革命ト革新ノZ
帝の軍勢中央本部近郊・・・機械侵食者侵食隔離区画
『これが偽りの名の力・・・』
『すげぇ・・・あの機械侵食者がいとも簡単に』
『これで奴らを殲滅できますね』
『この力で平和を取り戻すんだ!』
『あぁ!俺達の失った物を取り戻す!』
侵食結晶によって手にいれた力を使い、帝の軍勢は現在機械侵食者との戦闘を開始している。
各部隊より選ばれた人間・・・侵食細胞に選ばれた10名が戦闘をしており、各隊員が機械侵食者とい1対1の戦闘を開始している。
通常であれば4人でチームを組み、それぞれが囮や狙撃を担当して倒すのが一般的な機械侵食者との戦闘方法だ。
しかし今は違う。
擬似的にだが偽りの名の力を使用することによって戦略が大いに広がり、機械侵食者との戦闘が有利に進んでいる。
『こいつで止めだ!』
『ミッションコンプリート』
『おわりー』
『ぼ、僕も倒しました』
各隊員がそれぞれ機械侵食者を倒しきれた事に喜びの言葉をあげる。
今まで多数の死傷者を出しながら苦戦して倒していた機械侵食者を、今では全員無事で死傷者が出ていないのだから。
負傷した隊員がいるものの全員自力で動くことが出来るのは大いなる戦果だ。
『機械侵食者相手に死傷者が出ないのは素晴らしいことだな』
『そうですね。これで今までの苦労が報われましたね』
『本当にそうしょうか?』
各隊員が声の方向に振り向く。
機械侵食者を倒し終え喜んでいる帝の軍勢に水を差す人物がやってくる。
ガスマスクのような仮面着けていて太っている、仮面にはIの紋章。右腕には見たことのない銃らしき物を持っている。
先ほどまでいなかった人物で、この中央本部近郊には機械侵食者と帝の軍勢しか居らず、一般人が立ち入ることは出来ないようになっているにも関わらずにこの場にいるということは噂の神化の名である可能が高い。
『貴様何者だ!?』
『武器を捨てて両手を上にあげなさい!』
『嫌ですよ。これは私の自信作なのですから』
『警告はしたぞ』
1人の帝の軍勢がイルミデンテに向かって発砲する。
狙った場所は右足で行動不能にするのが目的の発砲であり命を奪うのが目的でない。
『私が何故この場にいるのか考えいないのですね』
イルミデンテ向かって飛んでいった弾丸はマントを翻したことによって反射され明後日の方向に飛んでいく。
それを見ていた他の帝の軍勢も危険と判断したのか一斉に狙撃し、身動きを封じるようにして展開してイルミデンテを拘束しようと試みるが、イルミデンテの方が一枚上手だったのか攻撃をかわし、近くに落ちていた瓦礫を壁にするようにして攻撃を防ぐ。
『手榴弾を使う!多少手荒くなっても確保するぞ!』
『了解!』
1名の帝の軍勢がイルミデンテの隠れている瓦礫に向かって手榴弾を投げつける。
手榴弾が爆発し瓦礫が飛散してイルミデンテの姿が露になる。
『チャージ完了・・・全て薙ぎ払いますよ』
イルミデンテの持っていた銃が展開して各装甲が露になり、銃身は放熱をしているらしく蒸気をあげて稼働している。
この銃は今までにイルミデンテが持っていたレールガンと基本的には同じだが、高出力を出せるが故にチャージが必要で、1度撃てば再チャージまでのラグがある武器なのだが・・・その分威力、射程共に大幅に強化し、威力にいたっては弾丸1つで10階立てのビルを倒壊させる程の威力がある。
射程に関しては5kmまでの届く、しかしながら精密射撃には向いてはいない。
『行動させる前に討ち取れ!』
『もう遅いですよ!解放』
イルミデンテの掛け声と共に放たれた弾丸は展開じていた帝の軍勢の一部を薙ぎ払い、一瞬にして6名が犠牲になってしまった。
一瞬で半数以上の仲間を失った帝の軍勢は体制を立て直そうと後退しだすが・・・新手の機械侵食者に襲われ死亡してしまう。
新手の機械侵食者は空から飛来して来ており、先に帝の軍勢を襲った数を足しても数はおよそ30はくだらないほどである。
しかしながら機械侵食者としては不完全なのが大半を占めていて、翼・脚・口元などが機械侵食者化しているのが見てとれる。
この機械侵食者は即席で作られており、飛行できる蜂型が選ばれたのだ。
『これでこの指輪の秘密が分かりますね』
イルミデンテは機械侵食者が食べ残した指輪を手に取り調べようと覗きこむ。
本来であればこんな事をしている場合では無いのだが、イルミデンテも研究者であるが故に気になる事を先伸ばしにしてはいられない性格なのだ。
『・・・なっ!?砕けた?
まさか!?』
イルミデンテの持っていた指輪に皹がはいり砕け散る。それが引き金となったのかまだ無事な指輪も砕け散り、残り全てが砕け散ってしまった。
砕け散った指輪は先ほどまでの紅蓮色が色褪せ、効力が失われたのか指に嵌めても反応がない。
『何故砕け散ったのでしょうか?』
『秘密を守る為に決まっていますわ』
『先手を打ったつもりなのだが無意味だったようだな』
イルミデンテの問いかに答える者が現れる・・・白き美しい翼を携えた純白の騎手と燃えるような真紅の翼を持ち、真っ赤なドレスを身に纏った貴婦人だ。
どちらも顔を隠すように仮面を着けている。
貴婦人の仮面は先程の帝の軍勢と同じように目元を隠してはいるが、先程の仮面とは違い右側にZの紋章が刻まれている。
純白の騎手は偽りの名X イクサであり、もう1人は偽りの名Z ゼータ・・・イクサの元で帝の軍勢の参謀の四季葵である。
『Zの適合者・・・実在していたのか?』
『イルミデンテ今日で貴様との因縁もこれまでだ』
『世迷い言を・・・Zの適合者もろとも葬って差し上げますよ』
イルミデンテの指示で蜂型の機械侵食者はイクサ、ゼータの元に襲いかかる。
(本来は中央本部への奇襲用でしたが仕方ありませんね。
まぁ・・・半分は囮として使用してもう半分は中央本部へと奇襲させますから大丈夫でしょう)
そうイルミデンテが考えていると、イクサが蜂型の機械侵食者を退けイルミデンテに斬りかかってくる。
どうやら蜂型の機械侵食者をゼータに任せて本丸であるイルミデンテを撃ち取ろうという考えなのだ。
ゼータはドレスを翻し優雅にダンスをするようにして蜂型の機械侵食者の注意を惹き付ける。
優雅に舞うゼータは美しく、紅蓮の翼から舞い散るようにして落ちる翼もまた彼女を引き立たせる為の演出かのようだ。
(何故?機械侵食者がZの適合者だけに集まるのだ?)
迫り来るイクサの攻撃をかわし、指示に従わない機械侵食者の事が気掛かりなのかイルミデンテは距離をとる。
しかしながら空を飛ぶことが出来るイクサは障害物など気にすることなくイルミデンテに近づき、手に持っている純白の槍で連撃を開始する。
(この程度の連撃なら)
イルミデンテは手に持っていたレールガンを捨てると、懐に手を入れ純黒色の宝石をはめた指輪を取りだし握り潰す。
すると握り潰した右手にサブマシンガンが出現し、連撃を開始しているイクサの槍を受け流すとイクサに向かって発砲する。
だがそこは偽りの名最強のイクサである。
間一髪で左手の盾でガードし、更なる弾丸の雨を避ける為に空中へと飛び立つ。
(被弾したか?
それにしても一瞬にして武器を取り出しただと!どういうことだ)
空中に避難したイクサの右足には被弾したのか鎧の一部が掛けてしまっている。
イクサが空中に避難した後に後方から発砲音が聞こえ、蜂型の機械侵食者の大半が撃墜されたのか地上に落ちていた。
良く見るとゼータの両腕にはリボルバー型の拳銃が握られおり、それから発砲したのだとわかる。
(くそ!?何故だ?
Zの適合者の力なのか?機械侵食者が指示に従わない)
ゼータの美しき舞いに見とれているのかは不明だが、蜂型の機械侵食者はゼータの周りを飛んでいるだけで一向に攻撃をしようとしていない。
イルミデンテが指示をだして帝の軍勢中央本部に攻撃をさせようとしていた残りの半分も未だ動かずにいる。
(これがZの侵食結晶の力・・・20年の苦労がやっと報われた。
これでイクサ様と並んで戦える!)
Zの侵食能力によって産み出された弾丸を再装填し、蜂型の機械侵食者を攻撃しようと標準を合わせ引き金を引く・・・まるでダンスホールにいるように華麗に舞い優雅に攻撃する。
飛び散る血飛沫や弾丸の薬莢でさえも演出のように美しく、蜂型の機械侵食者が撃ち落とされていく姿もまたゼータを引き立てる演出に過ぎないのかもしれない。
(全滅だと・・・)
イルミデンテが用意した蜂型の機械侵食者が全滅してしまい、帝の軍勢中央本部へ攻撃手段を失ってしまった。
全滅したのを確認するとイクサはゼータの元に行き労いの言葉をかける。
敵を目の前にしてのこの行動は余裕のあらわれなのか、20年間の苦労が報われたからなのか。
『イルミデンテこれがZ ゼータの力だよ』
『貴殿方、神化の名に未来はありません。
そして神化というのも存在しませんよ』
イクサが槍を、ゼータが拳銃をそれぞれイルミデンテに向かって突き立てる。
純白の翼と紅蓮の翼が広がり、天使とも言える程に神々しくなったイクサとゼータにイルミデンテは問いかける。
『進化とは常に多種多様に自身の細胞を変化させ世界に対応することであり、生物にとっての最適化である。
そして!神化とは人類を・・・世界そのものを進化させることなのだ』
『世迷い言を・・・貴様の力では出来んさ』
『確かに・・・だが機械侵食隕石の力を使えばどうであろうか?』
『なに!?』
イルミデンテは懐から試験管を取り出す。
試験管には純黒の液体が入っており、その色は光さえも拒絶しているのか輝きもない。
『まさか・・・ヴィゼイアスの結晶を壊したというのか?』
『我々人間も進化する・・・そして細胞も』
『侵食細胞自体が進化したのか?』
『正解です!我々の力も機械侵食者の変化も元を正せば全ては機械侵食隕石による進化の形・・・20年もの歳月をかけて侵食細胞がヴィゼイアスの結晶に亀裂を産み出し、流れ出たのですよ!』
イルミデンテが試験管の液体を飲み干そうしているのをゼータが狙撃しようと引き金に手をかける。
『イクサ様私が・・・』
『よい・・・見守ろうではないか』
『よろしいのですか?』
『ゼータ、私も研究者なのだよ。
見たいのだイルミデンテが言う神化というものを』
イルミデンテが神化した先に何があるのか?
何をもたらすのか?
研究者である者にとって好奇心とは時に命よりも優先すべきことなのかも知れない・・・
『飲み干しましね』
『さて・・・どうなる?』
試験管に入っている液体を飲み干したイルミデンテの身体に目立った変化はない・・・
期待外れだと思ったイクサはゼータに指示を出し狙撃を命じる。
しかしながらゼータの弾丸をかわしたイルミデンテは、懐から取り出した純黒色の宝石をかはめた指輪を8個程取りだし全て握り潰す。
『これが神化ですよ』
砕け散った破片が次々と武器に変化しイルミデンテの身体と融合していく。
イルミデンテを中心にそれぞれ両肩、右腕、左腕、背中、両足、頭にパーツが装備され機械仕掛けの巨人へと変貌する。
右腕にはビル1つを一刀両断出来そうなほど禍々しく巨大な大剣が、左腕には戦艦の主砲とも思える巨大な大砲を装備している。
両肩にはそれぞれ盾を装備し分厚さからして生半可な攻撃では通用しさそうだ。
両脚は巨大化した上半身を支えるべく強固に分厚く機械の義足のようになり、上半身を支える為なのか逆間接になっている。
その姿は機械の鎧を身に纏った巨人であり、これがイルミデンテの言った神化の成れの果てなのか・・・
『コノ力ヲ使ッテ貴様ラ倒ス!』
完全に別の者となったイルミデンテの咆哮が世界へと響きわたる。
向かい撃つは最強の偽りの名X イクサと未知の力を身に纏う偽りの名Z ゼータだ。




