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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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翼ヲ折ル者

オメガ達が廃病から脱出する1時間程前・・・ブライド達と叡知の光炎を乗せた爆撃機は爆弾ポイントに向かって飛行している。


地上では軍勢特別強襲部隊が機械侵食者(イレギュラー)と戦闘しておりグリーゼスはフリーと、オメガ&パルパトはネクロートと遭遇していた。


攻めこまれた神化(エヴォルグ)(ネーム)達の反撃が始まり、次第に苦戦劣勢となってしまった・・・



『もう間もなく目的地上空です』

『わかりました』


現在ブライドと叡智の光炎を乗せた爆撃機は隕石跡地の東側上空、爆撃ポイントから2km程度の場所を飛行している。

この爆撃機は特別製で、ブライドの造りあげた叡智の光炎は通常なら爆撃機の爆弾部分にあたる部分に積んでいる。その為に叡智の光炎を積むために他の爆弾を積んではいなく、作戦は一度叡智の光炎を使用した後は帰還するという手筈になっている。


『グリーゼスさんの方は上手くいったのかなぁ・・・』


ブライドは別れたグリーゼスの事を思いながら待機していると、何やら雲行きが怪しくなってきてしまった。


『雲が出てきましたね』

『そうですね。しかしこの程度なら大丈夫ではないでしょうか?』

『まぁ問題はないでしょう。

しかし、出撃前は晴れていたのにやはり中心部分に行くと天候が不安定になるのは調査通りですね』


爆撃機を操縦しているのは帝の軍勢の中でも、選りすぐりのパイロットの1人で名前を空野朝景。

隣にいる副操縦士の小凪明希介もかなりの実力者である。

叡智の光炎を乗せた爆撃機の周りには黒い色をした雲が出て来ている。

黒い色の雲は積乱雲のように発展していて、爆撃機の進行方向左側に邪魔するように出てきてしまった。


『ブライド様少し到着時間がずれてしまうかもしれません』


空野は積乱雲を回避する為に進行方向右側に機体を動かして回避をする。


『これは大きいですね・・・』


左側に見える積乱雲を見て小凪はため息をこぼす。積乱雲は目視できるだけでも2階建ての建物以上あり、爆撃機の窓から見えるだけは正確な大きさは計れない程である。


『ブライド様少しいいですか?』

『ど、どうしました空野さん?』


空野は小凪に向かって話しかける。操縦しているので前を向いたままなのだが、未だに左側方向に進んでいる。


『もしかしてこの積乱雲は爆撃予定地点の上空にありませんか?』

『す、少し待っててください・・・』


空野は爆撃地点を聞くためブライドに話しかける。

ブライドは地図を拡げて爆撃地点を再確認した後に窓から下を覗き込む。

しかし、下を覗き込もうにも爆撃機の下には薄い雲が霞のようになっていて、見えづらくなってしまっていた。


『ま、まずいです・・・あの積乱雲の下は爆撃地点になっています。多分・・・』


まずいことに叡智の光炎を投下する地点には積乱雲が出てきてしまったていて、このままでは叡智の光炎を投下出来なくなってしまう可能性がある。


『どうしますか?』

『・・・仕方ないです空野さん、小凪さん積乱雲にギリギリ近づける距離まで近づいてください。

多少場所はずれてしまいますが仕方ないです』


ブライドは空野と小凪に指示を出す。


『わかりました』

『了解です』


ブライドの指示を聞いた空野は右側にきっていた進路を修正すると、積乱雲に向けて再び方向を変えて進んでいく。




『順調ですね。

まぁ・・・多少遅れましたが大丈夫でしょう。

さぁ!偽装機械侵食者(インゼントイレギュラー)E エンラ出番ですよ』


積乱雲のちょうど真下、叡智の光炎の爆撃地点にいるのは神化(エヴォルグ)(ネーム)I イルミデンテ。

そしてその横には仮面を付けた大男が立っている。

仮面の左側全体に張り付けられた奇妙な目玉。瞳の色には黒色の他に、赤や黄色、緑色など8種類あるようだ。そして左側にはEの紋章。口らしき部分は見当たらない

元からなのかそうでないのかはわからないが、偽装機械侵食者(インゼントイレギュラー)E エンラの上半身はかなりの鍛え上げられていて腹筋は割れており、両腕は一般男性の太もも程になっている。

上半身程ではないが下半身もその巨体を支える為に太く、がっしりと地面を踏み固めている。

例えるなら身長2.5m以上のゴリラとでも言えばいいのであろう、そう思えるエンラの身体は筋肉質で巨体なのだ。

そして右腕だけが異常に発達していて左腕の2倍くらいの大きさがある。


『まず、私があの爆撃機を落とします。そのあとは墜落する前に中に積んである叡智の光炎回収してくださいね』


イルミデンテがエンラに向かって話しかける。

理解したのかエンラは頷くと積乱雲上空を見上げている。

エンラの服装は上半身は裸で右腕には特殊なガントレット。指の部分には猛禽類の爪を思わせる様になっていて、人間の頭蓋骨程度であれば握り潰せそうな感じだ。

下半身には目立った変化はなく、銀色に光輝く左腕のみが変化しているようだ。


『それでは戦闘を始めましょうか』


そういうとイルミデンテは後ろに置いてあるケース程の中からロケットランチャーらしき物を取り出す。

このロケットランチャーらしき物は未来の技術を使用して作られており、熱源に向けて自動追尾していく様になっている。

通常のロケットランチャーは着弾と同時に爆発するのだが、このロケットランチャーは着弾した後に爆発を起こすのではなく、着弾時に周囲に特殊磁場を放出させて周囲の電化製品をショートさせる作りになっている。



イルミデンテが近づいてきている爆撃機を攻撃範囲内に捕らえ爆撃を開始する。



『レーダーに反応!下から急速に熱源が接近しています』

『フレアを発射!その後に右へ回避する衝撃に備えよ』


イルミデンテの発射したロケット弾が爆撃機に向かって急速に接近するなかで、空野と小凪は最善の方法で被害を最小限にしようとするが・・・フレアを散布するのが遅かったのか爆撃機はロケット弾の発生させる特殊磁場の範囲内に入ってしまっていた。


『両エンジン停止!?原因は不明』

『レーダーも全て駄目なようだな・・・』

『ま、まずいです。空野さん、小凪さん前を・・・』


機体の制御を失ってしまった爆撃機の前には積乱雲が近づいて来ている。

このままでは回避するしようにも爆撃機の左側部分が突っ込んでしまう形になってしまい、積乱雲の中がどうなっているのかはわからないが、雲が黒い事から何やら嫌な予感が立ちこめてきている気がしてしまう。


『これは突っ込む方が良さそうですね・・・今さら脱出したとしても間に合いませんし』

『だ、大丈夫なのですか』

『まぁ・・・仕方ないですねトラブルは事前通告なんぞしてはくれませんからね』


覚悟を決めたのか空野はハンドルをしっかりと握り、機体を安定させながら積乱雲の中を進んで行く覚悟を決める。


『エンラ行きなさい。叡智の光炎を回収するのです』


いつの間にかエンラの周りには小型のドローンのような機械が4機待機していて、それぞれの機体がエンラに鎖で繋がっている。

イルミデンテの掛け声と共にエンラはスイッチを押して落下中の爆撃機に向けて飛びたっていった。


『あ、あの・・・爆撃機ポイントまで後どのくらいかわかりますか?』

『レーダーが駄目になっているので正確な位置はつかめませんが、レーダーが使用不可能になってから後1.700m程度だったので、だいたい1km程度だと思いますが』

『そうなのですか。後少しで』


ブライドが小凪に向かって話しかけていると急に爆撃機が左側に傾きだす。


『こ、こいつは!?』

『空野さん左翼部分に何やら人間らしき人影が!』


爆撃機の左翼にはエンラが既に張り付いており、エンラが着地した衝撃でプロペラ部分がひしゃげてしまっている。あれではもはや使い物にならないであろう。


『なに者だ彼奴は?』

『・・・間違いなく敵ですね。

しかし・・・あの姿は(コード)りの(ネーム)のような』

『す、すみません。僕は他の(コード)りの(ネーム)に対してあまり詳しくはないのでわからないです』

『近づいて来ます!』


エンラが次第にコックピットに向かって進んで行く。

爆撃機の上という非常に不安定な場所での移動なのでゆっくりではあるが、確実にコックピットの方向に向けて近づいて来ている。


『ブライド様もう時間がありません。叡智の光炎の投下してください』

『わ、わかりま・・・』


小凪がブライドに手動で叡智の光炎の投下を頼んだその時、エンラが既にコックピットに到着していた。

未だに距離があったのに一瞬で到着したしたのはたぶんジャンプをしたのであろう、コックピットに到着したエンラはガラスをぶち破り、左側に座っていた小凪が外に放り投げられる。


『ひ、小凪さんが・・・』

『良くも小凪を!』


コックピットに入ろうとしているエンラに向かって空野が拳銃で応戦する。

座席を立って叡智の光炎を投下するレバーを下げようとしていたブライドは、ぶち破られたガラスから入ってきた空気によって壁に吹き飛ばされてしまった。


『くそ!効かない。

ブライド様早く!』


エンラは空野の拳銃で撃たれても怯みもせずにコックピットに侵入してくる。


『こ、これで、叡智の光炎を』


ブライドは立ち上がり叡智の光炎を投下するレバーを操作しようするが、エンラが空野をブライドの方にぶん投げて阻止する。


『がっ!?』

『ぐっ・・・』


ブライド空野は衝突した打ち所が悪かったのか腹部を抑えて倒れている隙にエンラは、叡智の光炎を回収することに成功していた。


『ま、待って!』


ブライドが立ち上がり叡智の光炎を取り返そうとブライドに向けて拳銃を突きつける。

しかし、ブライドは右腕の鋭利な爪を利用して爆撃機の装甲をぶち抜き地上へと落下していく。


『ま、まずい』


ブライドによって爆撃機のコックピットには穴が開き、格納庫の装甲にも穴を開けられたことによって完全に操作不能となった爆撃機は、1分とかからずに空中分解をしはじめる。


『空野さん。脱出しますよ』


ブライドはパラシュートを背負い空野を引きずるかたちで空中分解中の爆撃機から間一髪で脱出することに成功した。


『す、すみませんブライド様』

『と、とりあえず地上に降りましょう。話はそれか・・・』


降下中のブライドと空野の意識が薄れてゆく・・・ブライドが目にしたのは顔が半分以上失われた空野と自身のみぞおちから流れ出る鮮血だけだった。




『目標に着弾!狙撃は成功した模様。

狙撃ポイントを変更する』


神化(エヴォルグ)(ネーム)U ユセと隣の狙撃主は共にこの場を後に去っていった。

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