失ッタ者ト得ラレタ物
イクサがイルミデンテと戦闘してから数分後・・・帝の軍勢特別強襲部隊の大隊長であるアルゲイト中将は帝の軍勢本部へと出頭していた。
出頭理由はイクサの出撃による作戦の変更、それに伴う本部での今後の機械侵食者との戦闘をどうするべきかということだ。
通常であれば大隊長が自身の部隊から退くなどあってはならないのだが、本部はイクサの出撃によって機械侵食者の討伐作戦を諦め、一度撤収するした後で再度作戦を立て直すということらしい。
多少の不満があるがアルゲイト中将は自分を納得させて現在、帝の軍勢本部の司令室へとたどり着いた。
『しかし無線が使用不可の状況での探索は骨が折れますね』
『仕方ないさ。我々ではどうしようもないことだからね』
帝の軍勢特別強襲部隊はブライドの乗せた爆撃機が墜落したという知らせを受け、作戦内容を変更して爆撃機墜落付近の捜索の為に部隊を動かしていた。
現在捜索部隊を10人一組で移動させ、捜索とルート上の機械侵食者を掃討するという作戦だ。
しかし本来は叡智の光炎で大規模に機械侵食者を掃討する作戦で、その後に帝の軍勢による残党戦を仕掛ける手筈だったのだがそれが不可能になってしまったのでだいたいの部隊を本部に後退させることを余儀なくしていた。
『隊長!あれを』
『どれ・・・敵機械侵食者を確認!数は4匹!タイプは蟻型の機械侵食者
信号弾を発信した後に各員戦闘配置』
『了解!』
『しかしどういうことだ?先行した筈の第3部隊からは信号弾が発砲されていないぞ』
隊長の指示受けて戦闘配置にはいる分隊員達。
隊長は信号弾を発砲。色はもちろん赤色で本部へと連絡をいれる。
そのなかで隊長は1人の分隊員に誘き寄せる様に指示を出す。
『誘きだしに成功!各員射程距離に入り次第砲撃を開始せよ』
『了解!』
『撃て!』
隊長の指示によって各隊員は砲撃を開始する。数は4匹なので2人で1匹を砲撃し、残りの2名隊長ともう1人の隊員は周囲の確認をしている。
『機械侵食者の掃討に成功!』
『周囲に敵影なし・・・現在先行した筈の第3部隊との連絡がない事から奇襲させたと予想、各員警戒いつでも信号弾を撃てるように準備をしておけ』
『了解』
そしてこの分隊は4匹の蟻型の機械侵食者を掃討することに成功し、爆撃機の墜落現場へ向けて再び歩み始める。
帝の軍勢特別強襲部隊本部
『信号弾を確認!
色は赤色。敵機械侵食者との戦闘を確認!
・・・どういうことにだ?信号弾がひとつ1つしか上がらないぞ?』
『とりあえず私はルガルト少佐へ報告に行ってくる』
本部を守る分隊員の数は20名で2人1組で偵察をしており、それぞれ先発して探査に出た部隊の指示を本部へと連絡する役目を担っている。
その中で今回信号弾を発砲した部隊は第3・第4部隊で、偵察部隊の1人である鹿根秋紗菜は特別強襲部隊本部へと走っていく。
『失礼します。第3・第4部隊が機械侵食者との戦闘を開始しました。
そして信号弾は一発しか発砲されなかった模様』
『了解した。これで機械侵食者と接触した部隊は2部隊となりましたね。しかし未だにイクサ様と合流が出来ないとは・・・失礼。鹿根中尉持ち場に戻って結構』
『了解しました』
鹿根が退室するのを見計らって隣にいる副官である佐々木諒がメモに記入している。
佐々木諒は帝の軍勢本部へと戻ったアルゲイト中将と入れ替わるかたちでこちらに来たのだ。階級は鹿根と同じ中尉なのだが、ルガルトとは同期なので今回こちらにまわされたようなのだ。
『・・・少佐少し気になることが』
『私もだ佐々木中尉』
『少佐少し地図をお借りしますよ』
そう言うと佐々木は地図を取りだし印を記入する。
地図は隕石落下以前の物なのだが、距離を知るには問題ないということで現在も使用している。
まぁ・・・再び地図を作り直すとなるとかなり大規模な範囲の測量を開始しなければならなく、結界棟によって機械侵食者が他の地方へと行くのは防げてはいるが、結界棟の内側では依然として機械侵食者が産まれている状況である。
そのような状況での測量は群れにでも襲われればひとたまりもない。それに機械侵食者の中には単体で強力な個体も存在するので、偽りの名でもなければ測量は難しい。
しかし偽りの名各員は機械侵食者の討伐のため難しい現状である。
『先ほど報告にあった第3・第4部隊の信号弾の色は赤色だということなのですが、もう一方の部隊も発砲してもよいはずなのですが・・・』
『なるほどつまりは、第3・第4部隊のどちらか片方がやられた可能性があると』
『そのようですね』
今回の作戦は先行した部隊の捜索、及び偽りの名X イクサを援護する為に10個部隊を2部隊に分けて、先行部隊と後に続く部隊とで別れる手筈になっている。これは作戦上では機械侵食者に奇襲された場合どちらか片方の部隊が信号弾をあげる手筈になっているからである。
『信号弾が一発しかしかなかったのはそういうことでしょうね』
『ふむ・・・しかしイクサ様の捜索には偽りの名J ジェスパー様も参加されたと聞いている。イクサ様に関しては問題ないとは思うが、ブライド様の乗った爆撃機の墜落。グリーゼス様と共に先行した筈の部隊からは連絡がないとなるとやはり・・・』
帝の軍勢特別強襲本部観測班第7、第8部隊
『信号弾を確認!色は撤退をあらわす白。そしてもう1つも白』
『了解。ではルガルト少佐に連絡をいれて来ます』
帝の軍勢特別強襲部隊本部
『失礼します。第7、第8部隊より信号弾を確認。2つ共白色です』
『了解した。第7、第8部隊は機械侵食者との戦闘はなかったと考えると先行部隊、もしくは偽りの名の誰かと遭遇したと考えた方がよさそうですね』
『そうだな。第7、第8部隊が戻り次第損害を確認した後、必要であれば待機中の部隊を派遣せねばなるまい。
待機中の部隊の分隊長に召集をしておいてくれ』
『了解いたしました』
そういうと観測兵は待機中の部隊に連絡をいれる為に強襲本部を後にした。
第7偵察部隊
『イクサ様お怪我は?』
『大丈夫だ私に怪我はない・・・しかしブライドが殺られたようだ。
それに赤色の信号弾が2回確認されているということは、機械侵食者と戦闘を開始した部隊が最低で2つ。君たちの部隊は後方の第8部隊と合流した後、強襲本部へと戻ってくれこの情報を葵に報告する為に』
『了解しました』
『それともう1つ。私は機械侵食者と戦闘を開始した部隊の援護に向かう』
『了解しました。確認信号弾を発砲した後に後方を開始せよ』
部隊長が撤退信号である白色の信号弾を発砲した。
イクサと合流後、周囲の確認をしていた第7部隊の分隊員には目立った損害はない為、スムーズに撤退を開始する。
『イクサ様ご武運を』
部隊長がイクサに一礼した後分隊員の後を追って撤退していく。
1人その場に残ったイクサは叡知の光炎が手元にあるのを確認した後、誰もいない空を見つめていた。
第5偵察部隊
『・・・これは!?分隊長!』
『どうした!?』
『これを・・・』
周りの分隊から信号弾が発砲されるなかで第5分隊の分隊長。炉伊勢覚五郎は1匹の機械侵食者を発見する。
しかし、その機械侵食者は既に死んでいるようだ。この機械侵食者は珍しいことに人形で、全身が緑色の鱗で覆われて両足も異常に発達して戦意を削ぐほど歪になっている。
『なんと禍々しい・・・人形の機械侵食者とはこれほどなのか?
この機械侵食者を目撃したのは私達だけか?』
『はい。そうであります』
『そうか・・・ならば我々は何も見なかったということにしておこう。これを他の分隊員に見せるのは酷だと私は思うのだが』
『確かに・・・人間がこのような姿になると思うと食事が進みませんね・・・』
『お前は大丈夫なのか?』
『えぇ。小官はそのような事は別に』
そういうと第5部隊は何事もなかった事にして進んで行った。
いったいあの場いた機械侵食者は何者だったのか?それを知るものは今はこの世にいない・・・
第4偵察部隊
『やっと帝の軍勢の分隊と合流出来たと思ったら休憩もなしに本部へと方向しないといけないの?』
『申し訳ございません。四季様より重体以外の分隊長は出頭するように命じられておりますので、偽りの名の方々も出頭はイクサ様の命とも聞いていますので、どうか出頭お願いします』
『仕方ないなぁ・・・一様傷は止めたけどこっちは右腕が使用不可なんだよ!?報告が終わったら医務室につて来てね』
『了解です。我らが結界棟の守護者のジェスパー様の命とあれば』
本来であれば第3部隊と合流する筈なのだが、どうやら第3部隊は機械侵食者に殺られてしまったらしく ジェスパーは第4部隊と合流することになったのだ。
しかし、残念なことに第3部隊は全員死亡・・・奇襲されたのか信号弾を発砲することなく殺られてしまったらしい。
しかし幸い第4部隊は全員無事、少し前に蟻型の機械侵食者との戦闘があったが掃討した後に周囲を警戒しているところに、ジェスパーと合流出来たので今は本部へと後方をしているところだ。
『しかし・・・第3部隊はいったいどんな機械侵食者に殺られたのでしょうか?』
『さぁ?お前達が倒した蟻型の機械侵食者じゃないのか?』
『あの程度なら第3部隊でも殲滅出来たと思うのですが・・・練度は我々と同じだと思うのですが』
『まぁ・・・死んだものは何も出来ない。とりあえずこの作戦が終わったらもう一度訓練のし直しだね』
ジェスパーと炉伊勢はた互いに談笑しなが本部へと向かって歩いていった。




