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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
73/100

拒絶ト戦慄ノ蛇

『金剛斬鎖!』


オメガは叫ぶように技を発動させ姫子を貫いている触手を叩き斬る。

自身の侵食細胞(オラクル)を大斧へ侵食させ、防御を捨てた捨て身の攻撃でありその反動なのか弧爪で押さえつけていたパルパトにも振動が伝わってくる。


『お、オメガ・・・』


パルパトが見たのはオメガであってオメガではない人物。


ぼろぼろの身体を無理やり侵食細胞(オラクル)で動かし、身に纏う鎧を生成し始める。

悔しさなのかそれとも憎しみなのかは分からないが、叫び、血が出るのも構わずに生成した鎧は以前のオメガの鎧とは違い禍々しく変化していた。

オメガの感情を汲み取ったのか、それともRの侵食結晶(オラクリリス)の力なのかは不明だ。


『姫子を救う・・・パルパト!

援護しろ!』


オメガが怒号を吐きながらネクロートへと突っ込む。

禍々しき鎧を身に纏い自身への侵食細胞(オラクル)の侵食を気にもしていない無茶苦茶な戦闘の仕方だ。


『オメガ・・・』


パルパトは戸惑いながらも弧爪の能力を使いネクロートを抑えるが、パルパトも弱っているのであまり長くは抑えることは出来そうにない。


『きぃぃぃぃあぁぁぁぁ』


ネクロートが再び叫び声をあげる。

しかしながらオメガを近寄らせない為に叫んだネクロートの喉元に大鎌が迫りくる。

咄嗟に回避をしようとしたネクロートだがパルパトの弧爪が身動きを邪魔したが、なんとか回避する事に成功はした・・・と思っているとオメガが大鎌の軌道を無理やり変えて攻撃してくる。

虚を突かれたネクロートは大鎌を避けきれずに直撃してしまう。


『ぐ・・・あぁ』


右肩に深々と刺さった大鎌を抜こうと手をかけたその時・・・オメガが無理やり近づき右腕を引き抜いた。

ネクロートが叫ぶよりも早くオメガはその場を離脱し、姫子の方へと近づく。


『パルパト拘束はもういい姫子にあの薬を注射するんだ』

『オメガでもあの薬って』

『時間がねぇんだよ!姫子はまだ生きてる』

『り、了解・・・』


パルパトが弧爪の拘束を解き、ネクロートが自由になる。パルパトは姫子の元まで飛びオメガからネクロートの右腕を譲り受ける。

先ほどオメガが言っていた薬とはネクロートが使用した物で、投与された者の身体能力、そしてこれはオメガの予想なのだがもしくは傷の再生も可能な薬かもしれないからだ。

真っ当な薬でないのも理解している。

何せ投与したネクロートの姿が変化してしまったのだから。

もちろんネクロート自身の侵食細胞(オラクル)の影響なのか、それとも神化(エヴォルグ)(ネーム)の能力なのか不明だがこの際僅かな可能性にでも賭けたいのは仕方ないのか・・・


『腕が・・・ワタしの腕がァァァ』

『腕には用はなかったがついでに貰っていくぜ』

『・・・ソノ傷で良く動けマスネー

ソンナニあの子ガ大事ですか?』

『あぁ・・・大事だ』

『それは残念デスね。あの薬ヲ使ってモ助かラナイよ。

あの薬は侵食細胞(オラクル)を持っていナケレバ意味がナイデスカラ。

・・・普通のニンゲンなら耐えられないよ』


オメガに引き抜かれた右腕は徐々に傷が癒えたのか血が止まり腕が再生してきている。

ネクロートは再生し終えた右腕の感覚を確かめる為なんのか、握ったり開いたりして動き方を確認する。


(腕失ったのにも関わらずにもう再生したのかよ・・・)


傷口から出血を侵食細胞(オラクル)のによって何とか塞いでいるオメガは、パルパトが姫子に注射するまで動けない。


『オメガ・・・本当にいいの?

アレが言ったことが正解なら』

『確信がもてないさ・・・だけど俺は姫子に生きて欲しいんだ』

『後悔はないのね』

『あぁ・・・ないさ』


オメガの意思を再確認したパルパトは姫子に向かって注射を射つ。

ネクロートも完全に再生した右腕にガントレットを創造し、オメガに短剣を構えて攻撃を仕掛けてくる。


(速い・・・が、対象は可能だ)


ネクロートの突進を大鎌で受け流し、相手の勢いを利用してそのまま叩きつける。

勢い良く地面に叩きつけられたかと思われたネクロートだが触手で身体を支え、まだ残っている触手でオメガに攻撃を仕掛ける。


(やっぱりこの触手は邪魔だな)


オメガは大鎌を手離し、自由になった左手と右手で大斧を握りしめ渾身の一撃を撃ち込む。

普段であれば止め等に使用するが今回、ネクロートの行動は自身に傷つくのも躊躇わない突進的な攻撃であり、速さに騙されはしたが動きは素人らしい。

案の定ネクロートの触手と激突したがオメガの渾身の一撃は重く、ネクロートの触手が音を上げながら壊れ始める。


『ぎぃぃ・・・潰す!』

『痛みは残っているようだな』


壊れた触手を後方に戻すと一端退避する為にネクロートは後ろへ跳び退こうとした時、オメガは追撃とばかりにネクロートにドロップキックをお見舞いする。

ガードをするのを忘れたのか、それともしないだけのかネクロートの顔面に直撃し吹き飛ぶ。


(くそ・・・無理し過ぎたか。傷が)


攻撃を当てた筈のオメガも傷を抑えて耐えている。

吹き飛ばされたネクロートは壊れ欠けた仮面を修復し終えると、触手の再生に回したのか動きが鈍くなっているように思える。


『オメガこっちは終わった』

『パルパト姫子は!?』

『まだ分からない・・・だけど傷が再生していってる』

『・・・それは成功なんじゃないのか?』

『それは息を吹き返してからいってね』


姫子に注射をし終えたパルパトがオメガの隣につく、今までパルパトはネクロートの動きを止める事に専念していたが今は違う。

敵意を剥き出しにして弧爪を構える。

パルパトがこれ程感情を剥き出しにするのは珍しく、やはり姫子が攻撃された事に腹をたてていたのであろう。


『再生シタ?そいつは普通のニンゲンなのか?』

『驚いているのか?』

『当然・・・私も科学者ナノですからね』

『その化け物みたいな姿が研究の成果なの?』


ネクロートはパルパトの問いかけに答えない。

ただ不思議そうに首を傾げパルパトを見つめていた。


『息を吹き返すまであとどれくらいだ?』

『あの再生速度なら・・・10分もすれば』

『了解だ。それまでこいつを足止めする』

『オメガ身体は大丈夫なの?』

『あぁ・・・アドレナリンが出ているからなのか今は痛みを感じない』

『無理しないで・・・3人で帰るんだから』

『そうだな・・・俺達は3人でチームなんだからな』


パルパトから姫子が再生するまでの時間を聞く、それまで何としても耐え抜く算段だ。

その後は姫子を連れての撤退戦になるだろうが苦労するのは目に見えている。

ネクロートには異常なまでの再生能力があり、触手による爆発的な加速も撤退戦を難しくする要因だ。

しかしながら再生出来るといっても傷を負うと血が流れ、痛みを感じるのは明確であり、そこに攻め込めば活路を見いだすことは可能だ。


『最後のワカレは終わりマシタか?』

『最後にはならないさ』


鈍くなっていた動きが元に戻ったのかネクロートは再び攻撃を仕掛ける。

今度の攻撃は短剣と触手2本による多重攻撃!

ターゲットはパルパトなのかオメガの方を牽制するように残りの触手で行く手を遮る。


『狙い通り・・・』


そう言うとパルパトはネクロートに向かって弧爪で攻撃する。


『アマイ!』


パルパトの攻撃を最小限の動きでかわしたネクロートが、短剣での刺殺攻撃と、触手による攻撃でパルパトを仕留めにかかる。

短剣の攻撃をかわしても触手による追撃によってダメージを負うことは確実な攻撃なのだが・・・パルパトは奥の手を起動させる。

今まで飛ぶ為に使用していたパルパトの翼・・・パルパトが軽いとはいえ人一人を余裕で浮かばせるだけの筋力を持ち、巨大でパルパトよりも大きな翼を身を守るように前に向け能力を発動させる。


『金剛白蝕翼ー極守』


パルパトが能力を発動させたと同時に翼が金属のように変化する。

純白の翼が金属の輝きを放つ姿はこの場に似つかわしくなく、その姿のまま動かないでいるとまるで彫刻のようである。

その翼に躊躇いもなくネクロートが突進していく。止まれなかったのかそれと止まる気がないのかは分からないが、ネクロートの短剣とパルパトの翼がぶつかり金属音が響きわたる。

するとどうであろう・・・ネクロートの短剣は折れ、パルパトの翼は無傷であった。

しかしそれでもネクロートの攻撃は止むことは無く、触手を使ってパルパトの翼を握り潰そうと先端が開き襲いかかる。

攻撃の衝撃でネクロートが後方へと吹き飛ばされる。


(何だ?今のは?自ら後ろに引いた?)

(思い通り・・・これで!)


ネクロートの攻撃で吹き飛ばされた筈のパルパトは見事に着地し、ガードに仕様していた翼を展開すると弧爪を思いっきり引っ張る。

するとネクロートの後ろから壊れたビルの残骸や何らかの破片が飛んでくる。数にして10。

どの残骸や破片の大きさも人を押し潰すには十分な大きさだ。

流石のネクロートも死角からの攻撃、しかも10個の瓦礫はどれも大きく短剣程度では破壊出来ず触手による攻撃でやっと防げる程度で、4本の触手で撃ち落とそうとするが足場が悪くバランスを崩して瓦礫が直撃してしまう。


『くそがぁぁぁ』


叫び声と共にネクロートが瓦礫の下敷きになる。しかしながらネクロートの触手や再生能力は強力であれで倒されたとは考えにくい。


『オメガ!』

『了解だ!』


ネクロートがパルパトに攻撃を仕掛けたと同時に瓦礫の範囲外に離れいたオメガが近づいてくる。

今度こそネクロートを倒す為に渾身の一撃を喰らわせる為に。


『邪魔だぁぁぁ!』


ネクロートの声が聞こえ山積みの瓦礫に徐々に皹が入る。

やはりネクロートは生きていたらしく今も瓦礫を撤去しながらその殺意をパルパトへと向けて向けているのであろう。

瓦礫が大きく揺れ動き、吹き飛ばされネクロートの姿が見えてくる。ネクロートの触手は頑丈なのか多少凹む程度でしかなく、ネクロートも以前健在だ。


『金剛鉄蝕斧ー極攻』


オメガは能力を発動させ全身に身に纏っている鎧の侵食細胞(オラクル)を全て武器である大斧に送り込む。

オメガの身長程の大斧が更に巨大化し、鋭利な輝きを放っている。

禍々しく不気味な程に鋭利になった大斧を全てを両断する為に天空へと掲げ・・・降り下ろす!


『な・・・』


声をあげようとしたネクロートが一刀両断される。

ガードをしようとしていた触手も両断されただけでなく、周りの瓦礫、地面までもが斬れてしまった。

大斧を降り下ろしたオメガも侵食細胞(オラクル)を一ヶ所に集め攻撃した為に、全身の筋肉が悲鳴をあげ激しい痛みが襲いかかる。

パルパトの金剛白蝕翼ー極守が防御に特化させた技であれば、オメガの金剛鉄蝕斧ー極攻は攻撃に特化した物でどちらも侵食細胞(オラクル)を過度に消費するだけではなく、体力、気力共に持っていかれる技だ。

その技の反動なのであろうオメガはその場に立ち尽くし、額から汗が流れて来ていた。


『オメガ大丈夫・・・じゃないね』


パルパトが立ち尽くしているオメガに近づくと懐から注射器を取りだしオメガに注射した。

この薬は侵食細胞(オラクル)を強制解除させる薬であり、何度かオメガにも使用していたものだ。


『助かったぜパルパト・・・彼奴は』

『流石に死んだんじゃないの・・・オメガの奥の手も使ったんだし』

『だといいんだけどなぁ』


侵食細胞(オラクル)を解除してもらったオメガは怠そうにしている。

パルパトはオメガほど侵食細胞(オラクル)を消費していないのか能力を維持したままである。

流石に翼は元に戻ってはいるが。


『パルパト姫子は?』

『オメガは大丈夫なの?』

『俺の事はいい。戦闘は出来そうにないが』

『見てくる』


パルパトはオメガを置いて姫子の様子を見に行く。

戦闘出来ないと言ったオメガの事は不安だがそれよりも姫子の方が気がかりだらだ。

最悪、機械侵食者(イレギュラー)に襲われたとしてもオメガならパルパトが戻るまでもち堪える出来ると考えたからでもある。


『オメガ大丈夫、傷は塞がっている。

それに・・・ちゃんと息もしてる』

『良かった・・・』


姫子の生存を確認出来たからなのかオメガはその場に座り込む。

今まで無理をしてきたつけが廻ってきたか気を抜けば今にでも倒れてしまいそうだ。

オメガは気力を振り絞りパルパトの方へと歩き始めた矢先・・・オメガ後ろから瓦礫が崩れ落ちる。

オメガが振り向き、パルパトと共に目にしたのは・・・両断された筈のネクロートが動いている姿だ。

いや・・・正確にはネクロートではなくネクロートの背中から這えている触手が動き始めただけであり、ネクロート自身からは夥しい量の血が流れている。

虫や動物も頭を斬られたとしても動ける事があり、今のネクロートはそのような状況なのか辺りを破壊し暴れ廻っている。

あの爆発的な力が無尽蔵に暴れ回れば侵食細胞(オラクル)での武装が出来ないオメガ、そして遠くではあるが目覚めていない姫子が直撃すれば重症は免れない。

数分もすれば収まるがそれまでにはあの攻撃をかわさなければならないのはかなり難易度だ。


『死んでも厄介な奴だぜ』


オメガにネクロートの残骸が襲いかかる。

最早かわす気力も残っていないオメガは静かに瞳を閉じ、訪れる終焉を待っていたが、瞳を閉じていたオメガの耳に銃声が聞こえてくる。


瞳を開けたオメガが見たのは物言わぬ肉塊が2つ。

2つに別れて暴れ廻っていたネクロートの残骸には1つ1つに弾丸の後があり、それが原因で動けなくなかったのであろう。

オメガは銃声が聞こえた方を振り返るそこには・・・ライフル銃を構えている姫子がそこにはいた。


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