機械ノ魔巣
巨大な機械の蟻の巣に入っていった、オメガ、パルパトとメリー達の3人。
薄暗く、狭い巣の中には無数の蟻型の機械侵食者の残骸が散らばっているなかを歩き進んでいると、ふと別れる道にさしかかる。
『灯りをつけてこの程度か・・・結構暗いな』
オメガ達は片手にランタンを持ち、巨大な蟻の巣の中を歩いている。
隊列は接近戦が得意なオメガが先頭、次に中距離攻撃のパルパト、最後に遠距離メインのメリーとなっている。
『オメガ何か先に見えるかい?』
『いや、まだ何も・・・ちょっと待って』
オメガは手をかざし、パルパトとメリーを止める。
『どうしたの?』
『何かあったのか?』
オメガはしゃがむと布切れの様な物を手に取り、パルパトとメリー
に見せるように広げる。
『これは・・・』
オメガが拾ったのは黒い布切れ、普通の場所なら何も気にならないのだが、ここでは不自然である。
しかもその黒い布切れは、何か刃物で切られたようになっている。
『罠か・・・もしくは誰かがこれを置いたのか』
『私は後者だと思うよ』
メリーはオメガの布切れを見つめながら答える。
パルパトも無言でうなずいている。
『俺も後者だな、あの蟻型の機械侵食者がこんなことができるとは思えねぇ』
『それに、こんなことが出来るなら俺らが、1人になったところを強襲すれば倒せると思うんだ』
『パルパトやメリーところには、さっきの見かけた機械侵食者以外に他の奴はいなかった?』
オメガは布切れをポケットにしまうと、確認するように立ち上がる。
『なかった。私が戦った場所はあまり開けていなかったから』
『私の方にも蟻型の機械侵食者は、見かけなかったな』
『あ・・・』
メリーは何かに気がついたのか声をあげる。
『どうした!?敵か?』
オメガとパルパトは、能力を使用しようと右手を顔に近づける。
『いや、違う・・・もしかしたら私の戦っていた場所に何か居たかもしれない』
『なに?』
『私は外で戦ってたから見逃したのかも』
『それはないだろ、お前が見逃すとは考えられないぜ』
オメガとパルパトは、能力発を動しようとしていた右手を降ろす。
『そうだといいけどなぁ・・・』
『まぁ、その事は置いといて先に進むかい?』
メリーとパルパトは頷き、先ほどと同じ陣形になり先を急ぐ。
巨大な蟻の巣に入って10分弱ほどのところで、パルパトがオメガを止める。
『どうしたパルパト?』
パルパトは右手をかざし能力を発動させる。
『能力発動。偽りの名P 機食細胞解放』
『どうしたんだ急に能力を発動させて』
オメガとメリーは驚いたように声を揃え、パルパトの方を見る。
『ちょっと黙って』
『何か近づいて来るの。誘惑の牢獄』
パルパトは両手の弧弦で罠を作り、オメガの前に作りあげる。
オメガとメリーは少し後ろに下がり、様子をうかがう。
少し遠く離れたところから、こちらに近づいて来る足音が聞こえてくる。
『足音だぜ、どうやら蟻型の機械侵食者じゃないようだ。パルパト罠を解除したらどうだ?』
『了解、機食細胞解除』
暗がりから表れた足音の主は・・・メリーと共に行動していた帝の軍勢の中の1人、並木一奈が出てきた。
『並木!?』
『無事だったのか?』
並木と呼ばれる女性は虚ろな瞳をしており、服もボロボロで所々から出血したのか赤い染みがある。
並木は崩れる様にその場に座り込んでしまう。
『メ、メリー様・・・たす、助けて』
メリーに助けを求める様に手を伸ばす・・・しかしその手は何も掴めずに地に落ちる。
並木の胸にはナイフが刺さっており、血が流れ出ている。
無論並木が自ら刺したわけではなく、オメガ、パルパト、メリーも何もしていない。
並木の後ろから人影が見えてくる。
赤のコートに緑のネクタイと両肩に緑の肩パットをしており、両腕に鎖の模様。そして仮面を着けている。
赤のコートにも所々に鎖の模様があり、オメガ達の持っているランタンの灯りに模様が反射している。
どうやら鎖の模様部分は金属で織られているようだ。
仮面は左目の辺りに六芒星の模様、口元は歪んだ微笑みの様な形で、右側にWの模様がある。
そう・・・並木一奈を刺したのはこの人物である。




