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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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欲望ト犠牲ノ暴走

『少し時間を掛けすぎてしまいましたね・・・それよりもオメガは此方に来ないのでしょうか?』


ユセを倒し一安心したパルパトは一休みする為に、地面のコンクリートを破壊して神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地第一階層に潜り込む。

派手に戦闘をしたのにも関わらずにオメガが応援に来てくれないことに苛立ちをしていたが、もう過ぎてしまったことなので関係ないと割りきり姫子を探しにいく。

ユセの攻撃によって両腕がボロボロになってしまったが幸い脚は無事なので移動するのにしようはないが・・・


『不味い・・・痛みと流血で』


パルパトの身体がぐらりと動き壁にぶつかる。

ぶつかった壁にパルパトの血が飛び散りパルパトが地面に倒れる。


『仕方ない・・・これで』


パルパトは沈み行く意識の中で能力を解除する。



神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地第一階層情報処理室


『少しは時間稼ぎにはなったのかな?』


何やら機械を弄っている姫子は手元に置いてあるマグカップに口をつけてコーヒーを啜る。

姫子の回りには散らかった資料が散乱していてあまり足の踏み場がない、近くにある棚が空っぽになっているのを考えるとどうやら棚から引っ張りだしたようだ。

お目当ての情報が手に入ったのかは分からないが機械を弄っているのを見ると情報は一通り揃ったと仮定して良いようだ。


『さて、これが機動するまでにかかる時間は・・・およそ10分ですか。

それまで見つからなければいいのですがね』


そう言うと姫子は装置を機動させる。

その装置は何やら隠されていたらしく先ほどまで此処になかった物だ。


『もう少しだからね』


姫子は再びマグカップに残ったコーヒーを啜り飲み干すと同時にアナウンスが施設内に響きわたる。



神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地第三階層


『まだ此方には来てないのか・・・』


ユセを探すのを諦めたオメガはもう一度第三階層に来ていた。

第二階層のユセに私室で見つけた見取図のおかげで迷わずに来れたが、オメガは姫子を探すよりもユセの言った言葉の方が気になってしまったのだ。

もちろん仲間である姫子を探す事を優先するのが良いのだが・・・何故かユセが姫子を殺すという事は考えられないのだ。

人質である事には変わりないのだがもし姫子をユセが殺した場合・・・オメガとパルパトによって全力に倒されるからである。

第三階層でユセと戦ったオメガとパルパトは実は手を緩めていたのだ。そしてユセも手を緩めて攻撃していたので実際には本気で戦っていない、その事をオメガもパルパトもユセも分かっている。


『ユセの言っていた人物は誰なのか・・・思いつかないなぁ』


そう言うながらオメガはあの奇妙なクリスタルの木の根を拾った場所に来ていた。

何かしらの手掛かりになれば良いとおもって来てみたのだが・・・この第三階層の構造が書かれている見取図はユセの部屋では手に入らなかったのでこの第三階層が何の為に有るのかは不明なのだ。

オメガはもう一度第三階層を見回してみる。

改めてこの第三階層は中央部分に奇妙な壊れかけのクリスタルが有るだけで特に何もない。

第一、第二階層のような施設も、部屋もない。そもそもこの第三階層には第二階層から降りる為の階段とそれを繋ぐ扉が有るだけだ。


『そもそもこれが何なのかなのだが・・・』


オメガは奇妙なクリスタルの木の根を拾った場所から再び木の根を拾って、壊れかけのクリスタルにたどり着く。

壊れかけのクリスタルを良く見ると何かが入っていたのか空洞が出来ている。

空洞の大きさからすると何やら巨大な物が入っていたようなのだが・・・それ以上に気になるのはクリスタルの光を奇妙に反射している場所、よくよく見てみる反射している部分にも空洞がありその空洞は人の形をしているようにも見える。


『・・・同じ物質?』


オメガがクリスタルの結晶に手を当てて見るとクリスタルの物質と、オメガの持っている木の根の物質が同じだとわかる。

肌触り、叩いた時の音、そして光の反射の仕方も同じだ。


『砕いてみるか』


そう言うとオメガは持っている木の根を握り潰そうとしたがまるで破壊出来ない。

万力の以上の力を持っている筈のオメガでも破壊出来ない物質とは何か・・・疑問に思いオメガは持っている木の根を放り投げると大斧を握り締め降り下ろす。


『か、かてぇ』


オメガの大斧はクリスタルの物質に弾かれ手に痺れが残る。

渾身の一撃ではないがこの壊れそうなクリスタルの物質が何故弾いたのか疑問に思ったオメガは、大鎌での一撃と拳での一撃を繰り出す。


『完全無効化?』


大斧、大鎌、そして拳での攻撃が全て弾かれたオメガは、このクリスタルの物質に対して自分の全ての攻撃が無意味だと悟りそれを確認する為に、再び大斧での渾身の一撃を食らわす。


『やっぱり・・・どういうことだ!?』


けたたましい音と共に弾かれたオメガの渾身の一撃・・・しかしクリスタルの物質には傷一つ着いてはいない。


『何の物質で出来ているんだよ・・・』


今までいろいろな物を破壊してきたオメガの大斧でさえ破壊出来ない物は何なのか考えているが答えは出ない。

もしかすれば未知の物質なのかもしれない。

しかし疑問もがある・・・オメガの先ほど持っていた木の根のような物質が何故違う場所にあったかという疑問だ。

この未知の物質は神化(エヴォルグ)(ネーム)が秘密裏に開発した物質であり、偶然オメガが木の根のような物質を手に入れただけかも知れない。

地中に埋まっていたし・・・

もしかすればこの第三階層がその物質を作る場所なのかも知れないが・・・先ほど見渡してみたがこの第三階層には何かを作り出すような機械は見当たらない。


『・・・まさか?』


オメガはクリスタルの物質から離れ地面に向かって大斧を数回降り下ろすと、地面から先ほどのクリスタルを攻撃した時と同じ音が響きわたる。

そして響き渡った場所を掘るとそこには先ほどオメガの持っていた木の根が出てくる。

どうやらこの木の根を辿っていくとクリスタルの物質に繋がっているようだ。


『俺の考えが正しければ・・・』


オメガは大斧を振り回しクリスタルの回りの地面を抉る。

すると抉れた地面から又しても同じ音が響き渡り木の根が出てくる。

しかもその木の根オメガの推測通りにクリスタルへと繋がっている。

クリスタルからこの木の根が伸びているのか、それとも木の根が集まりクリスタルの形になっているのかは分からないが、この物質はもしかすれば成長している可能もある。

何故成長しているかという仮定に考えつくのかと言うと、この無数に張り巡らされた木の根が人工的に出来たのであれば明らかに不自然だからだ。


『予想通りだが、これはこれで面倒だっ』


オメガが考え事をしていると警告音と共にアナウンスが響きわたる。

一体何処から聞こえてくるのかは分からないが何か不味い事が起きた可能性がある。何故なら警告音が聞こえた後に流れるアナウンスなど大抵何かしらのトラブルである可能性が高いからだ。


『警告!警告!自爆スイッチ機動確認!自爆スイッチ機動確認!

10分後にこの施設は崩壊します。各施設にいる人は速やかに施設外へと避難してください。

繰り返します10分後にこの施設は崩壊します。各施設にいる人は速やかに施設外へと避難してください』


アナウンスの内容は耳を疑う物だった・・・この施設は神化(エヴォルグ)(ネーム)の本拠地であり彼らの技術の結晶や、資料などが大量にある中で施設を崩壊させると言うものだからである。

確かにこの施設を崩壊させてしまえば技術や資料が(コード)りの(ネーム)に漏れる事はない。

しかしそれは最終手段であり奥の手だ。崩壊させてしまえば二度とこの施設が使えなくなるのだからだ。

帝の軍勢、(コード)りの(ネーム)の調査によれば神化(エヴォルグ)(ネーム)がこの施設の他に使用している施設は存在していないとされている。

調査よって実験に使う施設は発見されたがここ数年程使われていないという結論に至った。

なのでこの施設が崩壊するという事は余程の事が起きてしまったのであろう、オメガは大急ぎで第三階層を後にして第二階層へと上っていく。



神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地第1階層情報処理室


『これでこの施設はお仕舞い・・・やっと自由になれる』


自爆スイッチを機動させた姫子は情報処理室を後にする。自爆スイッチの解除をさせない為に機動キーの破壊と鍵穴の破壊もすんでおり、それを機動させる機械も姫子の手によって壊された。

順調に進んでいた姫子が足を止める。

足を止めた姫子の先にはパルパトが倒れておりどうやら気を失っているようだ。


『パルパト様・・・』


姫子がパルパトの名を口にした瞬間自身の手で口元を押さえる。

まるで自分で言った言葉が信じられない、何か不味い事を喋った時のように感じだ。


(まさか・・・あの子の意志がまだ残っているの?

でもユセと言う奴は順調だった筈)


姫子は自身の手首をナイフで切ると鮮血流れ、血で出来たナイフを生成する。

そのナイフはクリスタルで出来ており鮮やかな赤色だ。


『ここでお去らばです』


姫子のナイフによってパルパトを殺そうとするが・・・まるで金縛りにでもなったのか皮膚を数センチ切っただけで動きが止まる。

何故動きを止めたのか姫子自身も分からないのかナイフを持っている右腕を見つめている。


(・・・あの子の残思がまだ残っている。

パルパトを傷つけるのを拒んでいる?)


姫子はパルパトを倒す為にナイフを投げる。

ナイフが刺さりパルパトから鮮血が流れたと思いきや・・・パルパトの翼よって弾かれる。


『・・・気を失っているのに!?』


気を失っているにも関わらずに侵食細胞(オラクル)を発動させて姫子の攻撃をガードしたパルパト。

本来気を失っている(コード)りの(ネーム)が能力を発動させることは、あり得ないことであり記録にはない。

しかし侵食細胞(オラクル)という物は未だ未知部分があり全てが解明されているわけではない。なので無意識中でも発動する侵食細胞(オラクル)が存在する可能性もある。


『動かない・・・』


侵食細胞(オラクル)を発動させたパルパトは姫子に攻撃する事はなく、守りを固めているのか翼を盾にして牽制している。

この間までは時間がないと考えた姫子はパルパトを無視して先を急ぐ。



神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地第三階層


『やっと終わるのですね・・・』


姫子がそう言い終えると第一、第二階層で爆発が起き、神化(エヴォルグ)(ネーム)本拠地、そしてその上にある旧アークコードが吹き飛ぶ。

爆発音と共に第一、第二階層が吹き飛ばされ第三階層にいる姫子にも吹き飛ばされた瓦礫が飛んで来るが・・・姫子には当たる事はなかった。

姫子を覆うのはオメガが攻撃し破壊できなかったクリスタルだ。


『やっと封印が溶けた・・・長かった』


姫子がそう言い終えるとクリスタルの結晶が動き出す・・・その影響で第三階層の地面が盛り上がり地面の中からクリスタル木の根が出てくる。

オメガの予想通りあに木の根は全てクリスタルの結晶に繋がっていて、まるで巨大な木の根のように張り巡らされている。

そしてゆっくりではあるが動いており、その姿は異質で異常な光景だ。

驚くのはそれだけではない・・・盛り上がった地面の中から巨大な人間の骨の手のような物が出てくる。

その巨人の骨のような手は大きさだけでなく腕の回りには無数の頭蓋骨がくっついている。そしてクリスタルの物質と繋がっていて指の先にはクリスタルと同じ物質なのか鉤爪のように鋭利になってのだ。


『それじゃ・・・行きましょうか』


そう言うと人間の方にあたる部分に乗っていた姫子がクリスタルの結晶に包まれる。




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