
俺の廻りには、あのでけぇ狼が食い殺した鹿の屍が多数転がっている。
ほっときゃ、死肉喰らいの野生動物が始末するだろうが…。
とりあえず腹の足しに、一匹くれぇ俺が貰ってもかまわねぇだろ。
あ、平原を目指して森の上空を滑空してたら、バカでけぇ狼が森を破壊しながら鹿を食い殺しまくってたから、なんか気にいらねかったから駆除してみただけなんだけどな。
俺はきっと、俺が倒したいものを倒せばいいような気がしてな。
もし…倒しちゃいけないものだった場合は、倒す前にそれが判るような気がするんだよ。
でけぇ狼が破壊して出来た森の空き地で、砕かれた木を適当に積み上げて火炎魔法で焚火にして、血抜きをした鹿肉を焼いていると…
何かが俺を見つめている気配に気が付いた。
さて、どうなるのやら?