惨劇ハ鉄ノ翼ト共ニ
ネクロートを地下の実験場に残して脱出することに成功したオメガ達は、現在地下の回廊を走っている。
先ほどの揺れでのせいで廊下を照らす照明や、天井が崩れているところがあり進み難くなっている場所が所々にある。
オメガ達は先ほどの揺れの正体がわからないまま、地上に出る為の扉の近くに到着した。
現在、オメガ達は階段を上がって行き地上へと続く扉の前に来ている。先ほどの揺れで扉の一部が変形していて、多少開け難くはなってはいるが、オメガやパルパト等な偽りの名(ネーム )なら開けることは簡単であろう。
オメガが先頭に立ち扉を開け放つ。
扉を開けたオメガ達の視界に入って来たのは最早廃病等というレベルではない・・・完全に朽ち果てた世界が広がっていた。
『何なんですかこれは・・・』
『これがネクロートの言っていた取り返しのつかない状況・・・』
『まるで一気に朽ち果てたみたい』
オメガは扉の壁や部分を指でなぞる。
いったい何がどうなったのかはわからないが、廃病全体がボロボロになっていて、現在オメガ達のいる場所にはごろごろとした瓦礫が散乱している。
そして上を見上げると空が見えている。オメガ達が最初に来たときよりかなり悪化していて、骨組みだけの場所も見てとれる。
『瓦礫が邪魔だな』
オメガは瓦礫を蹴飛ばしながら道を作って行く。
足の踏み場もないくらいに敷き詰められた瓦礫は大きいものでは5m程もあるようだ。
『ねぇ、これってさっきの揺れと関係あるの?』
『あぁ・・・多分さっきの揺れの正体はあれだと思うぜ』
オメガは瓦礫のてっぺんにたどり着くと、とある場所を指差しをしてパルパトと姫子に教える。
その場所には無惨にもバラバラになってしまった爆撃機が墜落していた。
着地の衝撃なのであろうか?機体がバラバラに分解をしていて、周りには焼け焦げたであろうパーツが散乱している。
『これは何なのでしょうか?』
姫子が口元を抑えながら近くに落ちている破片を拾いあげる。未だに機体の周りには炎が黒煙を上げて燃え上がって迂闊に近づくのは危険で、これ以上近くのは姫子には少し危険である。
『これは・・・俺達の技術が使われているな?』
『多分爆撃機という物で、空を飛んで上から爆撃できるという兵器』
オメガは姫子の持っている破片を覗きこみ答える。
パルパトはオメガ達に気づいてもらうために大きめの破片を指差しをしている。
その破片は爆撃機のプロペラ部分でひしゃげてはいるが、原型を留めているのでこの場所に散らばっている破片が爆撃機の破片であると断言したのだ。
『多分乗っていた人達は全滅したかも』
パルパトはさっきまで指差しをしていた場所とは違う方向を指差している。
その方向には元は人間であったであろう腕が焼け焦げて散乱していた。
『いったい何がどうなっているのでしょうか?』
姫子は手に持っている破片ポケットにしまうと周りを再び見回していると、何やら上空から羽ばたく音が聞こえてくる。
『おいおい!?休憩も無しか?』
『機械侵食者は何時でも襲ってくるからね』
『オメガ様、どうしますか?』
『撤退するぞ!俺達の持っている情報はかなり重要だからな』
オメガ達が空を見上げると、5匹程の鳥達が飛んでいる。
鳥型の機械侵食者達はある者は右翼が、またある者は左翼と、頭部が機械侵食者化している者等バラバラではあるが5匹全員が機械侵食者化している。
大きい者では2m以上の個体から小さい者では40cm程度の者までいる状況だ。
どの鳥型の機械侵食者もオメガ達の上を飛行している。
『気づいていないのか?』
『どうでしょうか?私は鳥の生態には詳しくないのでわからないです』
オメガは背負っているリッチを気遣うようにしてどうにか通れる道を進んで行く。
後ろには姫子パルパトが後をつけている。
『とりあえずトトじぃと合流した方がいいのかな?』
『オメガ。多分この場合は合流よりも戻った方がいいと思う』
『オメガ様!上を見上げるて下さい!』
『彼奴は?』
オメガ達が上を見上げるとそこには鳥型の機械侵食者と争っている鳥がいる。
いや、正確には鳥ではなく、偽りの名J ジェスパーが攻撃を仕掛けているのだ。
ジェスパーの攻撃により鳥型の機械侵食者のうち、2匹が負傷していて血を流しているのが見てとれる。
そして現在ジェスパーと戦闘しているのは、鳥型の機械侵食者の中でも1番大きな個体のようだ。
『ジェスパーが攻撃を仕掛けてる』
『今のうちに行くぞ』
上を見上げるていたオメガ達は戦っているのがジェスパーだとわかるとこの場を後にする。
『まったく今日は酷いなぁー。
私の美しい翼が傷付いちゃったじゃないの』
ジェスパーは不機嫌そうに残りの鳥型の機械侵食者を敵視している。
既に一匹仕留めていて、右足にはボロボロになっている鳥型の機械侵食者を捕まえている。1番大きな個体を仕留めたものの残りは4匹で、負傷しているのは2匹なのだがジェスパーも大きな個体を仕留める為に右翼を少し傷付けられてしまっていた。
『空は私だけの物なのに・・・ムカつくなぁ』
ジェスパーは右足で捕まえている鳥型の機械侵食者を投げ飛ばすと、翼を拡げ負傷している2匹のうちの1匹に攻撃を仕掛ける。
偽りの名J ジェスパーの翼は侵食能力によって刃物の様になっていて、比較的他の機械侵食者より脆い鳥型の機械侵食者の皮膚程度なら容易に断ち切ることが可能である。
『ついでにもう1匹!』
ジェスパーは負傷している鳥型の機械侵食者の一匹を仕留めることに成功すると、もう一匹の負傷していて方に左足で仕掛ける。
オメガ達がこの場を去ってから三匹の鳥型の機械侵食者を仕留め残りを二匹にしたジェスパーは増援がいないか周囲を確認している。
しかし・・・ジェスパーが警戒していると、残り二匹となってしまった鳥型の機械侵食者の一匹
が逃げようとしているのに気がつく。
『私から逃げるつもり?』
ジェスパーが攻撃を仕掛けようとすると、もう一匹の鳥型の機械侵食者が行く手を阻む。
『連携している・・・もしかしてこいつらもオメガと戦ったていう改造機械侵食者なのか?』
ジェスパーは攻撃をかわすだけで、攻撃を仕掛けてこようとはしてこない鳥型の機械侵食者
に手を焼いていると、右翼に激痛が込み上げてくる。
そしてジェスパーの全方には腹部に大穴を開けた鳥型の機械侵食者が絶命していた。
何が起きたのか?
その事を考える余裕もなく右翼を失い、飛行能力を失ってしまったジェスパーはなんとか衝撃を和らげようと左翼を最大に拡げて勢いを弱めようとする。
(何なのいったい!?)
ジェスパーは地上に着くと直ちに侵食能力解除をして負傷した右翼、解除したので右腕となった部分の止血にとりかかる。
ジェスパーの右腕は上腕骨の部分に被弾していて傷口の具合から銃による物だと分かるが、いったいどの場所からどのくらい離れているのかまではわからない。
(方角は的に隕石の落ちた場所辺りか・・・)
ジェスパーは手当てをしながら撃たれた方向を見つめる。
ジェスパーと戦闘していた鳥型の機械侵食者は囮に使用されたようで、ジェスパーとの位置関係的に死角となる部分からの攻撃は腹部を撃ち抜かれている事からある程度は予想はできる。
そして何よりも、もう一匹の無事な方の鳥型の機械侵食者が撃ってきた方角と同じ方向に飛んで行くということは、あの方角の先に何かあるのかもしれない。
『うーん・・・やはりまだまだですね』
神化の名U ユセは双眼鏡を覗きこみながら呟く。
ユセの隣には巨大なライフル銃を構えた人物。
仮面を付け肩からは灰色のマントを羽織っていて、服装は帝の軍勢と酷似している。そして付けている仮面には
Cの紋章がある。
『まぁ・・・ジェスパーを戦闘不能にしたのは大きいでしょうから後々調整していきましょうか』
ユセはこの場を去り、Cの紋章を付けた人物もユセに続いてこの場を去っていく。




