中央本部襲撃!
帝の軍勢中央本部
現在の時刻は夜明け前であり静かな朝がやってくる。
先行して戦闘をしていた偽りの名J ジェスパーと偽りの名S シルベルトがレインネスト商業区画に戻ってきた事によって、残りの機械侵食者を討伐終え皆休んでいる。
仮眠をしていたイクサやレインネスト商業区画より報告をうけていた四季も今は眠りの中にいる。
現在帝の軍勢中央本部で活動しているのは夜勤の警備兵だけであり、どの部署の帝の軍勢も休んでいて静まりかえっている。
『お疲れ』
『お疲れ様です』
『以上はないようだな』
『そうですね。流石に中央本部には機械侵食者は出てきてませんね』
『しかし油断は禁物だ。土の結界塔が落とされた今は非常警戒期間なのだからな』
『わかってますよ』
夜勤警備え兵のローガン・ドレンテとアリシエラ・P・ドレスコードはお互いの巡回区画を終えて、休憩室へと戻って来た最中だ。
ちなみにローガンとアリシエラとの年の差は30以上離れている。
ローガンとアリシエラが話していると他の帝の軍勢も休憩室に戻って来たようで合計20名の帝の軍勢が休憩室に集合した。
『各員状況を報告せよ!』
今回の夜勤の責任者の掛け声と共に各帝の軍勢が見廻ってきた区画の状況を報告し始める。
どの区画も異常は無くいつも通りだということだ。
『良かったですね。何も異常無くて』
『そうだな。気にしすぎだったのかな?』
ローガンとアリシエラは小声で話をしていると、遠くから何かが扉を叩く音が聞こえてくる。
その方向は中央本部の扉の方から聞こえて来ており、姿は暗くて確認することは出来ないが何者かがいるということは確実である。
風で物が当たったのならば連打などありえないのだから。
『見て来ます』
『アリシエラお前も行ってくれ。何かあるかわからないからな』
『了解しました』
1・2階を担当しているローガンと3・4階を担当するアリシエラが見廻りに行く。
当然の事ながら先ほどローガンが巡回していた時には異常はなかった。
『何なのでしょうか?』
『機械侵食者だとしたら厄介だな』
『そうですね・・・見えて来ましたよ』
『人!?』
『女性のようですね?』
『こんな時間に何故?』
『聞いて来ます。ローガンさんは待っていてください』
『気をつけろよ』
『了解です』
中央本部の扉の前にいるのは金髪でショートヘアー女性で、年的にもアリシエラと近いと見てとれる。
何故彼女が扉を叩いているのかは不明だがこんな時間に来るのはいささか非常識だ。
『どうしたのですか?』
『行かなきゃ・・・イクサ様の元に』
『待ってください。今何時だと思っているんですか』
『関係無い!私はイクサ様の元に行かなきゃいけないの!』
怒鳴るようにしてアリシエラに向かって襲いかかってきた女性は無理やり中に入ろうとしている。
それに気がついたローガンや後ろで待機していた帝の軍勢が助け行こうとするが、アリシエラも帝の軍勢であるので女性の体制を崩してとり押せる事に成功する。
程なくしてローガンともう2人の帝の軍勢がアリシエラの元に駆けつけた。
『放せ!放してよ!』
『落ち着いてください!怪我してしまいますよ』
『アリシエラ何があったんだ?』
『この女性がイクサ様にお会いしたいと、時間も時間ですし今お会いさせるには』
『それ以前にこの女性は面会予定なのか?』
『・・・ありえないですね。イクサ様達偽りの名の方々は土の結界塔の穴埋めの為に活動すると言っておりました。一般人のその人がイクサ様とお会いになる理由が見当たりません。眠らせますか?』
もう1人の女性の帝の軍勢が物騒な事を喋り出す。
片眼を隠すように伸びた灰色の髪と青色の瞳の女性で、名前を創楼遺早奈と言って帝の軍勢の衣装の上からでも分かるが胸が比較的大きい。(ちなみにEカップである)
創桜は以前に一般人と口論になり怪我をさせてしまった経緯があり、その為警備班に廻されてしまった。
『創桜それは流石に・・・』
『流石に何?』
創桜の意見に反対したのは応援に駆けつけた1人でアゴヒゲが特徴的な男性で落ち着いた雰囲気の紳士だ。
確かにいくら非常識な人間とはいえ、この女性を無理やり黙らせるのは得策ではないであろう。
しかしながら創桜はそんな事は思ってはおらず力ずくでもこの女性を黙らせようとしているようだ。
『貴女は何故イクサ様にお会いしたいのですか?』
『ローガンさん?』
『いや・・・何会いに行く理由くらいは聞いてもいいんじゃないですか?』
ローガンが女性に理由を聞こうと話しかける。
女性が言うにはイクサ様に直接喋らなければならないということで、ローガン達には話そうとしてくれない。
『もう放せよ!私は行かなきゃならないの』
『ちょっと暴れないでくださいってば』
『・・・面倒これで』
創桜が痺れを切らしたのかそれとも発言が気にくわなかったのかは不明だが、女性に向かって催涙弾を投げつける。
警備兵の照準装備として軍刀と自動拳銃、催涙弾2個とスタングレネード2個とガスマスクを装備しており、機械侵食者との戦闘を想定してはいないが不審者を捕まえるのには十分は装備を持っている。
『ちょっ!?創桜さん?』
『やれやれ・・・強引ですね』
『ま・・・あっ』
催涙弾の煙を吸い込んでしまった女性とアリシエラは急な眠気に誘われ眠ってしまう。
創桜とローガンはちゃっかりガスマスクをしていて吸ってはいないが、もう1人の帝の軍勢は手元を押さえるだけで多少煙を吸ってしまってしまった。
いきなり煙が出てきた事に警戒したのか集合していた帝の軍勢の1人がこちらに走ってくる。
これまでの経緯と創桜が催涙弾を使って眠らせた事を聞き終えると、やれやれとため息を吐きながら創桜を連れて警備班班長の元まで行くことに。
帝の軍勢中央本部警備班休憩室
眠ってしまったアリシエラと女性を休憩室に移動させてから数時間が経ち、現在の時刻は朝7時過ぎほとんどの帝の軍勢が仕事をする為に出社して忙しなく動いている。
あれから目立ったトラブルは無くローガン達も勤務を終えて戻って来ている。
ちなみに創桜は謹慎を喰らってしまったに警備道具一式を掃除中である。
『・・・んっ!?あれ?ここは?』
通常であればまだ目覚めることは無いのだがアリシエラが目を覚まして起き上がる。
状況がいまいち把握しきれていないのか周りをキョロキョロと見渡し、近くで武器を整備している創桜に話しかける。
『なるほど・・・それでこの女性はイクサ様と面会する予定はあったのですか?』
『なかった』
『なかったのですか。そうしたらこの女性どうしますか?』
『知らない』
『えぇぇ・・・創桜さんが眠らせたんじゃないですか』
『あの場合の最善策をとったまで』
『そうですけども・・・』
アリシエラと創桜が話し合っていると8時の時刻を告げる鐘が響きわたる。
この鐘の音は夜勤警備をしている帝の軍勢の終業時刻を知らせるものでアリシエラ達は今日の勤務は終了したことをあらわす。
『時間。私は帰る』
『ちょっと創桜さんこの女性はどうなるんですか?』
『日中の警備班に任せる』
『えぇぇ・・・それはいくらなんでも』
『とりあえず移動させま・・・!?
え・・・なにこれ?』
アリシエラが女性を移動させようとして振り向くとそこには血を流して倒れている女性の姿が。
女性の口、鼻、そして涙腺からなのだろうか眼からも血を流している。
しかし彼女から流れる血は赤黒くなっていた。
レインネスト商業区画とある病院
『そろそろでしょうか?』
イルミデンテは壁に掛けている時計で時刻を確認する。
時計の針は8時を10分程を差しておりイルミデンテは出発の準備をしてレインネスト商業区画へと赴く。
イルミデンテがレインネスト商業区画と中央本部へと続く検問所へと移動していると前方から大きな音が聞こえてくる。
『やっと餌が完成したのですか、やっぱり個体差がありますね。
まぁ・・・人間ですから仕方ないですね』
帝の軍勢中央本部警備班休憩室
『催眠弾の副作用でしょうか?』
『まさか・・・ありえない』
『どうしたんだ?』
『何かあったのか?』
騒ぎを聞き付けた警備兵も集まってくる。どの警備兵もどうしてこのような状況になってしまったのかは分からず、どのように対象したらいいのか困惑していた。
とりあえず医療班に連絡をいれて来てもらうことにはしたが、未だに女性からの流血は止まらずに流れている。
止めようにも流れている部位が口と鼻なので止めようにもどうすることも出来ないのだ。
『脈がない・・・心音も聞こえない』
脈が無いことを確認した創桜が女性の上着を脱がして心音を確認するが、確認できず非常にまずい状態だ。
『死んでる・・・』
『そんなどうし・・・』
緊急事態発生!緊急事態発生!
中央本部近郊に機械侵食者を多数確認。10分後、中央本部への通路を遮断します。
『機械侵食者イレギュラー)だど!?』
『こんな時に・・・』
『避難するぞ。急げ!』
『ごめんなさい』
休憩室で休んでいた警備兵も避難区画へと向かって走っていく。
アリシエラと創桜も女性に上着を着せて顔に布を被せるとこの場を後にする。
帝の軍勢中央本部指令室
『目覚ましにしてはいささか音が大きな・・・』
『参りましたねイクサ様』
『確かにな。この中央本部に仕掛けて来るとは・・・奴らの性質ではありえない筈なのだが』
『やはり神化の名が後ろで糸を引いているのでしょうか?』
『そうであろう。でなければありえない』
『彼ら3人による機械侵食者区画内での自由殲滅行動、それによって潜伏していた神化の名及び偽装機械侵食者を炙り出すのには成功しましたが・・・』
『続く土の結界塔への進軍は予想できたが、土の結界塔の崩壊とレインネスト商業区画への奇襲は予想外だったな』
『申し訳ございませんイクサ様。私の戦術が外れたばかりに・・・』
『気にすることはないさ葵、失敗は誰にでもある。
それに・・・適合出来ない者に未来はない。そうであろう?』
『もちろんですイクサ様』
葵の左薬指には紅蓮色に輝く宝石がはめられおりZの紋章が刻まれている。
この宝石の輝きは紛れもなく侵食結晶であり、今までにZの紋章を持った人物は存在しないとされていた。
そして四季の持っているケースを開けて中の物をイクサに見せる。
ケース中には少なく見積もっても200の侵食結晶・・・それも全てZの紋章が刻まれている。
『20年・・・長かったですね』
『そうだな。しかしやっと馴染んだのだ』
『各部隊の適合者は揃っています。彼らであれば機械侵食者に対抗できるでしょう』
『でなければ意味がない』
帝の軍勢中央本部近郊
機械侵食者が出現したことによって侵食区画を隔離し、今は帝の軍勢が相手をしている。
そしてそれぞれ帝の軍勢の指には紅蓮色の指輪が嵌められていて、顔の半分程を覆う仮面を着けている。
仮面は目元を覆うようになっていてZの紋章が刻まれて、各帝の軍勢にはそれぞれ同じような武装をしており軍刀やライフル銃で応戦している。
『あれは・・・Zの侵食細胞の成れの果てか?』
中央本部近郊に機械侵食者を誘き寄せたイルミデンテは困惑していた。
存在しないと言われていたZの侵食細胞が存在していたのだから。




