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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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結晶巨人VS機械巨人

動き出したヴィゼイアスの相手をイクサとゼータが、そして空から降ってきたユセをイルミデンテが相手をする。

先に仕掛けたのは巨人となったユセであり、その巨人には似合わずに俊敏な動きだ。

靴に埋め込まれているローラーを起動させ地面を抉り取るような動きであり、周りには瓦礫が散乱しているのにも関わらずに避けようともしない。

その理由は靴の爪先が鋭利なっており、瓦礫を吹きとばす仕組みとなっているからだ。

その動きはラッセル車の如く瓦礫をいとも容易く吹き飛ばす。


『先程ハ油断シマシタガ次ハソウハイキマセンヨ』


迫ってくるユセに対してイルミデンテがとった行動は両肩の武装によるミサイル攻撃『鬼門ー爆鬼の天井』を改良しての攻撃する為に武装を展開させる。

ユセの奇襲により破損した左腕を補う為なのか?それとも残りの侵食細胞(オラクル)と相談したからなのか。

イルミデンテは左肩の武装を展開させ、ミサイル攻撃をした時とは違い十字ではなくY字に展開する。

十字に展開した時はその展開した隙間から複数のミサイルが見えていたが、Y字展開した今はその隙間からミサイルは見えていない。

その代わりに戦車の主砲のようなようなものが見え、Y字の先端・・・二股に展開していないほうに銃身が展開され、Y字の二股に別れた方には熱を逃がす為なのか空気菅が見えている。


『盾砲ー機色の捕食者』


変化した左肩の武装の銃身をユセに向け狙いを定めると・・・躊躇なく発砲する。

いくら仲間といえ今は敵同士、ユセは躊躇なく攻撃してくるのだ此方も躊躇っていれば倒されてしまうからだ。

発砲された弾丸は接近するユセに向かって一直線に飛んでいき着弾する。

爆音と爆煙がユセを包み込むが・・・巨大な歯車を盾代わりにしたユセは通常であれば爆死、もしくは怯んだりするのだがやはりユセの歯車はかなりの強度なのか皹すら入っていない。


『レベル2ノ時ヨリ強度ガ上ガッテイルノカ・・・』


どうやら煙の中から出てきたユセは速度を緩めていないままイルミデンテに突進していき、歯車を盾のように使用しての打撃を繰り出す。

対するイルミデンテは迎え撃つ事はせずに回避の一手を選択する。

当然である自身の砲撃によって皹すら入っていないユセの歯車で強打されたのであれば、いくらレベル5となったイルミデンテでさえも破壊されかねない。

そもそもイルミデンテの左腕を破壊したのはユセの歯車での一撃なのだから。


『ユセ、君ノ考ハワカッテイマスヨ』


そう言うと歯車での攻撃を後方に移動して回避したイルミデンテは、更にその場から数歩後ろに下がる。

そして先程までイルミデンテがいた場所に衝撃が鳴り響き、地面が陥没してしまう。

地面を陥没させた犯人は巨人となったユセの蹴りであり、踵落としが炸裂していた。


『詠んでいたのですかイルミデンテ?』

『当然。貴様ノ攻撃手段ハ心得テイル』


イルミデンテが指摘したようにユセの攻撃の仕方には癖のようなものが存在し、歯車を使用しての突進攻撃が回避されてしまった場合もう片方の歯車を使用して身体を持ち上げ死角である上空からの攻撃をよく行っていた。

まぁ・・・ユセ達、神化(エヴォルグ)(ネーム)はあまり戦闘をしたことはないが。


お互いに牽制しあい少しでも隙を見せたら攻撃を行う為に間合いを測る。

イルミデンテの攻撃範囲はユセと比べると比較的リーチが長く、イルミデンテの右腕・・・ランテンを取り込み得た長く鋭利な腕での中距離攻撃、左腕の武装を変化させた盾砲による遠距離攻撃も存在する。

対するユセは巨大な歯車を利用しての守備やその歯車を起動させ、両靴に装備しているローラーを利用しての高速戦闘、接近してからの歯車、そして強化した蹴りを炸裂させる近距離戦闘が主体である。

つまりこの戦いはユセを接近させなければイルミデンテに勝機はあり、ユセは近接戦闘にもちこめれば勝機がある。

そして先に動き出したのはユセであった。

歯車、両靴のローラーを起動させ一気に距離を詰めてからの飛び膝蹴りだ。


『甘イデスヨ』


歯車に武装されていたアームを起動させバネの要領で一気に距離を詰めたユセの攻撃を、イルミデンテは右腕の鉤爪に侵食細胞(オラクル)を展開させ、鉤爪を強化し迎え撃つ。

イルミデンテの強度された鉤爪とユセの飛び膝蹴りがが炸裂し辺りに金属音が響きわたる。

通常であれば飛び膝蹴りを腕で防せごうなど無謀というものだが、侵食細胞(オラクル)で強化したイルミデンテの鉤爪であれば防ぐ事は可能なのだが・・・膝を捕まれたのにも関わらずにユセは振り払おうとはせずに逆に向かってきたのだ。


『ゴリ押しは嫌いなのですが・・・今の私は可能なのですよ』


そう言い終えるとユセは自身の両側に歯車を展開させ一気に加速させて押し潰す算段なようだ。

そして力と力のぶつかり合いを制したのはユセあった。


『ナルホド・・・オ前ハユセデハナイナ』


ユセとの戦闘によって吹き飛ばされたイルミデンテは追撃してくるユセに向かって『盾砲ー機色の捕食者』を発砲牽制する。

ゴリゴリと地面を抉るようにして鉤爪を地面に叩き勢いを殺し体勢を整えるイルミデンテ。

体勢を立て直したイルミデンテはゆっくりと起き上がると隙を伺っているユセに向かって指を突きつける。


『なんなのでしょうかイルミデンテ?私はユセですよ。

貴方と同じ神化(エヴォルグ)(ネーム)であり、レベル5へと到達したユセです』

『確カニソノ侵食細胞(オラクル)ヤ戦イ方ハユセソノモノ・・・シカシ今ノ貴様ハ違ウ!』

『違うとは?』

『先ズ第一ニユセハ自身ノ事ヲユセト呼ンデイル。

ソシテ次ニユセ・・・貴方ト近接戦闘ヲシテ分カッタ事ナノデスガソノ武装ニ刻マレテイル幾何学的ナ模様カラ別ノ侵食細胞(オラクル)ノ気配ガ感ジラレル』

『なるほど・・・気配ですか。それは気がつきませんね』

『ソシテ最後ニ・・・』


最後の言葉を言い終えようより先にユセが動き出す。

その動きは先程より早く俊敏で、隙を伺って戦闘をしていた時は違い野生の動物のような本能的な動きだ。

先程と同じようにイルミデンテに飛び膝蹴りからの歯車を使用しての重撃!

しかしイルミデンテも先程の戦闘を経験しているからなのか歯車の重撃を右肩の武装で受け止める。

戦いという物は何処まで相手の手の内を読み取り、そしてどのようにして自分の有利な状況へともっていく事が重要だ。

どれ程の武人であれど病気等で体調を崩してしまった場合全力は出せないであろう。

それと同じでバランスを崩してしまった場合も同じである。

そう・・・通常であれば飛び膝蹴り等という大技繰り出し、そのうえ自身の体重より重そうな歯車で攻撃したのだ重心が擦れバランスを崩してしまうのが普通だ。

しかしながら今この場にいるユセはどうなのか・・・答えは単純明白。あり得ないの一言である。

ユセは器用にも攻撃に使用していない方の歯車を地面に向けバランスを保っているのだ。

カンガルー等が尻尾を使ってバランスをとるのと同じようなことをユセは行い攻撃を繰り出している。


『・・・コレデハ私ノ武装ガ』


ユセの歯車からの重撃を肩の武装で受け止めてしまったからなのか少しばかり装甲が凹んでしまっていた。そして間髪入れずにユセ中段蹴りが炸裂しイルミデンテに直撃して吹き飛ぶ。

ユセの攻撃の衝撃によって吹き飛ばされたと思っていたが・・・吹き飛ばされたイルミデンテはしっかりと両足で地面を捉え、体勢を崩してはいない。

この戦い方はユセの攻撃の方法を知っているからなのであろうか、それとも戦いのセンスからなのか?

体勢を立て直したイルミデンテは再びユセに向かって『盾砲ー機色の捕食者』を繰り出す。

そう・・・先程の戦いと同じように。


『同じ手が通じると思うのですか?』


迫りくる『盾砲ー機色の捕食者』を先程と同じように歯車で防いだユセだが違和感を覚える・・・


(先程より威力が弱い!?)


ユセが感じた違和感の正体は先程と同じ要領で発射された『盾砲ー機色の捕食者』の威力が弱いことである。

何故威力が弱くなってしまったのか?

同じように攻撃を仕掛けたのであれば威力を弱める必要はない。同じ威力であればユセの突進攻撃を牽制するだけの意味はある。

それだけではない・・・同じように攻撃を仕掛けたのであれば当然同じように防がれてしまう。


(何だこの違和感は・・・まるで同じように行動するように誘導されているような)


ユセが考え事をしている間にイルミデンテは既に行動を開始していたようで『盾砲ー機色の捕食者』を既に発射してしていた。

ユセの違和感が強くなる・・・このイルミデンテが放った第二の『盾砲ー機色の捕食者』を確実に直撃される為の布石なのではないかと。

そしてその違和感は的中し、ユセが盾代わりにしていた歯車に直撃したと思ったら先程とは比べ物にならない程の爆発力を発し歯車が破壊される。


(バカな・・・私の能力で強化したの武器が)


破壊され砕け散った歯車が地面に落ち、クリアになった視界からは迫りくる鉤爪が向かってきていた。

咄嗟の判断で身を屈み回避するがどうやらその判断は愚考であったようであり・・・身を屈めたユセに向かって飛び膝蹴りが炸裂する。


『ぐがぁっ!?』


レベル5となり巨人となったユセに痛覚があるのかどうか微妙だが苦痛の叫びと共に吹き飛ばされ、ユセを包み込んでいるクリスタルの結晶を守護するであろう武装が破壊され地面にボロボロと落下していく。

イルミデンテと同じユセもレベル5ではあるのだが、ユセの下半身とは違いイルミデンテの下半身は人体の形状ではあり得ない逆間接をしてきる。逆間接ということは普通の脚より移動しずらいが通常よりジャンプ力が強化されている。

それによりユセの時は段違いに威力の高い飛び膝蹴りが打てるという寸法だ。

吹き飛ばされた身体を落ち着かせる為に歯車を地面に打ち付け楔のようにして姿勢を安定させる。


『何てジャ・・・』


言い終えるより先に脚力を強化したイルミデンテが攻撃を仕掛ける。一直線に薙ぎ払われた鉤爪をかわしたユセは身体を仰け反らせ間一髪で回避する。

何故なら・・・イルミデンテが攻撃を仕掛けたのは武装を破壊されたユセの結晶であり、イルミデンテの鉤爪なら結晶が破壊され中身のユセまで破壊されかねない。

砕かれた歯車の破片が地面を転びそして幾何学的な紋様が点滅をやめて朽ち果てる。

しかしユセもこのままでは終われない。

自身の武装を破壊されたのだ次に打つ手はもちろん反撃!


『危機断罪の歯車!』

『外装強化!レベル3』


ユセは自身の歯車・・・幾何学的な紋様が翡翠色に変化し歯車に刃が展開されノコギリ状に回転し始める。

けたたましく鳴り響く回転音は周りの空気さえも巻き込み、薙ぎ払われた瓦礫は一刀両断されてしまっている。

しかしながらその瓦礫をも一刀両断するノコギリを受け止めるイルミデンテの強化武装。

・・・通常であれば回転しているノコギリの刃を受け止めるなどで狂気の沙汰である行為だが、それを防ぐ者は存在する。

強化されたイルミデンテの強化外装はそれを受け止めるが・・・


『受け止め・・・』

『外装ガ!?』


ノコギリの刃となった歯車を受け止めたイルミデンテの右腕の外装とユセの歯車がボロボロと壊れる。

どちらの侵食細胞(オラクル)も破壊されたのかイルミデンテの外装が崩れ落ち、ユセの歯車も刃が欠けてしまった。

そして歯車が止まり砕け散った破片が合図となり次の戦いが始まる。


『片腕でこの強さ・・・私の侵食結晶(オラクリリス)を使って造られた贋作風情が』

『私ノ侵食結晶(オラクリリス)ダト・・・ヤハリ貴女ハ!?』


大きく動き仰け反らせたはイルミデンテであり攻勢に出たのはユセだ。

侵食細胞(オラクル)によって強化した足に纏った外装の蹴りは威力が強く、防いだ左肩の武装が再度凹む・・・しかし何故であろう先ほどからイルミデンテの再生能力発動しない。

再生出来ないのか・・・いや、出来ないのだ。


『ナルホド・・・貴方ノ正体ガ掴メマシタヨ』

『へぇ・・・じゃあ、貴方では私には勝てないという事も理解出来ますか?』

『ソレハドウデショウ』


ひしゃげた左肩が爆発する。

それが合図となりイルミデンテの左肩の外装が砕け中身が露になる・・・出てきたのは機械によって侵食された細胞組織であり、ユセのクリスタルに接触し侵食を開始する。


『イルミデンテ貴様!?』

『ヤット貴女ニ通用スルノヲ造レマシタ・・・譲リ受ケサセテ貰イマスヨ』

『作戦失敗・・・』


立ち上がったイルミデンテは確めるようにして左腕を動かす。

イルミデンテのレベル5の能力・・・それは適応力増強。

普通の人間であれば切り取られた腕に別の人間の腕など付けること等不可能、拒否反応が起きたちまち悶え苦しみ死んでしまう。

しかしイルミデンテにはそれが可能。

複数の侵食細胞(オラクル)を取り込んだイルミデンテは再生した左腕、そして背中に断罪の歯車を背負い真なる厄災・・・ヴィゼイアスに向かって攻勢に出る。



『ユセガ殺サレタノカ・・・ソシテ意外ニ弱イノデスネイクサ』


ヴィゼイアスは足元に倒れているイクサを見つめ、攻撃してくるであろうイルミデンテを待ち受ける。


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