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転成魔王の放浪譚  作者: あんりまんゆ(偽)
第三話 真実への旅
22/50

03-002 『俺』って、なんだ?

主人公の思惑は続きます。

自分はなぜ、転成したのか?

そもそも、俺はなぜこの世界へ転成したんだ?

どっかの小説みたく、死んだり神様だかに願ったりした記憶もねぇし。

なんかに召喚されたんだか降臨したんだかでも無さそうだ。

…まぁ、魔王を召喚したりはしねぇか?

……いや。どっかのRPGにゃ、召喚された魔王を勇者が倒す話が…

………いゃいゃいゃ、倒されたくなくて、俺は逃げ出したんじゃねぇか…。


いい加減、考えるのに疲れたので、俺は考えるのをやめた。

…判ってたんだよ、最初から。考えても仕方ねぇって。


背筋を伸ばして、下界を眺めてみる。

あぁ、『下界』っつ~ても、俺は天上に居るわけじゃね~よ。

てきと~に見つけた、高い岩山の天辺に居るだけだ。

ここなら、あの邪悪そうな勇者様御一行も簡単にはこね~だろからな。


見渡す『下界』には、広い森林とその先に平原が広がっている。

後方には盆地が広がっていて、その遙か向こうの地平線には山脈が見える。

あの山脈の向こうには…俺が転成した魔王城と、あの勇者様御一行の国がある…筈だ。

その後がど~なったんだかは知らなね~から、確実じゃねぇけどな。

そして…あの山脈の麓には、チビ…いや、コブ達の国、いや棲家がある。


俺は…何をすればいいんかなぁ。


勇者様御一行は、シナリオとやらをクリアするのが目的だったみてぇだ。

『勇者と仲間が力を合わせて魔王を倒す』、か。

判り易いシナリオだな。…王道だ。


コブ達は、魔物と人間が力を合わせ、悪い『自称勇者』とか言う奴を倒す。

これも、それなりに判り易いな。

まぁ…魔物と人間がいつまで平和に暮らせるかはわからねぇけど。

でも、暫くは大丈夫だろうけどな。


俺は…何をすればいいんかなぁ。


いや、俺は、なんで魔王に転成しちまったのかなぁ。

ハラダ達みたく、判り易い勇者様御一行じゃなくて。


再び前方の下界を眺める。


…そうか。

俺は、どこへ行ってもいいのか。

俺は、何をしてもいいのか。


俺は、シナリオに縛られた勇者様御一行じゃねぇ。

厳しい生活に追われる村人や魔物でもねぇ。


俺は…この世界では、自由なのか?

傍らに置いた、『ヤバそうな剣』をふと眺める。

抜き身でかっ攫ってきた筈なのに、いつのまにか鞘に収まってやがった剣。

転成者らしき『自称勇者』を、灰に変えちまった剣だ。

これは…この世界で言うトコの『魔剣』って奴なんだろうなぁ。


ふむ。

傍らに置いた、『魔剣』を掴んで抜いてみる。

…魔王の俺が見ても、不気味な剣だな。

…いや、俺が転成者だから、不気味に見えるのかもな。

これは…たぶん『破邪の剣』とでも言うのだろう。


剣を鞘に戻して、背に負ってみる。

…重いな。重いが、この重さは『重量の重さ』とは違う重さだな。


…行くか…

遙かに見える平原を目指して、俺は滑空していった。


とりあえずは、先へ進んでみることした主人公。

何か待っているのかは…誰にもわかりません。

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