流動金属CERIN
『さぁ・・・イクサ。貴方との因縁に決着をつけましょう』
イルミデンテは次の作戦を決行する為に隕石の跡地に来ていた。
イルミデンテの隣にはユセから借りてきた偽装機械侵食Cチェインが待機していて、既に侵食能力を使用している状態になっている。
ユセ、ネクロートは現在アークコードにある本拠地にて待機中だ。そもそもネクロートは歩けるまでは回復してはいるが、侵食能力を使用しての戦闘は未だに不可能らしい。
侵食能力というものは適合者自身の免疫力によって制御さているので、5日間飲まず食わずによるこ事によっての体力の低下に加えて、姫子によって撃たれた両足に未だに残っている弾丸を摘出する為に手術をしたので血も足りていない状態だ。
『これだけあればアレの制御も大丈夫でしょう。今度はこちらから仕掛ける番ですよ』
イルミデンテが所持している保管カプセルには黒色の結晶が20個以上入ってくる。
この保管カプセルはネクロートによって造り出された物でネクロート以外にも使用できる。
以前のネクロートであれば造り出すことは可能だが他の連中には使用することは出来ないようになって居たのだが、ネクロートの持っている結晶・・・Nの侵食結晶で使用可能にしている。
『全く貴女は素晴らしい事をくれましたね・・・いや、私の才能が素晴らしいのかな?』
そう言い捨てながらイルミデンテは隕石の跡地を後にする。
隕石の跡地近く廃病・・・
隕石落下の衝撃波によって壊滅してしまったアークコードにおいてありえない物質が廃病に置いてある。
その物質は2mの正方形であり、光を拒絶するがごとく真っ黒になっている。
『さて、20年前の続きを初めてましょうか』
そう言うとイルミデンテは黒色物質を爆発させ中身が出てくる。
その中身は20年前にヴィゼイアス達、最初の使徒に攻撃を仕掛けようとしていた物質・・・あの半透明な物質が中から這い出てくる。
半透明な物質は20年前と同じようにイルミデンテに攻撃を仕掛けてくる。
『20年前とは違うのですよ』
イルミデンテは持ってきた黒色の物質を半透明な物質に向かって投げつけると、半透明な物質は先程までの好戦的な動きとは違い鈍くなっている。
『これでコイツは私の指揮下に・・・さて、チェイン持って来ている侵食結晶を』
チェインは頷くと、小さな水晶に閉じ込められた5つの結晶を取り出す。
この結晶には、C・E・R・I・Nの文字が刻まれていてそれぞれ
Cの侵食結晶は琥珀色。
Eの侵食結晶は瑠璃色。
Rの侵食結晶は赤色。
Iの侵食結晶は青色。
Nの侵食結晶は黄色だ。
全ての侵食結晶を半透明な物質に向かって投げ入れると、先程までスライムの様にしかなっていなかったのに変化が現れる。
それぞれの侵食結晶が核になるように中央部分に集まりだす。そして周りの散らばった黒色の結晶はそれぞれ別々に動き出して20年前と同じ、下半身はスライムなのだが上半身は人形の様に形を生成していく。
『強化完了!さて・・・今度はこちらの番ですよイクサ』
イルミデンテと共に半透明な物質は動き出す・・・イクサがいる帝の軍勢中央本部に向かって。
旧都アークコード僻地・・・
『久しぶりの戦闘は楽しいなぁ』
『まぁ・・・イクサには感謝しますが、私達って囮なんでしょ?』
『いいじゃないですか自由になったんだから』
帝の軍勢中央本部から派遣された3人は周りに群がる機械侵食者を倒しながら愚痴をこぼしていた。
巨大な大剣を背負っているのが、偽りの名K カイゲン。
左側に鬼の角を模様した仮面で右側にはKの模様があり、龍のような禍々しい鎧には血液の様に全身を覆うように赤い模様が描かれている。
そして隣で殺した機械侵食者の首を刈っているのが偽りの名D ディザイアス。
興味なさそうにしているのは偽りの名H ハンターだ。
それぞれカイゲンと同じような大剣と仮面、鎧を着けている。違いがあるとすれば血液の様に全身を覆う模様の色だけで、ディザイアスは青色、ハンターは紫色という感じになっている。
『俺達はどうせ彼方に戻ったら犯罪者扱いなんだしせいぜい楽しもうぜ』
『でも囮は嫌だなぁ・・・イクサを殺しますか?』
『無理でしょ。イクサだけじゃなくて他の偽りの名も相手にしなきゃならないんだよ?
面倒だよ』
物騒なセリフをはきながらあらかた周りに近づいてきた機械侵食者を殲滅し終えると、前方から奇妙な風が流れてくるのを感じる。
周りのまとわりついてくるような甘ったるい感じだ。
『なんだ?風が変わった?』
『何中二病的な事を言っているのですか』
『キモ・・・カイゲンってそんなキャラだったけ』
最後の一匹の機械侵食者を殺し終えるとカイゲンが周りの異変に気がつく。どうやらディザイアスとハンターはカイゲンに言われるまで気がつかなかったらしい。
『やぁ。殲滅は完了した感じかな?』
『ジェスパー・・・何しに来たの?私達は自由に殲滅して良いって言ってたよね』
『えぇそうですよハンター。しかし貴女達を解放するにおいてイクサ様より指示を聞いてましよね?』
『神化の名とか言う奴らが動き出したのか?』
『そうだよカイゲン。奴らが動き出した。貴方達には奴らの討伐に移行してもらいますよ』
上空で待機していたジェスパーがカイゲン達の元に舞い降りる。
カイゲン達以前に犯罪を犯してしまった為に今まで投獄されていたが、イクサからアークコード内においての自由殲滅と神化の名の討伐を請け負う形で今は自由になっている。
そしてカイゲン達のお目付け役というのが上空で見張る事ができ、移動速度も優秀なジェスパーが選ばれたのだ。
『了解・・・それでその神化の名は何処に?』
『貴方達の進行方向だよ』
『なるほど・・・カイゲンの言っていた違和感の正体は神化の名だったのですね』
『俺の勘もなかなかだろ』
『・・・へぇ』
『なんだハンターその目は』
ディザイアスがカイゲンとハンターのやり取りに呆れていると、ジェスパーは再びカイゲン達を監視する為に上空へと飛び立って行った。
『おい、ジェスパーが呆れて行っちまったぞ』
『別にいいんじゃないの?』
『それより此方に攻めてきている神化の名を返り討ちにしますよ』
カイゲン、ディザイアス、ハンターが奇妙な風が吹く方向へと進んでいると、前方から何やら接近してくる物質が見えてくる。
その物質は半透明での球体はハンターに向かって飛んでくるがハンターに着弾することはなく、周りに飛び散ってしまった。
『何だ今のは!?』
『なんかべちゃって音がなったよね』
『キモいなぁ・・・なんだこれは?』
ディザイアスが飛び散った半透明な物質を触ってみると、スライムの様な感触でヌメヌメしている。
『なんだこれは!?』
『ディザイアス!?』
ディザイアスが触っていた半透明な物質は触ってみる右手にまとわりつき、ディザイアスの鎧に侵食していく。
それを目撃したカイゲンによって咄嗟にディザイアスの鎧を砕いた事によって、腕の鎧を失っただけですんだようだ。
『カイゲン、ディザイアス前に!』
カイゲン、ディザイアスはハンターの警告によって接近してきている、半透明な物質の本体に気がついた。
その半透明な物質は全長5mで幅広く人のような上半身をしてはいるが、下半身はスライムの様になっていてどのようにして此処まで来たのかは不出来なのだが移動している。
そしてその半透明な物質の上半身の右腕には短刀らしき物、左腕にあたる部分が大砲の様になって何処からあの半透明な物質を弾として発射したと考えられる。
右腕に持っている短刀も半透明な物質なので殺傷能力があるかは微妙なところにだが。
『あれがさっきのを飛ばしてきた奴なの?』
『スゲェなぁ・・・』
『あれが神化の名なの?スゲェキモいですね』
『まさか!?神化の名って俺達と同じ人間だろ』
半透明な物質の攻撃を避けながら後退しているディザイアス達にジェスパーが舞い降りる。
ジェスパーはディザイアス達に一言告げると再び上空へと舞い戻って行ってしった。ジェスパーが言った内容は単純明快、今攻撃している半透明な物質の殲滅だ。
殲滅方法は問わず半透明な物質を殲滅出来れば良いということ、そして逃亡は許されないということ。
嫌な顔をしながら戦闘準備に入るディザイアス。
小さなため息を吐き怠そうに武器を構えるハンター。
好奇心なのかそれとも命令に従順なのかは不明なのだが半透明な物質に真っ先に攻めこんだカイゲン。
『あの物質に触れたら終わりだぜ。お互いカバーして行こうぜ』
『超めんどくさいなぁー』
『さて・・・どうやって攻めこもうか』
3人はお互いにカバーしながら半透明な物質を攻めこんで行った。
『どうやらアレは偽りの名と接触したようですね』
『イルミデンテが言っていた通りあの3人が出てきたね』
『そうですね・・・まぁ、その為にチェインを持ってきたのですから』
ディザイアス、カイゲン、ハンターと半透明な物質の戦闘を監視している影が3つ。
神化の名I イルミデンテ。
神化の名U ユセ。
偽装機械侵食者C チェインは次の作戦の為に行動を開始していく。




