叡智ト技術ノ衝突
旧都アークコード跡地
『ナンダコノ音ハ?』
旧都アークコード跡地にある神化の名本拠地に向かっていたイルミデンテは、前方から聞こえてくる奇妙な音に疑問を持っていた。
ランテンを吸収した事によってこの姿になったイルミデンテには再生が出来なくなっていたが、その代わり硬度な防御力を得ており、その防御力を最大限に使用して自身の『崩撃ー光業炎羅!』の一撃を自分の足元に撃っても無事でいたのだ。
流石に砲身は破壊してしまったが機動力には問題がないので旧都アークコード跡地に来るまでにはそれほど時間はかからなかった。
(何だ!?あれは!?
我々の本拠地が・・・)
旧都アークコード跡地にたどり着き、その地下に存在する神化の名本拠地が無いことに言葉を失ってしまった。
そしてそれ以上に驚いたのはあの巨大な化け物・・・下半身は大木の根のようになっておりその根の部分が地面に接している。
その木の根のような部分は、無数にある木の根が交互に地面に接することで巨体支えると同時にゆっくりと動いている。
上半身に当たる部分には人間の肋骨らしき物があり、両腕が巨人の骨のようになっている。
腕の回りには無数の頭蓋骨がくっついていて上半身、下半身共にどのようにして動いているのかは全くもって不明だ。
そして何よりその化け物の全身はクリスタルの輝きを放っており、その輝きをイルミデンテは見覚えがある。
(あれは・・・ヴィゼイアスの結晶?
それにあの中央にあるのは)
イルミデンテの見つめる先にはあの化け物の肋骨の先にあるもの・・・機械侵食隕石と一人の女性、そして両肩にも女性の姿らしき物が・・・
(まさかあれは・・・ヴィゼイアス?それにあれはユセ!?
もう一人いますね。あれは誰でしょうか?
とりあえず我々の本拠地へ行き状況を確認しなければ)
とりあえずイルミデンテはあの化け物を相手にすることはせずに本拠地へと向かう。
あの化け物は正直かなり気になるがそれよりも本拠地がどうなっているかの方がイルミデンテにとって重要であるからだ。
『ナンダコレハ・・・我々ノ本拠地ガ』
変わり果てた神化の名本拠地を見て何も言えなくなかってしまっていた。
当然である地下に三階層にわたり作り上げられた基地が見るも無残に破壊されてしまえば言葉を失っうものだ。
本拠地には多数の資料に、実験機材、そしてこれまでの実験の成果が全てあり、その全てが無くなってしまったのは取り返しのつかない損失だ。
『ネクロート!?何処ニ居ルノデス?』
イルミデンテは変わり果てた本拠地に移動すると仲間の名前を叫ぶ。
しかしその問いかけにに答える者はいない・・・
第一階層、第二階層、第三階層、の天井、床が破壊されてしまったが為に今イルミデンテがいる場所が何処なのか分からないのも探すのが困難な原因だ。
それに今のイルミデンテ(神化機械巨人)では大きな瓦礫を退かす事は可能性だが、図体が大きいのでこの瓦礫の山を崩しかねない。
下手をすればイルミデンテの移動の振動だけで崩れるかもしれないのだ。
『非常ニ不味イデスネ・・・ネクロートガモシ逃ゲ・・』
もう1人の仲間であるネクロートを探しているイルミデンテが動きを止める。
そして辺りを確認するように見渡す。
『地面ガ盛リ上ガッテイル!?
ソレニコノ深サハ・・・第三階層階層カラ』
イルミデンテが気がついたのは第三階層の地面が盛り上がっていること、そして第三階層の中央部分には瓦礫が無いということだ。
そして第三階層の土をよく見てみると盛り上がった箇所に複数の色の違う土が見られ、これは下の土であるという事がわかる。
(つまりこの地面から何かか出てきた?
そしてあの化け物・・・まさかヴィゼイアスなのでしょうか?)
イルミデンテの立てた仮説・・・それは機械侵食隕石を封印する為に自ら犠牲になったヴィゼイアス。彼女が再び目を覚まし活動を始めたという仮説だ。
本来のヴィゼイアスはもちろんあの化け物のように巨大でも異質でもない。
確かにあの化け物を形成する物質・・・クリスタルは確かに似ている。
『機械侵食隕石ニ影響サレタカラデショウカ?』
イルミデンテの立てるもう1つの仮説・・・それは機械侵食者のようにヴィゼイアスも侵食され破壊の獣になってしまったという仮説だが・・・機械侵食者化した時に見られる金属変化が見られないのは何故なのか疑問に思っていた。
とりあえず様子を見ようと考えるイルミデンテだが・・・考えるよりも先に動きだす。
理由は物音が聞こえたからだ。
小さな音だが今の神化機械巨人となったイルミデンテでは造作もない。
旧都アークコード跡地・オメガ、パルパトサイド
『何だあの機械の巨人は?』
『あいつが来た方角・・・中央本部がある場所』
オメガとパルパトは崩れ落ちた瓦礫の影になるようにして息を潜めている。
突然現れた機械の巨人が何者かは分からないがとりあえず敵であると考えるのが妥当だ。
ここは敵の本拠地であり、オメガ達の知らない知識の物ならば尚更警戒するのは当然だ。
『パルパト!』
『どうしたのオメ・・・気がつかれた?』
『多分な・・・俺が囮になるパルパトは隠れてろ』
『オメガも限界が近い筈でしょ』
そういうとパルパトはオメガより先に飛び立ちあの機械の巨人へと向かう。
機械の巨人も飛び出てきたパルパトを見ると動きを止めて観察する。
『貴女ハ何者デスカ?』
『私は偽りの名P パルパト貴方は?』
『私ハ神化の名I イルミデンテデ・』
イルミデンテが言い終えるより早く動き出したオメガがイルミデンテの中央部分に大斧での一撃を喰らわせる。
しかし・・・今の弱まっているオメガの力では傷をつける事は出来ないようだ。
『パルパト逃げろ!』
『・・・モウ一人。ソレニソノ姿ハ』
オメガの指示で撤退しようとしたオメガとパルパトにイルミデンテが声をかける。
内容は敵対心は無いと言うことなのだが・・・何処をどう見れば敵対心が無いのか?
神化機械巨人となったイルミデンテに武装な無いとしても右腕の鉤爪になっている手に、象も踏み潰すことができる脚、そしてオメガの斬撃が効かない装甲があるのだ敵対心が無いとしても危険極まりない。
例えるならばプロボクシングの人が銃やナイフを持っていないからと言って、素手で余裕で人を怪我させる事が出来る事にかわりはないのだから。
『何カアッタノカ説明ヲオ願イシマス』
この惨状の説明を求めるイルミデンテ。対してパルパトは事実を話したとしてもこちらにメリットが無い事を伝える。
メリットと言われたイルミデンテは傷ついているオメガ達にその傷を癒すのと引き換えに説明を求めるが・・・
『俺たちがあの化け物とグルだったらどうする』
『アノ化ケ物ト仲間デアルナラバワザワザ隠レタリハシナイデショウ』
『彼奴はあんた達の施設の下から出てきたんだぜ』
『地中カラ出テキタトイウノデスカ?』
『えぇ、私たちが施設に忍び込もうとした瞬間に』
『ナルホド・・・』
『逆に聞きたいんだが、あんたはあの化け物に心当たりは?』
『アンナ化ケ物ニ心当タリハ無イデスヨ・・・シカシアノ化ケ物ノ中央部分ニアルノハ機械侵食隕石ト言ウ我々ノ力ノ源デス。ソシテ中央部分ニイル女性ハ偽りの名V ヴィゼイアス』
『偽りの名V ヴィゼイアス?』
『ソノ反応・・・知ラナイヨウデスネ』
イルミデンテとオメガ達が話していると何処からか叫び声が聞こえ、オメガ達の近くに何か落下してくる。
落下してきた物の正体は身体が半壊した動物だ。
元がどのような動物かは分からないが体毛と尻尾があるので犬か又は、狼だろうと予想できるが何分頭部が無くなってしまっている。
この動物も機械侵食者なのであろう通常の動物よりも大きくなかっている。
『ドウデショウ・・・我々ト手ヲ組ミマセンカ?』
『あの化け物を倒す為にか?』
イルミデンテが頷き化け物を指差す。
どうやらあの化け物はイルミデンテにとっても予想外であり、宿敵である偽りの名の手も借りたいようだ。
まぁ・・・オメガとパルパトは直接イルミデンテとの因果関係は無いが。
『悪いが今俺たちには残りの侵食細胞が少ない・・・あんたの手助けになるとは思えないぜ』
オメガは先ほどイルミデンテに攻撃した時は全力でない事を伝え、パルパトも自身の侵食細胞が残り少ない事を伝える。
無論嘘なのだが半分は当たりだ。
オメガは確かに全力ではなかったがパルパトはこの旧都アークコードから脱出するまでの侵食細胞は残っている。全速力で帰る事は出来ないがそれでも地上を走るよりは速い。
『神化の名I イルミデンテあんたに相談だ』
『何デショウカ?』
オメガの相談内容はこちらから攻撃はしない代わりに見逃してくれと言うものだ。
確かにオメガとパルパトは残りの侵食細胞は少なく、イルミデンテに勝てることは出来ないだろう。
しかし足止めに専念すれば長期戦は必死であり、あの化け物の目的は不明だがイルミデンテにとってあの化け物は厄介な相手なのだろう。
でなければ神化の名の宿敵である偽りの名であるオメガとパルパトに手伝ってほしいとは言わないであろう。
『ナルホド、モシ断レバ・・・』
『悪いが全力で戦うぜ』
そう言うとオメガは大斧をパルパトは弧爪を構えるが、イルミデンテは後ろに下がり後退するそして『今回ハオ互イニ出会ワナカッタト言ウ事デ』と伝えると何処かに移動していった。
オメガもパルパトも両方とも追う事はしない。
出来ないというわけではないが、オメガとパルパトにとってイルミデンテの力は未知数。
それにオメガとパルパトは一刻も早く侵食細胞を回復させて、あの化け物に取り込まれてしまった姫子を救出する為に行動しなかればならない。
『姫子・・・少しだけ待っていてくれ』
オメガは移動しているクリスタルの化け物を追い越し、帝の軍勢中央本部に向かって撤退する。




