秘策ハ手の中ニ
巨大な蛇の機械侵食者マサエルと対峙しているオメガの前に新たな言葉を喋る機械侵食者が。
2対1となってしまったオメガはこのピンチをどのようにして切り抜けるのか?
そしてオメガがマサエルに対してダメージを負わせた秘策とは?
『全く、いったい何時まで遊んでいるのですか?』
『誰だ!?』
オメガは声のした方向に目を向けるとそこには・・・
1m程のカメレオンが地下実験場の壁に張り付いていた。
しかしこのカメレオン先ほどのマサエルと同等に機械侵食者化しており、全身が錆色に変色している。
『2体目・・・』
オメガは思わず唾を飲み込む。ただでさえマサエルに対して決定打をあたえることが出来ずにいるのに、この場にもう1体の機械侵食者が何処からか進入して来たことに。
マサエル程の大きさはないが重要なのはそんなことではない、この地下実験場に易々と進入して出来ること、そして何よりもこのカメレオン型の機械侵食者はマサエルの声の主と仲間なのであろう。
でなければ普通の機械侵食者化したカメレオンがこの場にいるはずがない、自然界では群れで狩りをするもの以外、体格の大きい者ほど戦闘が有利なのは明らかなことなのだから・・・
『どうしたの?デクロ。今お楽しみ中なの邪魔しないで』
マサエルの声の主は機械侵食者化したカメレオンのことをデクロと呼んでいる。やはりオメガの予想は正しく仲間なのであろう。
『もう少しでこの地に他の偽りの名が来ます。撤退して下さい』
『・・・そうね。他の偽りの名まで来られたら討伐されてしまいますし』
マサエルとデクロはどうやらこの地下実験場から撤退するようだ。
『・・・しかしこの姿を見られてますから、ただで撤退する訳にはいきませんにね!』
デクロはオメガに対してし舌を伸ばし絡めとる。カメレオンの舌の伸ばす速さは、もはや人の目で追える早さではない。
『な!?何がどうなって!?』
オメガはデクロの伸ばした舌によって絡めとられ、カメレオンに狙われた虫のように捕まってしまった。
『こいつは持って帰りましょう。いい実験体になることでしょうから』
『その前に私に遊ばせてくれない?私自身がオメガちゃんのお相手したいの。先ほどのとは違う素敵な悲鳴を聴かせてもらいたいですし』
マサエルとデクロは楽しそうに談笑していると・・・突然爆音が地下実験場に響きわたりデクロがその場に横たわってしまった。
『うぇぇ。気持ち悪いなぁ、ベタベタしやがる』
先ほどの爆発はオメガがデクロに対機械侵食者用の手榴弾を口の中に入れて爆発させた音で、デクロの舌はボロボロに爛れてしまった為にオメガを離してしまった。
口から大量の吐血をしているデクロに対して、オメガは少しの火傷ですんでいる。ふつうなら片腕が吹き飛んでもおかしくない状況なのだが。
『デクロ大丈夫!?』
『・・・』
『デクロ!?』
『追撃だ』
動かなくなったデクロに対してオメガは大斧を投げて追撃し、デクロの肉体が引きちぎられボロ雑巾ように周りに散らばる。
『やってくれるわね、オメガちゃん。デクロを倒してしまうなんて』
『仕掛けて来たのはそっちだろ。恨みっこは無しだぜ』
オメガはいつの間にか大斧についている鎖を使い自身の手元に戻すと、再びかまえの姿勢に入る。
『恨んではないですよー。でもオメガちゃん。
どうしてあの状況から脱出できたの?しかもその程度の傷で』
『教えないぜ。自分で確かめてみなよ』
オメガは再びマサエルに対して突進する。勿論狙うのは先ほどの傷を受けた場所。
『黒鉄 城壁崩し!』
『させないよ!』
オメガの城壁崩しとマサエルの尻尾が激突し、火花が飛び散ると思いきや・・・
オメガは大斧が尻尾にぶつかる瞬間に大斧を後ろに交代させ、自身の右腕で殴りかかるとマサエルの尻尾が大きく仰け反り隙が生まれる。
『喰らえ。重鬼の紅鉄斬!』
『くそ。舐めるんじゃないわよ!』
オメガの大斧の攻撃に対してマサエルは大口を開け、毒の体液を射出しようとするのだが・・・再びマサエルは苦痛に悶え地面にうずくまる。
『分かったわよ。オメガちゃん』
『分かって何がだ?』
『オメガちゃんがどのようにして、私のマサエルに対してダメージを与えたのかが』
地面にうずくまるマサエルからは誇らしそうな答えがかえってくる。
『オメガちゃんは先ほどのマサエルに対して突進してきたときに噴出した圧縮空気砲、あれは両足だけしか出ないものだと思っましたよ。
しかしレベル2になる前の右腕にも再武装をしているのですね。空気を圧縮した物なので温度も感じることが出来なかったですし、両足の空気圧縮砲で派手に行動するのに対して右腕の空気圧縮砲は少しづつ空気を集めていたのですね。
全然気が付きませんでした。お見事です』
マサエルはボロボロの肉体で這いずり回っていると、全身の鱗がボロボロと朽ちてきた・・・
『っち、まさか耐えられないのか・・・オメガちゃんお別れね』
『お別れだと、逃げるのか?』
オメガは警戒するように大斧をかまえ、地下実験場の吹き飛ばされた扉の前に陣取る。
『残念だが。その体でこの地下実験場から出ることはできんぞ』
マサエルはデクロに対して毒の体液を射出する。
オメガにやられてボロボロで動けないはずのデクロの肉体はみるみるうちに溶けるだし、機械侵食者化した鱗、骨までもドロドロと溶けて腐敗臭が漂う。
『別れるのは惜しいですけど、あまり長くは止まれませんからね。
オメガちゃんまた何処かで会いましょう』
マサエルの体から時計の用な音が聞こえてくる。
『まさか・・・自爆か!?』
『察しがいいですね。この技術をオメガちゃんたち、偽りの名に奪われる訳にはいきませんので』
そう言い終えるないうちにマサエルの体が急速に膨張し始める。その姿は獲物を丸飲みした蛇のごとく、はたまた大きく空気を吸い込んだカエルの様に不気味になっていく。
『おいおいおい!?もしかしてこれけっこうヤバイパターンか?
ここの上にはまだ調査中の帝の軍勢がいるのによ』
『それではさようなら・・・』
膨張したマサエルの体が破裂し地下実験場の壁や天井、床を根こそぎ破壊しするほどの巨大は爆発がおこる。
マサエルの自身の爆発によってクロノトーン研究所跡地は無惨に破壊しつくされ、巨大な爆発は周りの施設までもを焼き払い、辺りに一面を爆炎が包み込む・・・そうなるはずだったなのだが。
今にも爆発しそうだったマサエルの体は、腹部らしき部分に槍の様なものが刺さっている。
その槍は中世に出てくるような長槍に比べると、かなり巨大で大人の男でも両腕でなければ扱えないとわかる。
そしてその槍は美しかった。
その美しき純白の槍は所々に金の装飾が施されており、その姿は薄暗い地下実験場でスポットライトを浴びたように輝いており、その輝きはマサエルの鮮血をも自身の装飾だと思わせるほどの美しさをかもしだしている。
『どうやら間に合ったようですね。無事・・・ではないようですが深傷をおっているようではないようですね』
オメガの後ろから声が聞こえてくる。
そこにはひとり偽りの名であり、この地で雄一無二の最強の印である紋章を持つ者・・・偽りの名 Xの適合者 イクサが能力を解除し、こちらに向かってきていた。




