最初ノ使徒
リッチが治療されている治療室に行くためにパルパトはトトと共に地下廊を歩いている。
この施設はオメガとパルパト達第三の(サード)聖徒の為に建てられた施設であり、基本的にオメガ達以外は出入り禁止である。
その為、施設内には未来からの技術で造られた治療施設が存在しておりリッチの侵食の治療をおこなっていた。
地下治療室・・・
『ねぇ・・・トト、リッチのこの侵食細胞の侵食って治らないの?』
現在リッチは普段パルパトが使用している治療カプセルに入れられて治療をおこなっている。
本来であればもう1つあるカプセルでオメガの治療もおこなえる筈なのだが、今回はリッチの状態が酷く同時に稼働させた場合治療スピードが落ちてしまうからだ。
しかも今回の治療者であるリッチは身体の細胞が侵食細胞に酷く侵食されていて、通常の治療薬では治療することが出来ないとトトが判断して通常とは違う薬を使用している。
その薬は侵食細胞に直接投与しなければならないので侵食している皮膚、筋肉を少なからず切除する必要があったのだ。
そしてその時にトトはリッチの侵食細胞の中から黒色の結晶を取り出したと言っていた。
『侵食具合が酷くてわからん・・・それにこれ程侵食されたのは治療した事がない。
目を覚ます保証さえも危うい状態であることが、今のリッチが置かれている状況じゃよ』
トトがリッチを治療するにあたって取ったデータをパルパトに手渡し、それを手に取りながらリッチの入っているカプセルをパルパト見つめていた。
『ねぇ。トトはリッチと面識があるんだよね?』
『そうじゃよ。リッチは昔・・・20年ほど前に我々、最初の使徒と同じでこの地の機械侵食者の討伐任務にあたっていたのだ』
『そうなんだ。もう少しトト達の討伐任務の時の話を聞かせて』
トトは横目でリッチを見た後トト達、最初の使徒の最初の任務について話始める。
偽りの名・最初の使徒による討伐作戦
『こいつが機械侵食者なのかな?』
『どうやらそのようですね・・・しかしそれよりもこの侵食状況。
早急になんとかしなければこの島自体が人が住めない場所になってしまいますよ』
『なんとも不利益な』
この場に集まって情報を収集しているのは、今は神化の名と名を変えた人物・偽りの名N ネクロート。
偽装機械侵食者になってしまう前の偽りの名R リッチ。
後に五行信仰 水得になる偽りの名Y イエスメデス
この3名が隕石の落下地点である都市アークコードに現地入りしてから3日後、ついにターゲットである機械侵食者を発見したようだ。
現在3名がいるのは大きめの建築物であるにはわかるのだが元が何の建物かは分からないくらい朽ちている。
しかも隕石落下の衝撃によって辺り一面が瓦礫とかしてしまっているので視界が悪い。
元々この地が栄えていたのは瓦礫の量からして憶測できるが、今は煉瓦やコンクリートが散らばっている無惨な跡地となってしまった。
『他の偽りの名はどうしますか?集合する前に倒しますか?』
『待つのは面倒だ倒そう』
『確かにリッチの言うとおりですね。信号弾は私が発信しておきますよ』
そう言うとネクロートは赤色の信号弾を発砲。リッチが機械侵食者の討伐、イエスメデスが辺りの警戒を担当することになった。
リッチは侵食細胞を発動させて機械侵食者に攻撃を仕掛ける。リッチが攻撃を仕掛ける機械侵食者は狼・・・いや犬なのであろう辺りに何か無いか臭いを嗅いでいる様な仕草をしている。
元々はペットとして飼われていたのであろう犬型の機械侵食者はリッチの存在に気がつくと、牙を剥き出しにして威嚇している。
しかし虚しい事に変化したとはいっても偽りの名であるリッチには及ばずにその場に倒れこむ。この犬型の機械侵食者は両足と顔の部分が機械侵食者化しており、機械侵食者化していない後ろ部分をリッチによって攻撃されて絶命してしまった。
イエスメデスが辺りを警戒していると東の方角から信号弾を確認する。信号弾色は青色、どうやらあちらの部隊は問題がないようだ。
最初の使徒第2部隊
『どうしますトト。あちらのチームは機械侵食者を発見したようですが』
『・・・誰一人として生きていない』
『どうやら大抵の人間はあの隕石の落下で亡くなったようですね』
第二部隊の構成メンバーは
今は引退してしまった偽りの名T トト
後に五行信仰 火得になる偽りの名G グリーゼスの2名は先ほど部隊とは別に機械侵食者の発見、生存者の確認の為に探索していた。
グリーゼスは第1部隊の信号弾を確認した後どうすればいいのかトトに聞いている。ちなみに信号弾を発砲したのはグリーゼスだ。
『戻ろうかのう・・・残念ながら生きている人間は確認できてはいないが』
『了解です。しかしイクサ達の方は大丈夫でしょうか?』
『問題はなかろう・・・我々の中での最強の2名が調査に行っているのだから』
そう言うとトトとグリーゼスは第1部隊が信号弾を発砲した方角へと進んでいく。
『グリーゼス、ストップじゃ!』
『どうしましたトト?』
『何か変じゃ』
『何かって何が・・・!?』
トトが何かに気がついたのかその場に止まって辺りを警戒していると上空から羽ばたく音が聞こえてくる。
その音には少しではあるが鉄と鉄が擦れあう音も。
『参りましたね・・・我々では対空への攻撃手段がない』
『確かにあれらも厄介だが。違うのだグリーゼスよ』
『あの空にいる連中じゃないのですか?』
グリーゼスが上空に飛んでいる機械侵食者を確認していると、トトが侵食細胞を発動させる。辺りに散らばっている瓦礫の1つに向かって上段の構えで斬りかかる。
すると瓦礫の下に隠れていた体長10cm程のネズミを仕留める。
『もしかしてそのネズミは?』
『ほんの一部ではあるが機械侵食者化している』
トトは持っている刀で仕留めたネズミの歯の部分をつつく。そこには機械侵食者化した歯があり、多少血と肉がついている。何か他の生物でも食べたのであろう。
上空を飛んでいる鳥型の機械侵食者はトトが斬った瓦礫の音に気がついたのか、トト達の上空を旋回しながら様子を見ている。
『トトにだけ仕事をさせる訳にはいきませんね。私もあの鳥を撃ち落としましょうか』
『・・・我々には対空への攻撃方法がないのにどうするつもりなのじゃ?』
『無いのであれば作ればいいのですよ』
そう言うとグリーゼスも侵食細胞を発動させる。
グリーゼスはトトが斬った瓦礫の中から鉄筋を取り出すと、鳥型の機械侵食者に向かって投げつける。
鉄筋は見事命中して鳥型の機械侵食者が落ちてくる。落下の衝撃で死んだのか?それともグリーゼスの投げた鉄筋で死んだのかは分からないが、鳥型の機械侵食者はどうやら絶命している様子だ。
『第1部隊へのお土産も出来たし合流しましょうか?』
『そいつは烏か?しかし・・・爪と尾の先しか変化しておらんようじゃのう』
グリーゼスが撃ち落とした鳥型の機械侵食者を見ていたトトは、変化している爪と尾を剣先でつつきながら不思議そうに見ている。
グリーゼスが撃ち落とした烏は完全には機械侵食者化してはない、どうやら機械侵食者化して間もないのであろう。
『他に機械侵食者化した生物はいないと思うが、念のために侵食能力を維持したまま合流するとしよう』
『了解』
最初の使徒第1、第2部隊合流ポイント
『どうやら来ましたよ』
『おや!?どうやらあちらも収穫があったようですね』
先に待っていた第1部隊は休憩していたようでネクロート、リッチは座っているが、イエスメデスは周りを警戒しているのか双眼鏡を片手に隕石が落下した方向を見ている。
『遅れてすまんのう。こちらに戻る最中に機械侵食者を発見したので遅くなったのじゃよ』
『イエスメデスお土産ですよ』
『・・・こいつはネズミか?』
合流した第2部隊は第1部隊のリーダーであるイエスメデスに先ほど仕留めたネズミと烏の機械侵食者を渡しおえる。報告をトトに任せたはグリーゼスはリッチ、ネクロートの方へと歩んでいく。
グリーゼス、トト共に合流した時点で侵食細胞は解除しているので、現在この場には5名の偽りの名がいるが、5人とも仮面を着けてはいない。
『イエスメデス。そちらの方はどうじゃ?』
『誰一人として生きている人間が見当たらないね。それにこの汚染濃度・・・我々でも定期的に戻らなければ侵食されて機械侵食者になってしまうかも知れない』
『やはりか。では隕石の落下地点に調査にいったヴィゼイアス、イクサ、イルミデンテが心配じゃのう』
『心配なら我々もヴィゼイアスの元へと向かいましょうよ』
イエスメデスとトトが会話をしているとネクロートが話しかけてくる。
先ほどグリーゼスからお土産であるネズミと烏型の機械侵食者から採血した血、皮膚、機械侵食者化した部分を保管カプセルにいれ終える。
周りで休憩していたリッチ、グリーゼスもネクロートに賛同しているようだ。
『ネクロート・・・しかし、私達はヴィゼイアスより機械侵食者の討伐及び、どのようにして機械侵食者化するか調べなければならないのですよ』
『しかし、イエスメデス、その討伐の報告も報告する相手がいなくなってしまったら終わりなのですよ』
『よろしい。ならば、こうしようではないか』
そう言うとトトはヴィゼイアスとイクサ、イルミデンテの援護の為にネクロート、リッチ、トトを、残りのイエスメデス、グリーゼスをもしもの為の部隊として残して置くことを提案する。
イエスメデスが不安そうな顔をしているがトトがなだめて難とか了承を得ることできた。
合流した部隊を再び再編してトトはリッチとネクロートを連れて隕石の落下地点に向かっていった。




