畏怖ト融合ノU
神化の名本拠地第2階層
『隔壁が上がった?
パルパトがやったのか?それとも・・・』
オメガは突然隔壁が上がったことには戸惑ったが今すべき事である姫子の奪還をするべく行動する。
隔壁が上がったということは確実に誰かが動かし起動させたという事であり、その隔壁を上げたのがパルパトなのかそれともユセなのか?
はたまた別の第三者、もしくはトラブルによって隔壁が上げられたのか、今のオメガには考えている余裕は無い。
しかし有難いことにこれ以上不必要な侵食細胞を使用することが無いのは良いことだ。
『この道は!』
オメガは走っていた足を止め、現在進行している方向から見て右側にある通路へと走っていき、とある扉の前にたどり着いた。
その扉には看板がありその看板にはユセの部屋と書かれている。
つまりオメガは最初に第二階層に来たときの場所であるユセの部屋へと帰ってきたのだ。
知っている場所があるというのは何よりも安心する事であり、もしかすると何にか姫子を探す手掛かりになるかもしれないと思ったオメガはユセの部屋へと入っていく。
無論部屋はオメガ達が出て行った通りの姿で、オメガが破壊して第二階層に降りてきたコンクリートの破片が未だに残っている。
部屋に入ると先ほどオメガが散策した方とは違う部屋を散策する。
『これは私室か・・・何か手掛かりは』
オメガはユセの私室にある机や置いてある本等を見てまわるが、研究を纏めた本や日記など好奇心を刺激させる物はあるが姫子の手掛かりになりそうな物は見当たらない。
オメガが探している手掛かりという物は神化の名本拠地の見取図や、神化の名の名前等が記された物だ。
見取図は当然必要であるとして何故名前の記された物を探しているのかと言うと、神化の名の戦力、そして人数を知る事によって今オメガ達のいる立ち位置を明確にするのが狙いだ。
無論虚偽の情報を記した書物があるかもしれないのは十分承知の事実だ。
しかし確かめる手段が無いオメガにとってどれが真実で、どれが虚偽かわ分からないがそれでも1つでも探しだしたいものなのだが・・・そういう物は意外に簡単に見つかってしまう事があったりもする。
『これはこの施設の見取図か?
しかし・・・壁に掛けているのを見逃していたとは』
オメガが見にしている先には神化の名本拠地の見取図が掛けられており、隣には旧アークコードの地図も掛けられている。
そしてそれを隠すように掲げられているのは、見たことも無い旗が大きく掲げられているからなのか・・・白の生地に黒色で書かれた旗は何処と無くオメガ達が来た未来の国旗に似ている。
もしかするとこれは神化の名が掲げる旗なのかもしれないが、オメガは今までこの旗を見たことがない。
最初にネクロートと接触した時も、ユセ、偽装機械侵食者となったリッチと戦った時には見かけなかった。
もしこれが神化の名の旗で有るのであらばネクロートや、ユセの来ている服装に刺繍でも仕手あるのが普通だが・・・もしかするとこの旗はまだ確定した旗ではないので使用していないのかもしれない。
オメガは一通り見取図を見たが重要な事に気がつく。
そしてオメガは現在地であるユセの私室からさほど離れいない研究室から、片っ端から見てまわるがという手段にでる。
『これに書かれている私室は別に見てまわる必要はないかな』
オメガは見取図を片手にユセの部屋を後にする。
神化の名本拠地第1階層侵食細胞研究所
『まずは・・・大きな音でも起てて注意を惹こうかな?』
そう言うとユセは侵食細胞を発動させる。
しかし・・・侵食細胞を発動させたユセはオメガ達と戦闘を繰り広げていた時の仮面とは違う仮面を着けている。
もともとユセの仮面は顔全体を覆う仮面なのだが、今ユセが着けている仮面は目元だけを覆う形になっている。左側には人間の目を縦にした用な模様で目玉の白目部分には、以前ユセが着けていた仮面の幾何学模様が描かれている。そして本来は動かない筈の目玉がギョロリと辺りを見渡す。
そして右側にはUの紋章とVの紋章が重なっている。
本来、侵食細胞に適合し、能力を開花させた偽りの名は各固有の能力の他に仮面も能力の一部として生成される。
普通一度、発現した仮面は変わらず一生そのままだとされていたが・・・今侵食細胞を発動させ生成したユセの仮面は違っていた。それが意味するのはユセの侵食細胞に何者かの侵食細胞が混ざった事を意味している。
そう・・・今は自身の本体をこの施設から脱出させる為に暗躍している者、姫子と同じ仮面を持つ者の侵食細胞・・・偽りの名V ヴィゼイアスの侵食細胞が混じっているのだ。
『これが偽りの名U ユセの力・・・しかし薬や環境の変化なのでしょうか侵食細胞に少しいろいろな物が混じりあっていますね』
侵食細胞を完全展開したユセの姿はオメガ達戦闘していた時とは違い、 ドレスのような武装には違いはないが、 背中から背負う形になっている巨大な歯車が更に大きくなっている。
もともとは人の膝の高さまでしかなかったのだが、今はその歯車がユセの顔の高さまであるのだ。
そしてその歯車とユセを繋ぐ重機等を繋ぐシリンダーが変化し、人間の腕の用な関節に変化しているだけでなく、巨大な歯車には中央部分を囲う用に無数の穴があり、その中から鋭利な光を放っている。何かはあるようだが今は見えていない。
下半身の装備であるロングブーツの用な鎧に取り付けられたローラースケートに変化はない。だが、殺傷力を増す為なのか脛部分には魚の鱗を逆撫でしたようにロングブーツが狂暴化している。
明らかに先ほどのユセ戦闘能力が向上している。
『レベル3といったところですかね』
身体が変化した事にはあまり気にしていないユセは力を確かめる為なのか辺りの壁を殴る。
殴られた壁は衝撃で凹みボロボロと壊れてるの見て満足したユセは近くある機材を破壊して音を鳴らす。
『これで気づいてくれればいいのですがね』
神化の名本拠地 機械侵食者の狩場
ユセの音に反応した鯢型の機械侵食者はまんまと誘き寄せられ、皹の入っている地面を破壊して侵入してくる。
ユセを確認した鯢型の機械侵食者が襲いかかる。
鯢型の機械侵食者からすればユセはあまりにも小さくその大口を開ければ一口で丸飲みされてしまうだろう。
しかし・・・鯢型の機械侵食者が大口を開けてユセを食べようとした時に、ユセの背中の歯車が移動し、鯢型の機械侵食者の攻撃を防ぐ。
そしてユセは直ぐ様歯車に着いているスパイクを起動させ鯢型の機械侵食者を貫く。
機械侵食者化している筋肉を貫くユセのスパイクは、先ほどの歯車から見えていた鋭利な光の正体なのだが・・・明らかに貫いているスパイクは歯車に入りきる大きさではない。
エメラルド色に輝くスパイクに貫かれた鯢型の機械侵食者は悶えることも無く沈黙してはいるが、目だけはしっかりとユセを見つめている。つぶらな瞳だが
『さて・・・少し暴れてもらいますよ。
もちろん私は巻き込まないでくださいね』
そう言うとユセはスパイクを引き抜く。
普通であれば従う筈のない鯢型の機械侵食者がユセの言う事を聞いて暴れて始める。
もちろん鯢型の機械侵食者はユセを巻き込まない用に少し離れて壁や天井、床を破壊している。
神化の名であるユセには機械侵食者化した生物を操る術があるが、それは産まれる前の生物に侵食細胞を注入し、脳の一部を改造、薬品を使って操るのだがユセはそんな事をしてはいない。ただスパイクで鯢型の機械侵食者を刺しただけである。
神化の名本拠地第1階層
『この音は何かが暴れている?』
音に気がついたパルパトは音のする方向に向かって進んでいく。
『あれが音の正体?』
壁越し確認したパルパトの目には暴れて回っている鯢型の機械侵食者が視界はいる。
血を流しながらも其処ら中を破壊する鯢型の機械侵食者の姿は不可解なことで、暴れている理由も知らないパルパトはただ見ているだけである。
『オメガとユセが戦っているじゃないのか・・・それにしても何であの機械侵食者は暴れているので・・・』
パルパトが言い終えるようとしたその時、近くの壁が崩壊する。
突然崩壊した壁に驚いたパルパトは飛び退くと同時に弧爪で崩壊した壁に攻撃する。
何故崩壊したかは分からないがとりあえず攻撃するのは上等手段だ。そもそもここは神化の名の本拠地なので何かあった場合攻撃した方が良いのは当然の事だ。
『誰?』
『おや!?あなたが釣れたのですか?』
『貴女は・・・神化の名U ユセ』
『えぇ、そうですよ』
壁を崩壊させた犯人はユセであり、壁を崩壊させるのに使用した歯車が回転していて、パルパトの弧爪もその歯車で弾かれたようでパルパトの手元に戻ってくる。
パルパトの攻撃を防いだ歯車でユセが襲いかかるが、飛び退ったパルパトには届かなかったのか数歩手前に歯車が落ちて地面を抉る。
『外した』
『違いますよ。そもそも動かしていないのですからね』
そう言うとユセがは歯車を起動させて地面を抉る。
破壊されたコンクリートの破片がユセに飛んでいく。しかしユセの目的はパルパトに破片を投げつけるのではなく、破片と歯車を利用しての囮でパルパトに向かって上段蹴りを食らわしてくる。
咄嗟の判断で自身の翼でガードするがユセの蹴りの重みでメキメキと音がなる。
パルパトが弧爪でユセの動きを止める為に攻撃するが、歯車を利用して立体的な動きをするユセにかわされてしまった。
(以前戦った時とはまるで攻撃方法が違う!
それにあの巨大な歯車は何なのですか?)
パルパトは自慢の空中戦が出来ないだけではなく、先ほどの攻撃で翼へのダメージが大きいのか少し動きが鈍くなっている。折れてはいないが皹が入ったというところだろう。
それに比べてユセはこの狭い廊下でも気にせずに攻撃が可能であり、あの巨大な歯車はこの施設の壁も破壊する事が可能なのでこの廊下での戦闘は有利なのであろう。
『灰華-朱相焔舞』
パルパトが弧爪を最大限に発動させて回転し周りの壁と天井を破壊する。
天井の破壊はパルパト自身が逃げる為に、壁への攻撃はユセに攻撃することによって牽制する意味がある。
パルパトの狙い通りにユセは攻撃を防ぐ為に行動し、パルパトの攻撃で天井が崩れパルパトが脱出する。
『しまった逃げられ・・・』
逃げ出したパルパトを追いかける為に、上の階層である機械侵食者の狩場に向かったユセに対してパルパトが攻撃を仕掛けてくる。
『逃げられると言うことは狙いは私なのですね』
(しまった・・・)
『姫子がどうなったのか話してもらいますよ』
パルパトは自由に飛び回りレベル3となったユセと対峙する。




