鯨姫ト最初ノ使徒
偽りの名T トトが戦闘機で仕掛ける少し前・・・神化の名I イルミデンテは鯨型の機械侵食者を使って土の結界棟に破壊工作を行おうとしていた。
『さて・・・私がこの作戦を進行させている間にユセはちゃんとやっているでしょうか?』
しかしながらイルミデンテの率いる神化の名の戦力も、先程の戦闘でおよそ4割程壊滅させられてしまってしまっている状態だ。
なにぶん今回の作戦に使用する鯨型の機械侵食者には長い年月をかけて成長さてただけに、再び造りあげるとなると数十年以上かかってしまう為失敗することは許されないのだ。
そんな事を考えながら宿敵であるイクサがどのような手段、戦術を用いて打破するか再び考え込む・・・しばらくその場で考えた後でイルミデンテは再び動き始める。
『今度こそ貴方を亡き者にして差し上げますよイクサ・・・』
イルミデンテの独り言の様に呟きイクサとの決戦を覚悟する。
土の結界棟上空・・・
『なかなかの硬度じゃのぉ・・・あの爆発で傷も付かぬとは』
鯨型の機械侵食者の上に佇むトトは戦闘機の爆弾によって傷1つ付いていない皮膚を見て、ため息をこぼし鯨型の機械侵食者を見つめていた。
爆弾を喰らってのにも関わらずに平然としている鯨型の機械侵食者の硬度は大したもので、まるで効いてならく優雅に空中浮遊をしている。
さずがに鯨といえども自身の真上方向に超音波を出すことは不可能ならしい。トトの読みは正解だったようだ。
『お前がどれ程硬いのか・・・試してやようかのぉ』
そう言うとトトは侵食能力を解放させ自身の持っている刀を使い鯨型の機械侵食者に向かって斬りかかる・・・が寸前のところで刀が別の何かによって弾かれる。
『何だと!?』
トトの攻撃を防いだのは漆色をした鎖であり、その鎖がトトの刀に巻き付くことによって攻撃を防いだのである。
だが刀が止まった理由も他にある。
それはトトが意図的に刀を降り下ろす力を弱めてしまったせいでもあるのだが。
『貴様何者だ・・・その姿は?
この鯨と融合しているのか?』
トトの刀に巻き付く漆色の鎖の先にいたのは偽装機械侵食者 Cチェインである。
しかしつい先日とは違いチェインの下半身は鯨型の機械侵食者と融合しているのか、チェイン自体の体格も大きくなっている。
『きぃぃぃぃあぁぁぁ』
チェインが雄叫びの様な声をあげて鎖を引っ張り、トトを攻撃しよう殴りかかる。
急に引っ張られたトトは何とか空中で姿勢を安定させ、殴りかかろうとしたチェインの拳を切り裂く。
チェインの引っ張った時の力と、トトの瞬発力が加わった斬撃を防ぎくれなかったチェインの拳は切り裂かれ血が飛び出る。
『言葉が通じないのか?
しかし・・・お前さんさっきまで居なかったであろう?』
振り返り再び追撃して止めを刺そうとチェインの首もとに向かって斬りかかり、首が身体と別れを告げる・・・筈だったのだが、トトの刀はチェインが右腕でガードしたことによって途中で止まってしまった。
何故チェインがってトトの斬撃を防げたのかは不明だが、それをトトが考える余裕はなく、再びチェインの鎖による攻撃が飛んでくる。
(なんじゃ?こ奴の硬さは?)
チェインの鎖をよけ自分の刀を鞘に戻し距離を保ったトト。
しかしながらこの距離はトトの間合いの範囲外であり、チェインの鎖の範囲内でもある。チェインの攻撃速度はそれほど速くはないので見切ることは可能だが、こちらが攻め込むとなると少々力不足である。
『ほぉ・・・お主があの偽装機械侵食者なのか。
しかも、お主骨が機械侵食者化しておるのか』
トトが指摘したようにチェインは偽装機械侵食者であり、機械侵食者化した部位は全身の骨格である。
トトの刀が途中で止まってしまったのもそれが原因だ。
急に攻めて来なくなったトトに違和感を覚えたのかチェインは左腕を変化させ、奇妙な砲状に変化させトトに向かって砲撃を開始する。
『何!?こいつまさか・・・変化型か』
トトが指摘したようにチェインの侵食細胞は変化型であり、偽りの名であればワイズマンとブライド、そしてかつて死んだとされていたチェインが該当する。
変化型の特長としては侵食細胞が普通の偽りの名より多く、そして大体の偽りの名は1つの武器しか造り出せないのに対して複数造り出せることが可能であり、決まった武器を持たない者が多い。
『前の姿とはかなり変わってはいるがお主、チェインなのか?』
『貴様ヲたおス。貴様ヲたおス・・・イルミデンテの為ニたおス』
『まだ心は残っているのか?
しかし・・・お主は儂らの敵であるのならば容赦はせんぞ』
チェインの攻撃を避けながらトトは持っている刀に力を込める。
対するチェインは左腕で砲撃を牽制しながら鎖を使ってトトを掴め取ろうとしてくる攻撃を、トトは刀で弾きながら刀の間合いに入ろうと接近する。
何度目かの鎖の攻撃をかわした後に不覚にもチェインの砲撃を被弾してしまった。
悪いことに被弾箇所は左肘であったために、さっまで両手で持っていた刀を右手のみで使用しなければならなくなってしまったようだ。
それに引き換えチェインは未だに無傷で砲撃が止む気配がない。
(しまった。こいつの砲撃の精度を甘く見ていたぞ・・・こいつの本能で攻撃しているだけではないようじゃのう。それにあの右手の鎖が予想以上に厄介じゃ、儂の刀でも斬れんとは)
負傷した左肘を庇いながら戦闘をしていたトトであったが隙をつかれ左足に鎖が巻き付く。
『しまった!』
勢いよく引っ張られた為にトトはバランスを崩してしまい、引き摺られるようにしてチェインの元へと近づいてしまう。
何とか鎖を断ち斬ろうとしようと奮闘しているがバランスがとれないので踏ん張りが効かず、右腕のみの斬撃では断ち斬ることは不可能であった。
『クチはてろ!』
トトとの距離が1mもないくらいに近づいたチェインは左腕で近距離爆撃を開始し、辺りが爆音と爆炎に包まれる。
『く、糞が・・・』
『が、がぁぁぁぎぃい!』
爆撃を喰らったトトだけではなくチェインもたまらずに叫び声をあげて炎の中から出てくる。
トトは左腕が火傷をしたように皮膚が爛れ、チェインは変形させた左腕が粉々に砕け散ってしまって煙がモクモクと出ている。
『相討ちか・・・しかし、今のでこの鯨は落ちるぞ』
チェインの左腕での爆撃を自身の左腕を犠牲にして暴発させたことによって、チェインの下半身と同化している鯨型の機械侵食者の装甲を剥がすことに成功したのだ。
しかしチェインも黙ったはいなく鎖で装甲を覆うようにして修正をしようと試みる。
『残念じゃな・・・これでお主は終わりじゃ』
そう言うとトトはチェインの首もとに刀を突き付け・・・斬り飛ばす!
しかし斬り飛ばそうとしたトトの刀はチェインの骨まで到達したが、機械侵食者化した骨によって阻まれてしまう。
『せっかく儂がかっこよく決めたのに台無しじゃな。
以外に硬かったのぉ・・・じゃが残念ながらお前さんはもう身体を動かす事が出来なくなってしまったがな』
トトが攻撃した場所は首。それは生物にとっても非常に重要な部分であり、機械侵食者化したからといってもそれは変わらない。
つまり首を斬り飛ばすまでに至らなくても首の骨まで刀が通った時点でチェインは既に負けていたのである。
『あ、アぃぃがぉおぉ』
『何だと!?まだ動けるのか?』
チェインの声に連動したのか下半身の鯨型の機械侵食者も咆哮をあげる。
『最後の叫び声か・・・いや、まさか!?』
何かを感じとったのかは知らないがトトは死にかけているチェインに向かって無数の斬撃を仕掛ける。
最後の咆哮が途絶えると同時にチェインの命も絶命し、同時に鯨型の機械侵食者のコントロールを失い墜落し始める。
『遅かったのか・・・』
トトを乗せた鯨型の機械侵食者は土の結界棟に向かって墜落していき辺りが爆炎と爆音に包まれ土の結界棟が破壊される。




