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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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忠義ト追憶ノ餌

帝の軍勢中央本部


『イクサ様レインネスト商業区画で帝の軍勢と機械侵食者(イレギュラー)との戦闘が開始されました』

『土の結界塔に派遣している最中に奇襲してくるとはな・・・しかも大物だそうじゃないか?』

『はい。確認されている機械侵食者(イレギュラー)は蜘蛛型、百足型、蠍型の3種類が確認されています』

『なるほど・・・面倒だな』


四季が現状のレインネスト商業区画の現状報告をし終える。

土のの結界塔に周辺の帝の軍勢を派遣してしまった為に、レインネスト商業区画に派遣する帝の軍勢は中央本部から派遣する事になってしまい、中央本部からレインネスト商業区画へ距離は遠く最速で行っても30分はかかってしまう。

それに何故レインネスト商業区画へ突如機械侵食者(イレギュラー)が出現しかたは謎で現状調べているところだ。


『失礼します』


指令室にノックの音が響きわたる。

四季が入室の許可をすると帝の軍勢中央本部伝令部連絡班の1人、オールド・F・アルヴァーリが入ってくる。

用件は他の結界塔及び各区画にて機械侵食者(イレギュラー)が確認されたかどうかなのだが、今のところ連絡班には機械侵食者(イレギュラー)が出現したという報告はないようだ。

そしてレインネスト商業区画に派遣された帝の軍勢からの報告により、周囲の電波が悪いのか非常に繋がり難いと連絡が入っている。

先のレインネスト商業区画に出現した機械侵食者(イレギュラー)の報告にも、1度レインネスト商業区画を離れて報告したので少し遅くなってしったのである。


『そうか・・・』

『気になりますかイクサ様』

『あぁ・・・どうにもレインネスト商業区画の襲撃には裏がある気がするのだよ』


報告をし終えたオールドが退出しようしていると、再びノックの音が響きわたる。

入って来たのはオールドと同じ部署の雪熔はるかが入ってくる。


『報告します!

土の結界塔において(コード)りの(ネーム)T トト様の生存が確認されました。

そして土の結界塔で確認されました鯨型の機械侵食者(イレギュラー)の討伐に成功したそうです』

『それは良かった』

『しかし・・・土の結界塔が崩落した事によって土の結界塔に居たであろう帝の軍勢は全滅した可能性があります』

『・・・全滅』

『死傷者は数千を越えるかもしれません』


雪融からの報告で指令室に嫌な雰囲気になってしまった。当然である苦楽を共にした仲間の生存が絶望的だと報告を受けてしまえば、暗くなってしまうのも致し方ない。


『了解した。引き続き各区画からの情報を集めてくれ』

『了解』

『了解です』


オールドと雪融が退室し四季は時刻を確認する。

現在の時刻は深夜を過ぎてしまっていた。


『イクサ様少し仮眠をしてはどうでしょうか?』

『時間は・・・もうこのような時刻なのか』

『はい。レインネスト商業区画に機械侵食者(イレギュラー)が件は私も気になりますが、身体を休めた方が良いと思われます。もしかしたらイクサ様が出向かなければならない状況になるかもわかりませんし』


イクサも確かに四季の言う通り少し仮眠をしてもよいと心の中で思う。

レインネスト商業区画で帝の軍勢が倒し切れない場合、イクサが討伐に出向かなければならないからである。

しかし・・・他の(コード)りの(ネーム)や帝の軍勢が戦闘をしているのに、その大将が仮眠というのはどうかと考えていた。


『わかった。では1時間程度寝る。

四季後はたのんだぞ』

『お任せください』


そう言うとイクサは仮眠をとり始める。



帝の軍勢中央本部指令室前


グリム女医達3人は指令室前に到着していた。


『これは・・・四季様はいないようですね。どうしますか?』

『どうするも何も、イクサ様を探さなければ話にならないですから』


指令室の前まで来ていたグリム女医達が目にしたのは不在の文字である。

グリム女医とオルトはこれからどうしようか話しあっている。嵐島は気分が優れないのか減なりしていて会話しようとしていない。

夜遅くなので寝ているかもしれないが・・・


『嵐島さん大丈夫ですか?』

『気分が優れないのか?』

『えぇ・・・ちょっと気だるさと頭痛が』


グリム女医達が話をしていると指令室の扉が開く。

不在と書かれた立て札があるのにも関わらずに開いたことに驚いたのかオルトは身構え、グリム女医と嵐島は後ろに下がる。

扉から出てきたのは四季でその顔は不機嫌そうだ。


『し・・・』


オルトが話しかけようとすると、四季が口に指を当ててジェスチャーをする。

意味は静かにしろ。

オルトは口を閉ざすと四季は頷き場所を変えるとグリム女医達にジェスチャーする。

四季の案内する場所に移動し四季が話始める。


『それで用件はどのようなことですか?』

『四季様実は・・・』


グリム女医の話を聞いた四季は少し考える。

感染してしまった嵐島をどうしたらいいのか・・・今はレインネスト商業区画での攻防の事で頭がいっぱいで余裕が無いのである。


『わかった。嵐島さん少し残ってもらえますか』

『は、はい。分かりました』

『それとグリム女医とオルト軍曹は休んでください。夜も遅いですし』

『了解です』

『了解しました』


グリム女医とオルトは帰宅する為に反対側へ、四季と嵐島は話し合い為に移動する。

話を聞かれたくないとの事で四季以外に使用する事のない部屋へとたどり着いた。


『あの・・・四季様私はどうすればよいのでしょうか?』


嵐島が緊張した様子で質問をする。

本来嵐島の階級では直接四季に話すことはかなり稀で、あまり前例がない。当然嵐島が四季と話すのは初めてである。


『嵐島さん我々帝の軍勢はイクサ様の指揮の元に機械侵食者(イレギュラー)の殲滅を目的として戦っています。それを理解していますか?』

『もちろんです。私もイクサ様に忠誠を誓ってます』

『素晴らしい!でも嵐島さん時には苦渋の選択をする時もありますよね?

例えば・・・仲間が機械侵食者(イレギュラー)化してしまった場合、感染を防ぐ為に殺さなければなりません。

貴女にその覚悟はありますか?』


嵐島は戸惑う。

実際には機械侵食者(イレギュラー)化した仲間を殺さなければならないことは理解しているが、実際嵐島は機械侵食者(イレギュラー)化した仲間を殺したことはないからだ。


(私はイクサ様に忠誠を誓った帝の軍勢の1人・・・例え仲間であれど殺さなければならない時もある!)


嵐島は目を閉じ静かに息を吸い込み気持ちを落ち着かせる。


(答えなど既に決まっているんだ)


『私、嵐島慧香はイクサ様に忠誠を誓う存在!例えばかつての仲間でも倒してみせます』

『そうか・・・ありがとう』


そう言うと四季は手に持っている対機械侵食者(イレギュラー)用の銃で嵐島を撃つと嵐島を絶命させる。


『今はイクサ様は仮眠をしているのです。騒がれては困るのですよ』


四季は対機械侵食者(イレギュラー)用の銃をしまうと嵐島に近づき別れを告げる。

物言わない存在なってしまった嵐島は何を思っていたのかは不明だが、最早彼女の忠義も彼女の存在意義も無くなってしまった。


『私も眠いですね・・・』


四季は部屋を後にしてイクサの元へと向かっていった。



レインネスト商業区画・・・とある病院の部屋


『あの嵐島と言う人が死んでしまいましたか・・・何故死んでしまったのかは不明ですが、餌は後1人となってしまいましたね』


イルミデンテは手に持っている機械に目をやりながら独り言をしゃべっている。イルミデンテの部屋の周りには様々薬品があり、その中には小さいながら黒色の結晶もある。


『もう1人の餌は増殖するまで無事でいて欲しいですね。せっかく作ったのが無駄になってしまいますから』


イルミデンテは帝の軍勢中央本部の方向、イクサとの最終決戦に向けて着々と準備している。

どうやらこの病院がイルミデンテの拠点となるようだ。


『決戦は夜明けと共に・・・』



レインネスト商業区画避難所


『まさかレインネスト商業区画に機械侵食者(イレギュラー)が出るなんて』

『どうして土の結界塔じゃないんだ!?』

『爺さんの処は大丈夫だったか?』

『儂の処は大丈夫じゃよ・・・しかし友人の店が潰れてしまっての』

『そうかそれは気の毒に』


避難所にいる人々は皆今回の機械侵食者(イレギュラー)の進軍によって店や、家がその付近にあるため避難してきた人々や、出掛けている最中に機械侵食者(イレギュラー)の出現区画に来てしまった者達が避難している。

不安になっている者や家族の安否を確認する者等がおり、避難所は騒がしくなっている。

その中の1人、暮地明沙も不安な様子で座り込んでいる。

彼女が不安なのは家族との連絡がとれないからや、機械侵食者(イレギュラー)に家を破壊されたからではなく、暮地がこの避難所に来るまでの記憶が曖昧だからである。

レインネスト商業区画に来ているということは買い物に来ていたということなのだが、いったい何を買いに来たのかは忘れてしまっているからだ。


(いったい私は何をしていたのか思い出せない・・・

お酒・・・は飲んでないですよね?)


記憶が無いということは人間にとってかなり不安であり、例え1日であれど欠落している記憶を埋めたいと思うのが常識である。

暮地が考え込んでいると避難所内にアナウンスが響きわたる。内容は帝の軍勢によってレインネスト商業区画に進軍してきた機械侵食者(イレギュラー)2匹の討伐を終えたとのこと。

残りの機械侵食者(イレギュラー)も駆けつけた(コード)りの(ネーム)J ジェスパーと(コード)りの(ネーム)S シルベルトが討伐している最中だとの内容だ。

未だに戦闘は続いてはいるが次第に収縮しているらしく避難所から安堵の声が聞こえてくる。


『しかし避難所で夜を明かす事になりそうですね・・・』

『仕方ないですわ。急に機械侵食者(イレギュラー)が出てきたのですから、無事なだけでも感謝しなければなりませんね』

『流石シスター言う事が違うねー』

『命を賭けて戦ってくださるのですから当然です』


暮地の隣で祈りを捧げていたシスターと、スポーツをしているのか動き易そうな服装をしている女性が話している。

確かにシスターの言う通り夜はもう遅くこの避難所で夜を明かす事になりそうだ。と言っても避難指示が解除されない限りは危険なのだが。


(私も休みましょうか・・・記憶の事は後回しにして休むとしましょうか)


暮地は疲れきった身体を休めた明日に備える・・・明日に何があるのかもわからずに。



レインネスト商業区画・・・とある病院の部屋にて


『そろそろですね・・・機械侵食者(イレギュラー)があの娘を襲う時間は』


イルミデンテは眠りから覚めると、周りにある道具を揃え武装を整える。

全ては(コード)りに(ネーム)の親玉であるイクサを倒す為、全ては機械侵食者(イレギュラー)による人類の進化を促す為に。


『そういえばあの娘の名はなんと言いましたっけ?

せっかく餌になってくれるのですから思い出さないと失礼ですね・・・確か、暮地明沙と言ってましたね』

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