襲撃ノ後ニ
帝の軍勢特別強襲部隊が戦闘を終えてから数日後・・・現在オメガとパルパトは傷を癒す為療養中である。
オメガ達が戻るより前に帰っていたトトはオメガが連れて帰ってきた少女、リッチの司法解剖を行っている最中なのだが思うような結果が出せずにいた。
気分を変えようとトトは街へと買い物に出かける途中で、帝の軍勢総本部の方に視線を向ける。
『また人が死んだのか・・・』
トトの視線の先には半旗が風に靡いていた。
『これがこん作戦における帝の軍勢死亡リストです。
そしてこん作戦において・・・偽りの名B ブライド様、偽りの名G グリーゼス様が死亡しました』
本部へと戻ったイクサは葵から報告を受けている。
あの強襲作戦から1週間後、帝の軍勢は約50名程が亡くなり。そして結界棟の守護者であるグリーゼスとブライドの死亡が確認された。2名の遺体は本部へと送られて偽りの名のみの葬式が行われる予定になっている。
そしてグリーゼスの結界棟 火得にはLランテンを土得にはワイズマンが後任となる予定だ。
『また1人旧友が死んでしまいましね・・・これで残る最初の使徒と呼ばれたメンバーは妾と、お主、トト、そしてイルミデンテというわけか』
『私達、第二の戦徒のメンバーも私と、シルベルト、ワイズマン、ランテン、メリーが残っている状況。あの偽装機械侵食者という奴らの実力はわからいけど正直面倒だよね』
『確かにそうだな・・・イルミデンテが造り上げた・・・いや、造り直したと言った方が正しいのかな?
偽装機械侵食者なる者はどうやら我らが同胞の亡骸に侵食し変化した種族らしい』
『現在確認されているのはイルミデンテが連れていたエンラだけらしいのぉ・・・もしかしたらあの大戦で行方不明になった連中も偽装機械侵食者となったと考えた方がよさそうじゃのう』
現在帝の軍勢総本部の会議場にはイクサを含めた偽りの名が3人おり現状報告、情報共有、次の作戦の為の会議をしている。ジェスパーは現在右腕の療養の為に欠席。グリーゼスとブライドの後任は未だ正式に決定はしていないので、ランテンとワイズマンは会議には不参加である。
『そうなると・・・やはりイクサ様が戦闘をした偽装機械侵食者は偽りの名E エンラ様と考えてもよさそうですね』
『そうだな。あのときは時間に余裕がなくてエンラとは気がつかなかったが、イルミデンテはあの偽装機械侵食者をエンラと呼んでいたし』
『でもイクサの話だとエンラの姿が変わっていたらしいし、イルミデンテも姿が変わっていて見慣れない宝石で彼奴の銃が強化されたと考えると私達の知識より上の可能性があると思う』
『イクサよ。やはり帝の軍勢に技術提供した方がよさそうではないのか?』
イクサと葵、シルベルトが会話をしていると、イエスメデスが帝の軍勢に対して軍備増強を推奨する提案を出してきた。
至極当然である帝の軍勢にイクサ達、偽りの名の技術提供した場合、機械侵食者を倒すのに有効な武器の生産が可能であるからだ。
しかし問題もあるイクサ達、偽りの名の技術を提供した場合、イクサ達が機械侵食者を殲滅し終えた後に他国を侵略する可能性がある為である。
はっきり言って偽りの名の持つ技術は現在の技術で100年先、特定の分野に関しては150年、もしくは200年以上も先行した技術なのである。それを提供するということは歴史的概念で考えると非常に危険なのだ。
考えるてほしい・・・今の技術を持って100年前にタイムスリップしたとする、馬や歩兵での戦闘がメインの時代に戦闘機を用いた三次元戦闘を可能にした場合、敵の本部を強襲することは容易く、敵の補給線を叩くのも容易である。
『駄目だ。この時代にはこの時代の、我々の時代には我々の時代の生きている世界が違うのだ。
我々はこの時代の人間ではないのだ余計なことはする必要はない』
イクサがイエスメデスに向かって威圧的な視線を送る。
やはりイクサは技術提供には反対なようだ。シルベルトは興味無さそうに視線を反らしており、葵はなんだか悲しそうな顔をしている。
その顔にイクサは気がついたのかはわからいが、イエスメデスが話を変えて次の作戦をどうするか葵に提案がないか聞いている。
『それで今後の目的は神化の名と偽装機械侵食者の排除になるのかな?』
『確かにそうかもしれません。しかし偽装機械侵食者の能力は未知数であります。
イクサ様と接触した偽装機械侵食者エンラは、能力を聞く限りでは偽りの名としての侵略能力と機械侵食者の機械化もしていたらしいです』
シルベルトが今後の目的を話している。葵は偽装機械侵食者の危険性を危惧していて、結論を言うと帝の軍勢と偽装機械侵食者が戦闘した場合、帝の軍勢が大敗する可能性が非常に高い。
そして現状考えれる敵は
神化の名I イルミデンテ
神化の名N ネクロート
偽装機械侵食者E エンラ
偽装機械侵食者R リッチ
偽装機械侵食者C チェイン
がいると過程している。
神化の名N ネクロートは未確認ながらオメガの報告書を見る限り、彼女が未だに生きていると言うことは確定している。そして偽装機械侵食者のリッチとチェインは未確定ながら20年前の大戦で2名とも行方不明と言うことで処理されている。
『シルベルト、イエスメデスお主達に確認しておきたいことがある』
『何ですか改まって?』
『どうしましたイクサ?』
先ほどまで何やら考えごとをしていたイクサが改まってシルベルトとイクサに問いかける。
『神化の名と偽装機械侵食者に対しての対抗策に私は奴らを解放しようかと思う』
『・・・偽りの名H ハンター
偽りの名D ディザイアス
偽りの名K カイゲンの連中を解放しようとするつもりなのか』
『そうだ。奴らならば連中とも互角に戦える』
先ほどまで興味無さそうにしていたシルベルトが苦言をていして連中は、第二の戦徒での偽りの名であり、彼らは軍規を犯した為に現在総本部にて拘束されている。
『確かに互角に戦えるとは思うが・・・連中に合わせる帝の軍勢の部隊長の胃が心配ですこと』
『それについてですが彼らには部隊長の下に入って戦闘するのではなく、第三の聖徒
と同じようにした方がよいと思います』
『オメガ達と同じように結界棟の守護、機械侵食者の探査を無視した戦闘のみに特化させることにするつもりですか?』
『確かにそれならいいかもしれませんね』
葵の提案にシルベルトとイエスメデスが合意することによって数日後にハンター、ディザイアス、カイゲンの3名が解放されたことが記録されている。
廃都アークコード地下・・・
『・・・これだけ待ってもネクロートがこちらに来ないとなると殺られた可能性を考えなければなりませんね』
『そうだね。ネクロート殺られちゃったのかぁー』
神化の名I イルミデンテとユセは会議室で待つこと半日、集合日時にネクロートが未だに姿を見せないことを考えると、どうやら両名とも殺られたと過程したようだ。
『我らが同士を失ったのは悲しいことだ』
イルミデンテは両手を合わせて神に祈る。
彼が何を信じているのかは不明だが、1分程目を閉じている間ユセは関係無さそうに手元にある資料に目を通している。
『そういえばイルミデンテ、貴方の方に貸したエンラはどうだったの?』
『そうでね・・・エンラは命令をこなす事を前提に動いている状況で、基本的に回避などの動作は指示がなければ動かないですね。やはりネクロートと同じように自身で考えて行動させた方が良いのしょうか?』
『私はオススメしないけどね。何があるかどうかわからないし』
ユセは手元にある資料をイルミデンテの方に寄せる。
現在ユセが造り直した戦力。偽りの名の死体に機械侵食者の細胞を移植し、イルミデンテ、ネクロートが使用した宝石を使い命令を聞くように改造された者、偽装機械侵食者についての資料をもらったイルミデンテは頷きながら眺めている。
『あぁ!それともう1つ。イルミデンテはイクサと戦闘したんだよね?』
『えぇ。私の方は叡知の光炎を回収して撤収しようとした時にイクサに襲撃されました。お陰で叡知の光炎の回収に失敗してしまいましたよ。
あーお茶が美味しい』
イルミデンテは不機嫌そうに手元に置いてあるお茶を飲んでいる。
ちなみにイルミデンテは紅茶派でユセ、ネクロートは珈琲派である。地下にある工房で作られてはいるのだが味はなかなかである。
『惜しかったよねー。叡知の光炎だけじゃなくてあの私が撃ち落とした偽りの名も回収できたのに』
『確かにそうですね。しかし多少成りとも奴らに対しては打撃を与えたでしょうに。なんと言っても偽りの名B ブライドなのですから』
『あぁ。確かブライドって元々はイルミデンテの部下だったんだっけ?』
『えぇ、そうです。まぁこの地に来るときは私だけが最初に来ましたが』
元々はブライドはイルミデンテの部隊だったのだが、諸事情によりイルミデンテだけが先に到着したのだ。
ちなみにユセとネクロートは同期である。
『それで今後はどうするの?』
『そうですね・・・少しばかり無茶をしましょうか』
『へぇ・・・ついにイルミデンテの秘蔵のアレを起動させるんだ』
週間後・・・偽りの名と神化の名は再び激突することになったのであった。




