断罪ト嘆きノ歯車
神化の名本拠地 機械侵食者狩場
『答えないと言う事は図星なの』
パルパトは先ほどの問いかけに答えないユセに問答無用で攻撃をしてくる。
だがユセが答えたからと言ってもパルパトが攻撃をする事は変わらないが。
ユセはパルパトの弧爪での攻撃を歯車を盾にして防ぐが、パルパトは追撃の手を緩めることはなく今まで室内であった為に使用していなかった翼を、羽ばたかせ歯車を盾にしているユセの後ろに回りこむとライフル銃を生成して攻撃する。
今までパルパトがライフル銃を生成して攻撃しなかったのは自分の手の内を証さない為であり、中距離を主体として戦闘していたパルパトに遠距離からの攻撃手段をあると思わせない為だ。
わざとライフル銃を生成して遠距離からの攻撃手段があるとユセに知らせる事は出来たが、姫子がライフル銃による遠距離攻撃を持っていたので生成しない事にしていた。
1VS1の場合はライフル銃を生成して遠距離からの攻撃手段があると知らしめた方が有利に戦闘ができ、特に近距離、高機動を主体としての戦闘がメインのユセには効果的だ。
ライフル銃を持っていると言う事は遠距離からの攻撃が出来ると一目でわかるものであり、遠距離からの攻撃手段がないユセは近づいて攻撃をしなければならない、しかしパルパトは近接戦闘型のオメガとペアを組んでいるので当然近接での戦闘はオメガにまかせている。
そうする事によってパルパトは自由に戦闘が可能であり、オメガの援護も、撹乱や弧爪によるトラップも出来る。
しかし何故オメガもいない今ライフル銃を生成して発砲したかと言うと・・・ユセを遠くに逃がさない為であり、ユセが距離をとって時間を稼ぐのを防ぐ目的がある。
『油断しましたよ・・・まさか遠距離からの攻撃手段があるとは』
パルパトが発砲した弾丸は惜しくもユセが右腕を翳すことによって顔面への直撃を防がれてしまった。
侵食細胞の鎧を纏っていないユセに右腕からは、ライフル銃によって傷つけられた箇所から血が溢れだし苦痛で顔を歪ませている。
仮面を着けていて分かりにくいが口元が歪ませているのが証拠だ。
『遠距離からの攻撃手段がない貴女にはこの場の戦いは不利。
それでも逃げたりしないのは私が目的であると言う事・・・もしくは時間稼ぎ』
(このパルパトと言う者・・・先ほど言っていた通りのならこのユセより後にきた者である筈。
ならば侵食して私の物にしたいが・・・この状況では)
ユセの上空を飛び回りライフル銃での射撃を繰り返すパルパトにユセは歯車を器用に動かし弾いている。
単発式のライフル銃ではユセの歯車の壁を突破することは困難で、この狩場を自由に飛び回るパルパトに攻撃する手段がないユセには防ぐしかないのだ。
『時間稼ぎだとしたら早く私を倒したらいいんじゃないの?』
遠距離からの単発式のライフル銃では自分の歯車の盾を突破することは不可能だと断言するような発言にも、パルパトは動じる事なくライフル銃で隙を伺いながら攻撃してはいるが、なかなかユセの歯車の壁を突破する事が出来ていない。
それに・・・ユセとの会話でユセの言動をパルパト疑い始めたていた。
(私?・・・ユセは自分の事をユセと言っていた。
しかし今は私の目の前にいるユセは言っていない・・・こいつは本当にユセなの?)
自分の事を今まで言っていた一人称と違うことを言ってたことを疑うのは当然なのか?
ほんの些細なことを疑問に思わない人もいかもしれないが・・・気になる人は気になるものであり、パルパトも気になるようだ。
それにユセの使う侵食細胞の武装強化は、今までこれほどまでに劇的に侵食細胞を変化させた者はパルパトは1人しか知らない・・・偽りの名O オメガ。
オメガもリッチとの戦闘を終えた後にリッチの侵食細胞を受け継いだ化のような大鎌に、背中の翼、高い機動力を身につけていた。
そもそも何故オメガが翼を授かって直ぐに飛び立てたのかパルパト疑問に思っていたのだ。
パルパト自身も翼を持つ偽りの名だが、翼を授かって直ぐに自由に飛びまわれたかと言うとそうでない。
そもそも自分に突然翼が授かってからといても直ぐに飛びまれる者は数少ないだろう。余程センスが良い人間でなければ不可能だ。
空を飛ぶことが出来る鳥でさせ飛ぶ練習が必要なのだから。
しかしオメガはそんな事はせずに飛びまわっていた。オメガのセンスが飛び抜けて凄いと思っていたが、基礎的な動きだけではなく、大斧や大鎌を使用して飛びまわるのはやはり異常なのだ。
考えて欲しい・・・もし人間が動きながら草刈りと薪割りを同時進行出来るのか?
答えは不可能。いくら才能があったとしても素人では出来ない。
なのにオメガがその事を可能にしたということは、翼で飛びまわる方法を知っていて大鎌の使い方を知っていたということになる。
オメガの武器は大斧1本で他に武器を生成して戦闘すると言うことは聞いたとがなかった。
武器を1本化する事によって技やキレをよくすることが目的であったからである。
なのにすんなり大鎌と翼での空中戦闘を可能にしたと言う事はオメガに別の侵食細胞・・・Rの侵食細胞が混ざる事によって使う事が出来たのではないかとパルパトは仮定する。
そして目の前にいるユセはオメガと同じようになっているというのであれば、一体誰の侵食細胞と混ざりあったかということだ。
もしかすればオメガの言っていたユセの探している人物なのかもしれない。
戦闘の最中でもそんな事を考えてしまうのはやはりユセも科学者なのであろう。
『煩い・・・』
そう呟いたユセは盾にしている歯車を動かして回りの瓦礫を巻き上げる。
瓦礫を撒き散らす事によってパルパトの空中旋回能力を削ぐのが目的であり、目潰しもするのも狙いだ。
パルパトは巻き上げられた瓦礫を弧爪で両断する。パルパトが瓦礫を両断する一瞬の隙をついてユセは、歯車の片方を地面に叩きつけて跳躍しパルパトとの距離を一気に縮めて足蹴をしてくる。
『煩いのですよ』
右腕のライフル銃で迎撃しようとしたパルパトの腕を弾きライフル銃を吹き飛ばす。
蹴られた右腕が痛むのかだらりと動かなくなかった右腕を一瞬見たが、今は痛みを堪えながらパルパトは左手の弧爪で次に来るユセの蹴りを防ぐ為に弧爪で盾を作る。
ユセにはいくら大振りの蹴りをしようとも歯車で支え体勢を立て直しす術が有るだけではなく、歯車を分厚い歯車を盾にしたりすることが可能なので接近戦を有利に進める算段なようだ。
接近戦をしてきたユセに対してパルパトのとる行動は一つ・・・
『そんな小さな盾で防げるのすかねぇ?』
歯車を使ってすかさず体勢を立て直したユセはパルパトに再び蹴りをお見舞しようと攻撃を仕掛ける。
対するパルパトは弧爪で出来た盾を蹴りの直線上に動かし防ぐ算段だ。
パルパトが弧爪で出来た盾を動かす事が見えていたユセだが・・・そんな事はお構い無しに攻撃を仕掛ける。
どうやらパルパトの盾ごとうち壊すようで蹴りを止める気はなくパルパトに直撃する。
『ちっ・・・上手く衝撃をかわしましたね』
『くっ・・・やっぱり攻撃力が上がっている!?』
パルパトはユセの蹴りを喰らう瞬間に後方に飛んだ事によって衝撃を殺しただけでなく、的確に蹴りを受け流したことでダメージを最小限にしたのだ。
吹き飛んだパルパトに追撃するようにユセが歯車を回転させて推進力として突進してくる。
ダメージを最小限にしたと言ってもそれは二撃目の蹴りだけであって、最初にユセの右腕を蹴り飛ばした時のダメージは残っている。
苦痛で反応が鈍くなかってしまっているがパルパトは翼を羽ばたかせユセの蹴りを回避する。
『また空に逃げるのか・・・しかし』
ユセが独り言と呟いていたその時・・・飛び立ったパルパトに飛来する影が現れる。
その気配にいち早く気がついたパルパトは弧爪を伸ばして瓦礫に掴まり急旋回して、飛来する影からの攻撃をかわす。
『そろそろだと思うんですけども・・・』
そう言いながらパルパトは自分に飛来した影を目で追う。
純黒色に輝く羽毛はまるで漆のように黒く、この薄暗い場所では目を凝らさなければ発見出来ないほどの色をした体長1m程の鳥がユセの近くに飛来した。
それだけではない・・・別の方向からも此方に近づいてくる音が聞こえ、その音の正体が露になる。
特徴的な前歯に細く長い尻尾、そして地面を掘るのに適した爪を持っている動物が数匹・・・どれも体長は50cmほどだが身体のところ処が鋼色に変色している。
最初にパルパトに攻撃してきたのはユセのペットである鴉型の機械侵食者で、次に出てきたのはその鴉型の機械侵食者に着いてきた鼠型の機械侵食者である。
『なんで余計な者まで着いて来ているのでしょうか?』
ユセは飛来してきた鴉型の機械侵食者に捕まると空中へと逃げる。
鴉型の機械侵食者はユセの指示に従うように整備してはいるがあの鼠型の機械侵食者は違う。あの鼠型の機械侵食者は鴉型の機械侵食者に勝手に着いてきただけでありユセの命令には従わない。
処分しようにも今は戦闘の最中であり、隙を見せれば即座にパルパトに攻撃されてしまうであろう。
なのでユセは一旦地上にいる鼠型の機械侵食者の事は無視してパルパトに攻撃を仕掛ける。
『少しは休息させて欲しいものね・・・』
何やら上空を飛び回っていたパルパトは再びライフル銃を生成してユセを攻撃する。
右腕はユセの蹴りによって負傷した為に、左腕のみの射撃になってしまうが射撃しようとした左腕をユセに蹴り飛ばされライフル銃が手元からこぼれ落ちる。
折れてはいないが激痛によって一瞬ではあるが動きを止めてしまう。
その隙をすかさずユセが攻撃に転じて来るのがパルパトの視界に入ってくる。
『ぐ、あぁぁ』
寸前のところでかわしたパルパトだが無理な体勢で無理な方向に急激に方向転換した事によって、ユセから攻撃された傷に身体が悲鳴を上げる。
『やはり空中戦の差は埋まらないですね』
自身の攻撃をかわされた事に苛立ちを覚えたユセは、パルパトに対して再び追撃の一手をするために攻撃を仕掛ける。
いくら空中戦での経験値が上で、空中での戦闘能力が上だとしても今のパルパトは手負いであるために、追撃してくるユセに対して有効な手段として弧爪での鴉型の機械侵食者の排除を試みる。
『甘い!』
パルパトの鴉型の機械侵食者を狙った攻撃をユセの指示により鴉型の機械侵食者は直前でかわす。
(やはりユセの指示に従っている・・・だとすれば)
パルパトは弧爪を使ってユセの攻撃を受け流し、傷から血を流しながらも飛行を続け必死にこの場を凌いでいる。
ユセの滴り落ちる血に誘われたからのか鼠型の機械侵食者は上空で飛びまわるパルパトとユセをじっと見つめる。
しかしいくら機械侵食者化したからと言っても所詮獣は獣、その口元から滴り落ちる唾液を押さえる事は出来ていないようだ。
『鼠の餌に成りたくなかったらさっさと投降してくださいよ。私も命までは取りませし』
『そんな事に耳を貸せと?』
『もちろん!』
『信用出来ないね』
『別に信用してくれなくていいですよ。実験動物に信用されても仕方ないですしね』
『やっぱり私も偽装機械侵食者に変えるつもりなのね』
パルパトの問いかけにまるで甘美な果実を口にしたような微笑みを抱きユセが答える。
『貴女はとても貴重なのですよあの子と同じように!』
『あの子?』
『おっと・・・口が滑ってしまいました』
『それではお返事を聞かせてください』
『答えはNo』
『それは残念です・・・まぁ精々死体を鼠を食われないようにしなければなりませんね』
パルパトと交渉が決裂した瞬間にユセは攻撃する為に、鴉型の機械侵食者に指示を出し突進を仕掛ける。
『それは貴女も気をつけるべきでは?』
突進してくる鴉型の機械侵食者をかわそうとはしないパルパトに疑問を持ったユセだが・・・もう既に遅くパルパトが張り巡らさせた罠を展開させる。
『機銃結界・・・残念ながら貴女はお仕舞い』
パルパトの合図と共に瓦礫が崩壊しライフル銃が現れる。
それも一つや二つではない・・・合計20門のライフル銃がユセを狙っている。しかもそのライフル銃は全てが別々の瓦礫の中から現れたのだ。
『なん・・・だと!?』
ユセが驚くのも無理はない・・・何故ならこの場所はパルパトがこの機械侵食者の狩場に来た時に仕掛けていた物で、ユセは気がつかない間に誘導されてしまっていたのだ。
『それでは鼠の餌になってくださいね』
そう言うとパルパトの合図と共にライフル銃が一斉に火を噴きユセを蜂の巣にする。
自身の歯車でガードしようともその歯車は空中戦をする為に、鴉型の機械侵食者に掴ませているのでガードが出来ずに蜂の巣にされたユセが地面に落ちて鼠型の機械侵食者が集まってくる。
『さようなら・・・』




