青銅ト二重ノ狂気
『どうやら作戦が開始されたようですね』
姫子は双眼鏡で戦闘している区画を見ている。
そしてこの場には回復して戦闘出来るようになったオメガとパルパトの2人が待機している。その理由はオメガとパルパトはイクサの作戦には参加せずに独自の作戦命令を受けているためである。
『だったら此方も移動しようぜ』
『そうね』
オメガとパルパトは侵食細胞を発動させて移動する。移動する場所は神化の名の本拠地と仮定している区画アークコードである。
オメガ達がイクサから受けた任務はアークコードにある神化の名の基地の破壊で、カイゲン達を暴れさせて機械侵食者を大幅に減らすことによって、神化の名を炙り出しイクサ達が戦闘している最中に、オメガ達が強襲する作戦になっている。
誘き出された神化の名が誰かは不明だが、姫子が戦闘しているであろう区画に飛んで行くジェスパーを確認したので次の作戦に移り移動している。
『姫子上空から機械侵食者や神化の名を確認できるか?』
『何も見当たらないですね』
姫子は自力での移動だとオメガ達、偽りの名について行くことは不可能なのでパルパトに運んでもらっている。
地上はオメガ、空中からはパルパトと姫子が監視しているのだが周りは確認されていない。
『ここからアークコード、神化の名が潜伏している区画に入ります』
『了解かいだ』
『了解』
オメガ達はアークコードの区画内に侵入することに成功したのだが妙に静かで物音などは聞こえてこなく、正に廃都と言うに相応しい荒廃具合の街並みが広がっているだけである。
アークコードを進んでいるオメガ達は順調に奥に進んでいき、後数キロ先に隕石落下を目視できる程までに接近している。
『あれが神化の名の本拠地なのか』
『禍々しいですねー』
オメガ達の目の前には禍々しい工場のような建物が存在している。
この区画は隕石の衝撃波によって軒並み破壊されたのにも関わらずに残っている建物があるとすれば、間違いなく神化の名の本拠地であることは間違いない。
『・・・オメガあれ!?』
『何だあいつは!?』
オメガ達の前には奇妙な格好をした人物・・・神化の名N ネクロートが姿を現す。
ネクロートの姿は先程ユセが見たす姿とは違い。背中に背負っている武装から出ている触手がエンラの侵食細胞と混じりあっているのか太く、長くなっていて巨大な蛇のように見える。右腕のガントレットに変化は見られないが左肩にはエンラの仮面がある。
そして最も変わっているには下半身がウエディングドレスの様になっている。
『見つケた・・・オメガ』
ネクロートがオメガ達に向かっていった。
アークコード区画内
『あぁぁ・・・どこなのですか?
ジェスパーさんやシルベルトさんは先に行ってしまったのでどうしましょうか』
ジェスパーを見失ったランテンは1人アークコード内を探索している。進行方向はあっているのでこのまま進んで行くと、ジェスパー達と出会う筈なのだが。
『おや!?彼方から何やら足音が聞こえてきますね』
そう言うとランテンは足音のする方向へと進んで行くと、結界棟に向かっているイルミデンテと出会ってしまった。
イクサからの事前情報でイルミデンテの特徴を知っていたので侵食細胞を使用して攻撃を仕掛ける。
侵食細胞を使用したランテンの姿は両腕に巨大な鉤爪を装備していて、肩まであり盾の様に分厚くなっている。
上半身を覆うのは黒と黄色の色をした鎧を身に纏っており、腰にはミニスカートの様になって金属質の輝きを放っている。
顔を覆う仮面は右側にLの紋章、左側だけに複眼の様な物があり、口元には蟻の顎様に変化している。
ランテンの攻撃に対してチェインも反撃に出てぶつかりあう。
『何者です貴女は?』
『え?私は偽りの名L ランテンだよ』
『それはご丁寧に・・・私の名は神化の名I イルミデンテと申します』
『そっちらは?』
『こちらは偽装機械侵食者Cチェインです』
『へぇーそうなんだー』
イルミデンテの問いかけに素直に答えたランテンに対してイルミデンテも素直に自己紹介を始める。
出会って早々に戦闘を開始したのにも関わらずに素直に答えたランテンに対して不思議そうに見つめていると、ランテンの方からイルミデンテに質問が返っくる。
『イルミデンテさんは何でイクサ様と対立するんですかー?』
『・・・意見の違いからですね。それは変えることの出来ない事なので』
『そうなのですか。まぁ・・・私はイクサ様に命じられてイルミデンテさんや他の神化の名、偽装機械侵食者の皆さんを倒しますけど良いですよね!』
『駄目ですので抵抗させて貰います。チェインこいつを頼みますよ』
ランテンがイルミデンテに向かって斬りかかるがチェインがそれを防ぐ。
いつ持っていたかは不明だがチェインの左腕には侵食細胞で出来た青銅色の盾を、右腕にはパイレーツカトラスと言われているしなった刀でランテンに斬りかかる。
その攻撃をランテンは両腕で顔を守る様にして防ぐ。
ランテンの鉤爪は両腕を重ねる事によって堅牢な盾にする事が可能であり、並大抵の攻撃では傷をつけることは不可能である。
しかし欠点があり顔を守る時は前が見えなくなってしまうのだ。
『あはは!その程度の攻撃じゃ私を止められないよ』
ランテンは高笑いしながらチェインに向かって攻撃を始める。
先程とは性格がまるで違っていてイルミデンテの問いかけに素直に答えていた時とは違い、交戦的になっていて周りの瓦礫も粉砕している。
『さっきとは性格が変わってますね・・・二重人格なのでしょうか?』
この場から逃げ出したイルミデンテはチェインと戦っているランテンを不思議そうに見ていたが、あまり時間をかけてはいられないのでこの場を後にする。
『貴方じゃ弱いですね』
両腕の鉤爪に気をとられていたチェインはランテンの脚による攻撃を腹部に受けてしまい後退してしまう。
一瞬の隙を見せたチェインに対してランテンは、すかさず鉤爪による追撃を喰らわせチェインに傷を負わせる事に成功する。
チェインは後退りしながら持っていたパイレーツカトラスを自身の右腕に突き刺す。
『何を・・・』
ランテンが戸惑っているとチェインが甲高い悲鳴の様な声をあげる。
すると右腕が変化していき持っていたパイレーツカトラスと右腕が一体化してしまった。
しかも先程まで持っていたパイレーツカトラスの面影らしき物が複数あり、腕の長さも地面に届く程伸びて色も右肩から青銅色に変化してしまった。
右腕から多数パイレーツカトラスが生えている光景は異常であり、様々に細胞を変化させて戦う偽りの名、神化の名から見ても異常である。
『不味い!?』
ランテンは直感で危険だと判断し後退しようとするが、予想異常に攻撃範囲が広くパイレーツカトラスがかすってしまう。
『って!』
耳障りな甲高い悲鳴を叫びながらやたらめったらに周りの瓦礫を破壊している。
『いいねぇ!さっきの発言は取り消すよ』
レベル2の能力を解放したランテンの姿は両腕の鉤爪を1つに合わせて、巨大な鋏の様に変化させてチェインに向かって特攻を仕掛ける。
とてもチェインの産み出した盾では防ぎきれない程に変化した鋏を目の前にしてもチェインも怯むことなく、ランテンに向かって特攻を仕掛ける。
『ぶった斬れろ!』
ランテンとチャンスがお互いに攻撃を繰り出し、巨大な鋏と多数のパイレーツカトラスぶつかり合い火花を散らす。
幾度となく火花を散らしたランテンとチェインだが、チェインのパイレーツカトラスはランテンの巨大な鋏より
耐久度が低かったのか次第にパイレーツカトラスが欠けて何本か壊れ欠けている。
『これで終わりだ』
ランテンの攻撃によって全てのパイレーツカトラスが壊されたチェインは攻撃手段を失った後・・・ランテンによって首を斬られて絶命してしまった。
『何だあれは!?』
チェインを絶命させた後ランテンは空に浮かぶ巨大な影を目にする・・・その影はランテン達が出ていった結界棟に向かっていった。
ランテンが目撃した影が結界棟を破壊したのはそれから数時間後の出来事である。




