君が。
君を想えば
いくらも詩をかけるというのに
君と僕は
いつまでもただ平行線上に
すれ違いばかりをおこしている
決して交わることのない
その二本の直線は
あのただ一つの直線の記憶から
ずっとずっと続いている
今となっては
時が解決してくれた想いも
時を超えて尚
愛おしいと思え
それはたぶん一生
他とは違う特別な感情として
心の奥に小さな居場所を見つくろって居り続けるだろう
必然や運命としか思えないほどの
数々のすれ違いは
君を思えば苦しく
ただ君を許せれば可笑しく
今は後者あるのみで
苦しさは切なさとなりまたそれも
なぜか温かい感情となってしまう
どうしてだろう
これが正しい愛なのかもしれないと
ふと悟れば
唯一真の愛を知ることと
それを受け命を生きることとは
全く別のものである人生もあるのだと
同時に悟ることとなる
あんなに好きと愛の違いを
嘆いていたのに
今は知らなかったときの自分に
戻ることはできない
無償の愛は苦しくないのだ
手ひどい冗談を重ね
傷つかないふりして愛しい傷つけ合いをし
それでも君が大切だと思う
手放しがたいが
君のためなら
手放すことを厭わず
ただ幸せであれと願う
無責任だろうか?
ずるいと言った僕も
ずるいと言った君も
同じ想いを抱いて
今は居るのだと信じることは
手を伸ばせばおそらく
僕らは同じ道で生きていけるのに
いつも手を伸ばそうとして
互いのためにその手をためらい
最後はひっこめてしまう
こんなに分かり合えるのに
こんなに遠く
こんなに真逆だと思えるのに
こんなに近く
君との距離は切ないほどわからない
いずれまた時間がどこかで
かちあうだろうが
きっとそのときもまた
平行線上にいる僕らは
それでも惹かれ合い
そして拒み合い
愛しいと思っていることを
伝えることなく理解して(わかって)しまうのだろう
君が愛おしいよ
ただ君が
幸せであれと思うよ
ただ君が
僕を求めないことを知っているよ
ただ君が
僕を必要としていることもわかっているよ
だから君が
ただ愛おしいと
ずっと思っていたんだよ