灰色ノ花束
ワイズマンが報告し終えてから3日がたち、総司令室にはイクサが四季から追加の報告を聴いていた。
昔のことを思い出したイクサに対して四季は自身の心の思いを打ち明け、他の者達は信用できないと言う。
『これがこの間の資料です』
ワイズマンが報告してから3日がたち、四季はイクサに女王機械蟻討伐の資料とメリーが率いていた帝の軍勢の名簿等を机に置いた。
『・・・葵ものは相談なのだが』
『駄目です』
イクサの問い掛けに四季は一喝する。
『どうせ、裏切者のフリーの討伐に行くつもりなのですよね』
『駄目かい?』
四季は溜息をつき、イクサに説教し始めた。
その様子は課題の出来ない生徒に対して何処が間違っているか、何をどうした方が良いか教えるように。
端から見たら四季がイクサの上司にも見える・・・
『貴方はもう総司令いう立場なのですから、もう30年前とは違うのです。
それに他の偽りの名、帝の軍勢達が動揺する可能性があります。
くれぐれも勝手な行動は慎むように』
先日ワイズマンが来たときとはまるで態度が違い、まるでだらしない親父の様である。
『イクサ様、ちゃんと聴いてますか?』
『聴いてますよ。だけど20年前の借りは返さなくてはなりません』
イクサから先ほどとは違い、巧妙に隠してはいるが殺気が出ている。
『奴のせいでかなりの戦力を失ってしまった。
犠牲となった数多くの帝の軍勢、3名の偽りの名。
その他にも市民からの信頼、重要拠点の1部破損等、戦力の回復に5年の歳月を費やしてしまいましたから』
『確かにそうですが・・・
やはり私は心配です』
四季は悲しそうにイクサの右手に目をやる。
『それに奴を罠にはめた者、神化の名の存在も気になります』
『神化の名・・・10年前から活動し始め、5年前に私の右目を奪った男』
イクサは自身の右目の部分、今は眼帯で隠している場所を指でなぞる。
『しかしここ2年前から噂は全然聴きません。
1部ではもうこの世にはいないとも噂されていますが、やはり証拠がありませんので断言出来ませんが』
四季は心配そうにイクサの方が目をやる。
しかしその瞳には、キラリと輝く物が・・・
それにイクサが気がつくと、慌てた口調で話を始める。
『そ、それよりフリーはまだ疑っていたのかい。
我々偽りの名の中に裏切り者がいると』
『はい。まだ疑っております。
しかしイクサ様もご存知通り全て偽りの名に対して自白剤を使用しましたし、あの時全員のアリバイも調べ終わっています。
全員アリバイがあり、裏切り者はいませんでした』
『私も裏切り者がいるとは考えたくない、それに対策もしてあるから大丈夫だとは思うが・・・
四季くん。君はどう思う』
四季はイクサの前に立つと、イクサの右手に手を重ねる。
『私も他の偽りの名や帝の軍勢のことは信頼しています。
しかし人の心というのは複雑です。
絶対などありえません。』
『確かにな・・・しかし私は絶対裏切らない者を知っている』
『それは誰なのですか?』
四季は不思議そうにイクサを見つめる。
『君だよ、四季葵。
君だけは私を裏切らないと確信している』
『何故言い切れるのですか?
私も人間です絶対はありませんよ』
四季の問い掛けにイクサは、右手に置かれている四季の手を取り両手で握り締める。
『私が選んだ女性はそのようなことはしない。
そう確信しているからさ』
『い、イクサ様・・・あ、ありがとうございます』
四季は頬を染め、照れ臭そうに視線をそらす。
『今度何処かに食事でもどうだい?
最近の美味しいと評判な店があるんだ』
『そうですね、この仕事が片付いた行きましょう』
四季は嬉しそうにイクサの方に振り向く。




