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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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戦慄ト破滅ノ鬼門

『な、なんなんだこれは・・・』

『中央本部が燃えている!?』


火の結界塔で警備をしていた帝の軍勢、凪砂・E・トレイトスとウィリアム・ロットマンは燃え盛る中央本部を見て言葉を失ってしまった。

火の結界塔も直線距離的には土の結界塔とはさほど違いはないため燃え上がる炎がよく見える。

そして崩れ逝く瞬間もよく見えている・・・


『崩れた・・・』

『いったい何が・・・』


ただ見ているだけしか出来ない凪砂とウィリアムの無線に通信がはいる。

内容は中央本部近郊で火災が発生した為にその場所が何処かというものであり、本来は機械侵食者(イレギュラー)の監視の為に使用している望遠鏡を使用して見つけてほしいとのことだ。

今回は緊急事態であり特別であるが為に火の結界塔に連絡がはいったのだ。

本来であれば中央本部、又はその近郊の消防団が確認作業をする筈だが、火事の影響なのか連絡がとれないということなのでこちらに連絡が来たのだ。

それもその筈・・・中央本部は叡智の光炎によって爆撃された為に壊滅し、また中央本部近郊も叡智の光炎によってもたらされた二次災害により殆ど機能していない状態なのだから。


『こちらトレイトス・・・中央本部が壊滅しています。

あれでは中央本部の消防団も』

『壊滅だと・・・まさか先程から中央本部への確認の連絡がつかないのは?』

『その為だと思われます。あれではイクサ様達も』

『わかった。お前達は引き続き機械侵食者(イレギュラー)が来ないか見張っていてくれ。

中央本部への派遣はこちらで検討する』

『了解です』


連絡をし終えた凪砂達は引き続き機械侵食者(イレギュラー)の監視の任務を遂行する。

例え帝の軍勢中央本部が壊滅しても、例え同僚が大量に亡くなったとしても任務は遂行しなければならない。

土の結界塔が崩壊してしまった為に今は機械侵食者(イレギュラー)が侵入しやすい状況であり、これ以上機械侵食者(イレギュラー)を入れない為にも監視は必要なのだから。



イルミデンテとイクサ達戦闘地点


『斬光ー無限条の社』


トトの無数の斬撃がイルミデンテに直撃する。

剣の奥義の1つに燕返しというものがある事を知っている者も多いであろう。

素早い燕を撃ち落とす為に編み出された技とされており、一瞬の内に複数の方向から斬る技だとされている。

そして今トトが放った剣撃・・・無限条の社はその技、燕返しを(コード)りの(ネーム)の身体能力で繰り出す技であり1度にして無数の斬撃をあらゆる方向から浴びせる技だ。

トトは(コード)りの(ネーム)の中での攻撃速度は速く、近距離攻撃の中では1番と思われている。

そしてトトが最も得意とした攻撃は居合い斬りであり、本気のトトの居合い斬りの刀身を見た者はこの世にはいない・・・


『1秒間ニ10ノ連撃・・・通常ノ者デアレバ全テガード、避ケキルコノハ不可能ナトトノ奥義。

他愛モ無イ我ガ武装ノ前デハ無意味ダッタ用デスネ』


(儂の奥義が見えているのか?

そしてあの鎧の硬度・・・速さでは駄目なのか)


トトの奥義を余裕で受け止めたイルミデンテにシルベルトとジェスパーが攻撃を仕掛ける。

ジェスパーの機動力によって空中を自在に飛行しシルベルトのガトリングによる遠距離攻撃を回避するのは難しく、機械侵食者(イレギュラー)、帝の軍勢の空軍では足元に及ばない。

大抵の機械侵食者(イレギュラー)に遠距離攻撃が出来る者はいない。自慢のスピードを持つ隼型の機械侵食者(イレギュラー)もシルベルトの探知範囲に入ると蜂の巣にされてしまう。

帝の軍勢の空軍・・・数名しかいないがドックファイトの訓練をした際にはスピードこそ空軍の方に軍配が上がるが、的が小さく小回りが効き尚且つ空中でホバリングが出来るジェスパーの方が有利であった。

そうシルベルトとジェスパーのコンビは空中戦では無敗の強さをもっている。そして空中への攻撃手段が無いイルミデンテでは相手にならない・・・筈であった。


『鬼門ー爆鬼の天井』


イルミデンテの両肩にある盾が十字に割れて中から砲身が露にある。砲身には全てミサイルの弾頭のような物が見えていて数にして15門程。

それが両肩合わせて30門が展開し発射される。


『不味い!?ジェスパー緊急回避、急浮上して』

『わかった』


シルベルトの指示をうけてジェスパーが急浮上してミサイルの射程距離外に逃げようとするが、ミサイルはジェスパー達の方向へ全て飛んでいく。

どうやらこのミサイル、鬼門ー爆鬼の天井はジェスパー達を撃ち落とす為に発射されたようだ。


『ゼータ援護だ』

『了解です』


追われることがなかったゼータがミサイルを撃ち落とす為に弾丸を発射し、後方の2発に命中し爆発する。

すかさずゼータは追撃の為に弾丸を発砲するが・・・ミサイル自身が回避行動をとり、ゼータの弾丸が空を切る。


『かわした!?』

『アノミサイルモ私ノ侵食細胞(オラクル)デ出来テイルノデスヨ。

カワス事ハ容易デスヨ』

『くそ!ジェスパー迎撃する』

『後ろは任せたよ』


ゼータの弾丸の雨を掻い潜ったミサイル28機を迎撃する為にシルベルトのガトリングが火を吹く。

回避出来るからといってもミサイルはジェスパー達の方向に向かって来るので迎撃する事は可能だ。

それにゼータよりもシルベルトの方が弾幕を張れる。

シルベルトの弾丸によって残りの28機のミサイルの内半分を一瞬の内に撃ち落とす。

流石の弾幕だと称賛されるだろう。


『鬼門ト言ッタデショウ。逃レラレマセンヨ』


そう言うと残りのミサイルが加速し始める。

やはりイルミデンテの侵食細胞(オラクル)で造られているからなのか驚異的に変化して襲いかかる。

ジェスパーも一気に速度を上げる。しかし速度が増した分旋回機能の低下を恐れ直線的になってしまうのは仕方のないことなのか・・・


『硬い!?』


イルミデンテのミサイルが変化したのは速さだけでは無かったようだ。

シルベルトの弾丸を弾く程に硬化したミサイルの残りは10機・・・とてもではないが回避する事も迎撃する事も出来ない。


『ジェスパーこちらに来るのだ』


ジェスパーとさほど距離も遠くないイクサが呼んでいる。

どうやらイクサは10機のミサイル全てを引き付けるつもりらしい。


『迎撃出来るの?』

『任せろ策はある』

『イクサ様・・・まさか』


イクサとジェスパーが入れ違いミサイル全てが爆発し、煙が晴れイクサの姿が露になる。

美しかった鎧の所々が黒色に焼け焦げ、凹み、傷ついている。

どうやらイクサがミサイルと衝突し全てを道連れに破壊したようだ。


『金剛白蝕ー堅鎧ー硬翼ー極守ヲ使ッテノ特攻・・・シカシ威力ニ問題ガアリマスネ。

10機モイタノニ倒セナイトハ』

『イクサ様!』

『Zの適合者よ、お主はイクサの手当てを。

私達が援護する』

『感謝します。イエスメデス様』


負傷したイクサの元にゼータが駆けつける。

イエスメデスの鉄扇での攻撃は効いていないのかイルミデンテの動きが鈍る事はない。

それにどうやら神化したイルミデンテ相手にはイエスメデスの鱗粉は意味が無いらしく、鉄扇に纏わせた鱗粉で殺傷した事による身体能力低下も見られない。

そもそもこの状態のイルミデンテが血を流すものなのか疑問ではあるが。


『妾の攻撃も意味が無いとは・・・こやつは血を流すのか?』

『儂の剣撃でも傷がつかないからの、相当な硬度じゃ』

『それだけじゃない全ての攻撃が一撃必殺。あの大砲は撃てないとしてもミサイルが厄介』

『それにイルミデンテとリンクしているようで、速度や硬度も変化しますね。

もしかしたらイルミデンテ自身も変化しているのでしょうか?』


イルミデンテに攻撃を繰り出しながら今までに得た情報を共有するトト達、脱落者こそはいないがこちらの攻撃が通じないのは歯痒いものがある。

ミサイルが直撃したイクサだが意外な事に負傷した箇所はあまりなく、鎧や盾にダメージの方が大きい。

イクサの侵食細胞(オラクル)、クインティアの侵食結晶(オラクリリス)には再生能力を持っているだけでは無いので、傷を再生させる事は出来ないが未来の技術を使用すればある程度の出血を抑えることは可能であり、ゼータが治療をおこなっている。


『無茶しますね・・・いくらクインティア様の侵食結晶(オラクリリス)を使用し能力を強化したからといっても、あの数では負傷してしまいますよ』

『すまないな。しかしジェスパーとシルベルトではあのミサイルが直撃してしまえば致命傷は免れないであろう』

『イクサ様が倒れては意味がないのですから』


イクサの治療が終わりゼータ、イクサも戦線に参加する。

今のところイクサが1番攻撃力が高く、次にトト、そしてシルベルトと続いていき、ジェスパー、イエスメデスは主にサポート型である為に攻撃力は劣る。

ゼータに対してはデータが集まってはいないので未知数・・・イルミデンテが2番目に警戒している相手だ。

ちなみに1番はイクサである。

理由はクインティアの侵食結晶(オラクリリス)を使用したイクサの戦闘力もまた未知数だからだ。


『・・・アル程度ノデータガ集マリマシタネ。今度ハ強度テストデスヨ』


イルミデンテの呟きと共に能力を発動し武装が変化する。

両足部分を固定するようにアンカーが撃ち込まれ、上半身の至るところに銃口のような物が出てくる。

銃口の大きさはそれほどないが何しろ全方位に隙間なく展開しており、左腕の大砲ほどの威力はないにしろ数が多すぎる為にかわすことは不可能に近い。

確実にダメージを負わせる攻撃だと考えいいだろう。


『重漠ー鉄色の雨』


イルミデンテ変化した銃口が火を吹き辺り一面に弾丸の雨を降らせる。

全方位逃げることが不可能の弾丸の雨をイクサは翼と盾を使用して防ぐ。後ろには近くにいたゼータもいるが他の(コード)りの(ネーム)は距離が遠い為に助けには行けなかった。

イエスメデスは鉄扇を2つ合わせ身体全体を覆いように展開させる。

トトは近くにある瓦礫を斬り倒して盾のように使用するが・・・瓦礫程度ではイルミデンテの弾丸の雨を受け止めることは出来ずに崩壊してしまう。

ジェスパー、シルベルトは浮上しることによって弾丸の雨から離れ、シルベルトのガトリングガンで撃ち落とそうとするが何しろ数が多く、先程のミサイルと違い的も小さいので撃ち漏らしてしまい直撃する。

1分ほど撃ち続けたイルミデンテの周りには薬莢が散らばり小さな山が出来ていた。


『いったいどれ程の侵食細胞(オラクル)を使っているのやら・・・皆無事ですか?』

『私とイクサ様は無事です』

『儂の方はなんとか・・・脚一本ですんだわい』


イエスメデス、イクサ、ゼータは無事だがトトは弾丸を脚に直撃してしまい機動力に問題が生じている。

そして空中に逃げたジェスパーとシルベルトは・・・シルベルトが盾になるようにしてジェスパーを守ったらしい。

ジェスパー自身も少なからずダメージを負っており所々から流血が見られる。

そしてシルベルトは・・・既に息絶えてしまっていた。

親友の亡骸を地面に置き叫ぶジェスパー。

怒りのままに侵食細胞(オラクル)を暴走させ身体能力を限界まで高めてイルミデンテに突撃をする。

イエスメデスの言葉も無視し、鉤爪を強化しての攻撃をイルミデンテは盾で防ぐ。

突撃スピードが速ければ速いほどエネルギーは大きくぶつかった衝撃も大きくなる。イルミデンテは盾の強度を利用しての反撃ダメージを狙ったのだが・・・鉤爪が壊れる事はなく盾がバキバキと音をたてて凹み、壊れていく。

強靭な鉤爪を使い、そして限界まで高めた身体能力を使って、イルミデンテの肩に付いている盾を肩から引き千切る。

引き千切られた盾からは配線の様な物やねじ切れた配管が出てきており、バラバラと周りに散らばっていく。

配線は引き千切られた為なのバチバチと火花を出しているのも見られ、ねじ切れた配管からは赤い血の様な物が流れ出ている。


『シルベルトの仇ぃぃぃ』


盾引き千切っても尚も治まりきらないジェスパーの怒りはイルミデンテ本体に攻撃を仕掛ける。

今度は防ぐ盾もなく、先程の直線的な動きとは違い捕まらないようにしての攻撃に機動力の劣るイルミデンテは為す術がなく神化したイルミデンテの中央部分に直撃する。


『な、なんだそれは・・・』


中央部分の装甲を破壊したジェスパーが見たのは・・・神の座に着いたイルミデンテの成れの果て。

巨大な黒色の侵食結晶(オラクリリス)が中央部分に存在しているのみであり、その侵食結晶(オラクリリス)から各器官に配線や配管がされている。

そう・・・既にイルミデンテは自身の肉体を捨て、侵食結晶(オラクリリス)だけとなりこの世界に君臨していたのだ。


『ジェスパー速く逃げるのじゃ!』

『えっ。あ・・・』


予想外のイルミデンテの姿に呆然としていたジェスパーに、弾丸の雨が浴びせられる。

侵食細胞(オラクル)を暴走させ身体能力を強化してもジェスパーは強化状態と、強化前ではあまり防御には変化がない。

その為に弾丸を浴びてしまったジェスパーは既に致命傷であり、最早あれでは助からないだろう。

ヨロヨロと翼を羽ばたかせシルベルトの元へと飛んで行くジェスパー。イルミデンテはただ見ているだけであり追撃をしてくる気配はない。観察をしているようにジェスパーの見ているだけだ。


『シル・・ベル・・・ト』


最後にシルベルトの名前を口にしたジェスパーはその場に倒れる。シルベルトとジェスパーは互いに手を繋いでいるよう倒れ息絶えてしまった。

中央部分の装甲を再生し終えたイルミデンテは再び動き始める。

回復速度が遅いのか、それとも出来ないのか、ジェスパーに破壊された肩の部分が再生する事は無かった。


『1ツ失ッテシマイマシタネ・・・問題ハ無イデショウガ』


イルミデンテは神妙な事を呟きながイクサ達向けて攻撃を開始した。


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