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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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滅びノ使命

オメガ達、(コード)りの(ネーム)をいとも簡単に倒した少女はゆっくりと帝の軍勢へと向かって歩いていく。

しかしその瞳に帝の軍勢は映ってはいない。

真命(トゥルー)(ネーム)A アリスの濁った瞳に映るのはヴィゼイアスによって造り出されたクリスタルのドームである。


『と、止まれ!』


震えた声でアリスを止めるのはこの場の帝の軍勢のリーダー、アロプレネス・セレット・デロットだ。

階級は大尉であり、今回の迎撃では第一戦闘部隊所属の年齢30歳過ぎの男性だ。

しかしアリスはその歩みを止めない。まるでそこにいないように歩いている。


『くそ!無視しやがって・・・俺等は敵としてもみなされてないのかよ』

『隊長落ち着いてください。まずはこの情報を持ち帰る事が重要だと思うのですが?』

『そうだな・・・すまない少尉。オメガ様達を救助する部隊と他の(コード)りの(ネーム)達に連絡する者を選定しておいてくれ』

『大尉は・・・』

『私はあの真命(トゥルー)(ネーム)A アリスと名乗るあの少女に近接戦闘を試みる。無論無意味かも知れないが』


少女は頷くとデロットから離れオメガ救出班と、他の(コード)りの(ネーム)への連絡班を編成する為に別れを告げてこの場を去る。

デロットはスルリと懐に差している軍刀を抜き取る。

無論この軍刀はただの軍刀ではない。(コード)りの(ネーム)の技術を元に造り出された品物で、通常の刃物より鋭く、対機械侵食者(イレギュラー)に対して特効属性を有している武器だ。

機械侵食者(イレギュラー)の鱗や筋肉等を切断する事が可能だ。とは言えこの対機械侵食者(イレギュラー)ようの軍刀は非常時の近接戦闘用だ。

帝の軍勢のメイン武装はライフル銃であり滅多に近接戦闘を仕掛けたりはしない。

当然帝の軍勢一人と機械侵食者(イレギュラー)が相手ならば機械侵食者(イレギュラー)の方に軍配が上がるからであり、帝の軍勢と機械侵食者(イレギュラー)では基本的に身体能力が違うからだ。


『少々・・・人間に斬りつけるのは気が引けるが仕方ない。行くぞ!』


デロットがアリスに向かって走りだし斬りかかるが・・・


(なんだこれは・・・まるで水の中にいるような)


アリスに斬りかかったデロットは自分の身体が水の中でもいるような鈍さに襲われる。

しかしながら思考までは遅くなっていないので身体と脳から発する命令にラグが生じ、違和感を感じてしまっていた。そしてその違和感を覚えたままデロットはゆっくり倒れる。

デロットが最後に見た光景は自分の腹部にクリスタルのガントレットが突き刺さった光景であった。


『何故勝ち目に無い戦いを挑むでしょうか?

身に降りかかる火の粉は振り払わなければならない・・・私に攻撃を仕掛けなければ殺される事はなかったのですが。貴方は私が倒すべき敵である(コード)りの(ネーム)侵食細胞(オラクル)を持つ者では無いのですから』


アリスはその場に崩れ去るデロットを濁った瞳で見つめ歩み始める。


『既にオメガとパルパトは始末済み・・・後は貴女と(コード)りの(ネーム)T トト。(コード)りの(ネーム)Y イエスメデス。(コード)りの(ネーム)X イクサ。(コード)りの(ネーム)Z ゼータ。そして神化(エヴォルグ)(ネーム)I イルミデンテだけですね』


オメガ達の救助をしている帝の軍勢や情報収集している帝の軍勢を他所に、クリスタルのドームまでたどり着き一発ぶん殴る。

ミシリっとクリスタルのドームに皹が入る。

あのZの適合者であるゼータの『双銃ー重転発破!』や帝の軍勢がいくら攻撃しても傷つかなかったクリスタルのドームが、アリスの攻撃によって皹が入ったのだ。


『これは・・・分厚いクリスタルの塊というだけではなく中の構造が多重構造になっているのですね。

それにやはりこの大きさでは全部の破壊は出来ないですね』


そういうとアリスは再びクリスタルのドームを殴りつけ、クリスタルの破片が砕け散り周りに散らばる。

そして数回クリスタルのドームを殴り付けた後、アリスは残り最後の壁をぶち破りクリスタルのドームに穴が開く。

クリスタルのドームを破壊しアリス中に侵入する。

そしてアリスは自身の中に存在する侵食細胞(オラクル)の本体であるクリスタルの化け物・・・ヴィゼイアス・ヴィオナルガンドと目線が合う。

突然壁をぶち破り入ってきたのだ当然である。ただ・・・壁をぶち破った先にいるのが化け物でなければの話だが。


『これは・・・なんとも巨大ですね』


ヴィゼイアスを見たアリスは息を呑む。

だいたいの話は自身の身体の中に存在する侵食細胞(オラクル)・・・ヴィゼイアスから聞いていたが予想以上の大きさであったからだ。

顔らしき物は存在せず身体の中央部分にはこの地を厄災をおこした原因である機械侵食隕石(イレギュラーコア)、そしてビル程の大きさの太さと長さをもっている巨大な腕・・・皮膚や筋肉らしき物は存在してはおらず剥き出しの骨格、通常であれば人間の脚に当たる部分には脚が存在せず下半身は木の根のようになっていてその木の根には数名の人間絡まっていて、その中にはひときは大きな機械がある。

この場には似つかわしくない物だが・・・アリスのこの機械について見覚えがある。

その機械は神化(エヴォルグ)(ネーム)I イルミデンテと名乗っていた者で、今はどうなっているのかは不明だがそのぼろぼろの機械を見る限り大丈夫ではなさそうだ。

そしてその化け物の全身はクリスタルで出来ていた。

クリスタルのドームに囲まれクリスタルで出来た化け物と対峙する・・・その風景は幻想的であり、異常な光景だ。


『貴様ハ・・・私ノ支配ヲ打チ消シタノカ』

『えぇ・・・この悲劇を終わらせる為に』

『人類ノ進化ヲ止メヨウトイウノデスカ?』

『それは貴女とっての進化・・・支配でしょ?』

『・・・貴様マサカ』

『知ってますよ貴女がこの地に降り立った理由、偶然ですがこの地に降り立ったということも知っています』

『成ル程・・・コノ少女、ヴィゼイアスノ能力デスカ良イ能力ダト思ッテイタノデスガマサカ私ノ考エマデ伝ワッテシマウトハ。シカシドノヨウニシテ私ノ結晶ヲ破壊シタノデス?』

『単純に私の・・・真命(トゥルー)(ネーム)A アリスの能力ですよ』

真命(トゥルー)(ネーム)A アリス・・・ドノヨウナ能力ナノデスカ?』

『えぇ・・・能力ですよ試してみますか?』


ヴィゼイアスとアリスとの会話がアリスの一言によって断ち切られ、ヴィゼイアスに向かってアリスが攻撃を開始する。

動けば壊れてしまいそうなクリスタルの蝶の羽を羽ばたかせ、爆発的に加速でヴィゼイアスに迫っていく。

しかしヴィゼイアスも自身の造り出されたクリスタルのドームを破壊して侵入してきた存在の攻撃を、素直に受ける程ヴィゼイアスも愚かではない。

ヴィゼイアスが能力を発動させたのか地面が揺れ、地面からクリスタルの木の根がアリスに向かって攻撃を仕掛ける。それもそのクリスタルの木の根は一本や二本でない・・・合計10本ものクリスタルの木の根があり、様々な太さ・・・人の腕程の大きさから電柱程の大きさだ。

アリスの爆発的な加速による攻撃・・・対してヴィゼイアスはアリスの進路を妨害するようにしてクリスタルの木の根で攻撃する。

車がもうスピードで電柱にぶつかればどうなるのか知らない者はいない。

今のアリスの速度は車以上なので余程の運動量なのは間違いないので、ヴィゼイアスの木の根にカスル程度でも致命的になる可能性がある。

もちろんアリスはこの世界では人智を超越した存在であり、その身体能力も人外ではあるが・・・もしあの鋭く尖ったクリスタルの木の根は脅威となる・・・筈であった。


『馬鹿・・・ナ!?』


ヴィゼイアスのクリスタルの木の根の攻撃はアリスに当たる事はなく、アリスは紙一重でかわしそしてクリスタルの木の根に触れた。

そう・・・ただ触れただけなのだがヴィゼイアスのクリスタルの木の根が砕け散ってしまったのだ。

流石のヴィゼイアスでも予想してはいなかったのか動揺の声があがってしまったようだ。


『貴女ハ何者デス・・・何故私ノ結晶ヲ破壊出来ルデス?』

『それを言う程私は愚かではないですよ』


空中で浮遊しているアリスに問いかけるヴィゼイアスだが、アリスには答える気はないようだ。


『まずは貴女の・・・』


アリスがいい終える前に爆発音が響き渡り、ヴィゼイアスの下半身・・・クリスタルで出来た木の根が吹き飛ぶ。

黒煙と共に複数の影が中から飛び出てくるのを確認したアリスはその影の正体を知ろうと目線を動かす。

ヴィゼイアスも突然爆発したことに驚いたのか注意をアリスからその複数の影に向ける。

しかしどうやらヴィゼイアスには痛覚が存在しないようで、破壊された木の根を見ても何も叫んだり、痛そうにしている気配はない。

まぁ・・・全身がクリスタルの化け物に痛覚があるとは思えないが。


『ドノヨウニシテ脱出シタノデ?』


ヴィゼイアスは自身の拘束から脱出した影に向かって問いかける。3つの影に向かって。


『我が宿敵と友による共同作戦だよ』

『すみませんワイズマン・・・トト・・・貴殿方のおかげです』

『しかし、彼奴を倒す手段は・・・どうします?』


ヴィゼイアスの木の根の拘束を破り出てきたのは、(コード)りの(ネーム)X イクサ。

(コード)りの(ネーム)Y イエスメデス。

(コード)りの(ネーム)Z ゼータだ。

3人とも傷はうけているが致命傷はないらしくヴィゼイアスと対峙する。


『攻撃の手段はありますよ』


イクサ達3人が声のした方向に振り向くとそこには1人の少女・・・アリスがそのクリスタルの羽を羽ばたかせて飛んでいたのだ。

その姿は明らかに異形であり、人間ではないと断言できる。何故なら背中にクリスタルの羽を生やした人間等この世の中には存在しないのだから。

イクサは心の中でこの声をかけてきた人物を誰か考えるが・・・皆目検討がつかない。

ヴィゼイアスとの戦闘に参加していない(コード)りの(ネーム)はオメガとパルパトなのだが、どちらもクリスタルの羽等は生やしていいない。

確認の為にオメガとパルパトに面識のあるトトに知っているかアイコンタクトを送るが・・・トトは首を横に振る。

どうやらトトはあの少女について知らないようだ。

そしてイクサ達が少しの間考えるているとヴィゼイアスが動き出した。


『オ前達ヲ消滅サセル・・・ドンナ手段ヲ使ッテモダ!』


ヴィゼイアスの咆哮にも似た叫び声と共に周りのクリスタルが共鳴するように震え振動していく。

すると周りのクリスタルは意志があるようにアリスに向かって飛んでいく。

どのような方法で動かしているのかは不明だがアリスに向かっていくクリスタルは、弾丸のスピードでアリスに直撃する・・・筈であった。

ヴィゼイアスの思惑とは裏腹にクリスタルは当たる事はなく、アリスの前で急激に速度を落とし地面に落下していく。

アリスの死角からの攻撃でさえも防がれてしまったことに対して更なる追撃、ヴィゼイアスのその巨大な腕による攻撃だ。

その巨体故に速度はイクサ達から比較すれば遅いが鍵爪のように変化した骨の腕は鋭利な輝きを放ち、その巨大さが故にビル程度であれば破壊できると思える程だ。


『鈍重な攻撃ですこと・・・』


アリスは迫り来るヴィゼイアスの腕をかわす。

地面に激突したヴィゼイアスの攻撃は振動と砂埃を巻き上げ衝撃がイクサ達にも直撃する。

全員仮面を着けているので巻き上がる砂埃の中でも目を開ける事は可能であり、アリスとヴィゼイアスの攻防を目の当たりにしてアリスとヴィゼイアスが敵対していると確信する。

ヴィゼイアスのアリスに向ける殺意は本物であり、どの攻撃も喰らえばただではすまないと確信する攻撃だ。


『どうしますイクサ様・・・』

『あの少女の手助けするのですか?』

『・・・彼女が我々の敵かどうかは別としてヴィゼイアスを倒すということでは利害が一致している。

協力して倒した方がいいだろう。だが油断しないでくれ彼女に対しての情報が不足しているのでこちらの手を全て見せる訳にはいかない』

『了解だ・・・ならば私が力を温存する』


意見がまとまったイクサ達はアリスと共にヴィゼイアスを倒す為に行動を開始する。

イエスメデスは自身の首から下げているペンダントを握り締める。

中にはある切り札・・・侵食結晶(オラクリリス)を再確認する為に。


『我が名は(コード)りの(ネーム)X イクサ、貴女と共にヴィゼイアスを倒します』

『えぇ、了解です。あの化け物は人類の敵なのですから』

『了解だ・・・ただあの化け物をどのようにして倒すのだ』

『策はありますよ』


そういうとアリスは自身のクリスタルで造られたガントレットを嵌めた腕を動かす。

このガントレットが切り札なのか疑問に思ったイクサだが、空中戦が可能な人数が増えるというのはよい事だと思い納得して戦闘を開始する。

空中戦が可能なイクサを含め3名、イエスメデスは空中戦が出来ないがヴィゼイアスとの最終決戦が幕を開ける。




『・・・全てを元に戻しましょう。アリスの名の元に』


アリスは攻撃を開始する直撃に呟く。

その呟きは誰にも聞こえる事はなかったが・・・


機械侵食者(イレギュラー)侵食区域最前線



ヴィゼイアスのクリスタルのドームの結界を破壊して侵入したアリスを目撃した帝の軍勢達だが、それに続きクリスタルのドームに突撃しようする者は現れない。

というのもアリスが破壊したクリスタルのドームの箇所は地上より離れていて、二階立ての建物に匹敵する箇所に穴が空いており帝の軍勢では侵入する事が不可能なのだ。

そもそもこのクリスタルのドームには帝の軍勢程度の武器では傷をつける事が不可能なので、もう1つ別の箇所に穴を開けて侵入しようにも不可能であり、瓦礫等を積み上げて階段にしたとしてもクリスタルのドームの内側がどのようになっているか不明な為に出来ないのだ。

それにアリスの開けた穴から聞こえてきた人ならざる者の咆哮が進もうとする意識を蝕み、帝の軍勢の足をすくませてしまう。


『そ、それは本当なのですか?』

『事実だ。現に隊長格の連中は着々と集合しつつある。それよりお前さんの部隊の隊長はどうしたんだ?

通常であれな連絡班から連絡がある筈だが?』

『すみません。我々の部隊の連絡機材が戦闘の影響で破壊されてしまったが為に連絡が行き届いていないようです』

『お前の部隊もか・・・もしかしたら予想以上に連絡が行き届いていないのかもしれないな・・・』

『このような激戦なのです。仕方のないことでしょう』


今話をしているのはデロットが指揮していた部隊の一員であり、デロットの指示によって連絡をする予定であった人物で名を四史根六徒と言って階級は准尉だ。

黒髪、黒色の瞳をもつ青年だ。

そして青年が話していた人物は少し初老の人物で青年と同じ黒髪なのだが、年をとっているせいなのか少しばかり黒髪に白髪が混ざっている。

二人の話の内容をまとめると各部隊の隊長各は状況を把握する為に一度集まる事を提案し、随時集合しているとのことなのだが数名の隊長格が集合しつつあるとのことだ。


『それでどうしますか?』

『多分ですが、現状この状況を維持することが懸命だと思いますよ』

『成る程・・・であれば待機という事が一番望ましいとのことで私の部隊に連絡しますが?』

『その通りにしてくれてかまわない、それとイクサさまの命である機械侵食者(イレギュラー)の対処は遭遇次第殲滅である事は変わらないので』

『了解です』


そして四史根は自分の部隊に知らせるべく行動を開始するが・・・時既に遅かったのだと思い知るのはもう少し後である。

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