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偽りの名AtoZ  作者: 砂白ゆとり
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裏切者ノ偽りの名

女王機械蟻に爆弾を埋め込み事に成功したオメガ達。


追っ手の蟻型の機械侵食者(イレギュラー)をまくことに成功し、脱出しようと旧第4地下鉄駅に到着した時・・・


周りに拍手が響きわたる。


拍手をした者の正体とは?

『やぁ・・・メリー、それにワイズマン。

会えて嬉しいよ』


瓦礫の山の上にいた男は軽やかな足どりで瓦礫から飛び降り、両手を広げオメガ達を迎え入れる。


・・・しかし顔は邪悪に微笑んでいる。


その顔は、まるで罠にかかった獲物を満足げに見つめる狩人の様に。


『・・・てめぇ!?どうしてここにいる!』


メリーは声をあらげ自身の右腕の弓を構え、標準をフリーと呼ばれている男に定める。


『おい、こいつは誰だ!?』

『知り合いですか?』


オメガと姫子はメリーに声をかける。


『彼の名はフリー、我々と同じ偽(コード)りの名(ネーム)の仲間だった者です』


メリーの代わりワイズマンがオメガ達に答える。


ワイズマンの右手にはナイフが握られており、オメガ達と話している最中にも目の前のフリーを睨んでいる。


どういう訳かは分からないが、メリー、ワイズマンはフリーをかなり警戒している。


『だった者って?どうゆうことだ!?』


ワイズマンがオメガ返答しようとしたその時。


『どうしてここにいるのかって・・・当然だろ。

この俺に裏切者の烙印押した野郎をぶっ潰すためだよ!』


先程とはまるで口調が変わったフリーが答える。


それ声はまるで地獄に落とされた者の呪怨のごとく、怒りに任せた荒々しい口調で。


『裏切者って』


姫子はオメガの後ろに隠れフリーの様子をみる。


『そこのお嬢ちゃん。裏切者ってのは違うなぁ。

俺が裏切られたんだよ!

なぁ‼

ワイズマン、メリー、てめぇ等なら知ってるんだろ、俺を罠に嵌めやがった野郎を』


フリーの怒りに任せた暴言、もしこの世にオーラと言うものがあるのならばフリーの全身からは、きっとどす黒いオーラが溢れだしているのだろう。

そう思えるくらいの殺気も放っている。


『そっちの偽(コード)りの名(ネーム)の方々は初めましてだねぇ。

あらためて挨拶させてもらうよ・・・俺はフリーと言う者だ』


フリーはオメガ達に向かって自己紹介をする。

先ほど見せた邪悪な微笑みと共に・・・


姫子はより一層オメガの影に隠れ、オメガも少しばかり後ずさりする。


『大丈夫だよ。君たちは3番目(・・・)だよね。

俺は復讐が目的なんだ、別に君たちには怨みはないから潰さ・・・』



『烈牙の矢!』


メリーはフリーに向かって矢を放つ。


しかし矢はフリーには当たらず後ろの瓦礫に激突し、瓦礫が粉々に砕け散る。


その砕け散った瓦礫にからは、なにやら赤い液体が飛び散る。


『なんだ!?血か?』


『あれですか?

あれは先ほど仕留めた熊型の機械侵食者(イレギュラー)だよ。

俺に襲いかかろうとしたから潰したんだよ』


フリーはオメガに親しげに話しかける。

先ほどの殺気が嘘のようになくなり、むしろ好意的なしゃべり方である。


『お、おまえかなり強いんだな』


オメガは驚いたような声をあげ、フリーの能力発動している両足を見つめる。


『ねぇ・・・さっきはいきなり何するのメリー』


フリーはこんどは先ほどのオメガと話してたのとは全く真逆の反応でメリーに話しかけ始める。


『人が話しているときは耳をかたむける。そう教わらなかったのかい』


フリーは能力を発動させメリーを蹴り飛ばし、メリーは壁に激突して倒れこむ。


『メリー!』


『大丈夫だよ。手加減したから。多分肋骨にヒビが入っている程度だよ』


フリーの蹴りは接近戦特化型のオメガでならかわすことが出来たものの、遠距離攻撃型のメリーなら反応はできてもかわすことが不可能なくらいの速い蹴りだった。


吹き飛ばされたメリーは苦しそうに呻き声をあげている。


『姫子、パルパトを頼む』


オメガは背負っているパルパトを下ろすと、姫子に支えるように頼む。


『止めなよ、君じゃ勝てないよ』


先ほどの好意的な微笑みではなく。


オメガでは絶対に勝てない、そう確信したようなしゃべり方だ。


『顔色が少し優れないねぇ、長時間能力を酷使している証拠だよ。

能力の使用し過ぎは禁物だよ、機触細胞(オラクル)に耐えられなくなったらどうなるか・・・分かるよね』


『待て、オメガ、おまえには関係の無いことだ』


オメガの前にワイズマンが立ちはだかる。右手まだナイフを持ったままだが。


『ワイズマン!話す気になってくれたんだね』


フリーは邪悪に微笑みワイズマンの方に歩みよって行く。



『残念だが時間切れだ』


『時間切れ?』


フリーが不思議そうに考え込もうとしたその時・・・

地下から巨大な地響きが聴こえるくる。

それに紛れて地面の一部が崩壊を始める。


『なんだ!?なんが起きているんだ』


フリーは混乱したように辺りを見渡していると、足元に何やら水晶の様な物が飛んで来る。


『なんだこれは?』


フリーが水晶を取り上げるようとすると、罅が入り中の液体が飛び散る。


『なんだこれは!?くそ、ベタベタして身動きが』


フリーの足元に転がったのワイズマンの手によって割れやすいように、加工さた炸裂粘液水晶(ヴェヌースラクリマ)だったのである。


『私の反応速度では貴方にとても勝てません。

なので策を考えました。

私の感染能力は偽(コード)りの名(ネーム)の中では1、2を争うくらい早いですから』


ワイズマンが誇らしげにフリーに向かって説明し始める。


『行動力は半減したけどヤバい状態には変わりないぜ。

やっぱり俺が戦ったほうが良いんじゃないか?』


『大丈夫です、手はもう一つありますから』


ワイズマンが交戦しようとしているオメガをなだめる。


『やってくれるねぇワイズマン・・・相変わらずせこい野郎だぜ』


フリーがワイズマンの間合いから離れ、不自由な両手に対してメリーの放った矢で引きちぎろうと試みる。




その時、空からまるでバケツをひっくり返した様な弾丸の雨がフリー目掛けて降り注ぐ。

フリーは両足からオメガと同じようにガスを噴射し、大きく後退して柱の影に逃げ込む。


『援軍か・・・』


フリーは柱の影からオメガ達の方向を見ると、先ほどの弾丸の雨とは違い一人の老人が立っていた。

白衣に黒色の杖を持ち、銀のマル縁眼鏡をかけ髭を蓄えた老人には隙がなく、さながら歴戦の英雄を思わせる。


『トトじい来てくれたのか』


『おまえ等があまりにも遅いから迎えに来たんじゃよ』


『っち、さっきのは援軍への合図だったのか。

それにてめぇは・・・』


フリーは先ほどの攻撃してきた場所の死角になるように移動する。


『久しぶりだなぁ、トトじい。

元気そうで何よりだよ』


ワイズマンの投げつけた炸裂粘液水晶(ヴェヌースラクリマ)を剥ぎ取ると、フリーは帽子を取り英国紳士の様な振る舞いでお辞儀をする。


『フリー・・・

悪いがワシはお前さんと話す気にはなれんのじゃ』


『そうかよ・・・』


フリーの瞳はトトを見つめていた。

しかしその瞳は何処か寂しげで、まるで親しい友人が転校してしまったような。


『フリー引いてくれないか。

ワシはオメガ達を助けに来ただけじゃ、お前さんと争うつもりはない』


『見逃してくれるのかい、あんたの実力なら俺を倒すのは楽勝だろ』


フリーは挑発するように手招きをしている。


『下手な挑発には乗らんよ、手を引くのじゃフリー』


『わかったよ・・・

メリー、ワイズマン夜道には気をつけな。

それとオメガとか言う偽(コード)りの名(ネーム)とそこのお嬢ちゃん、また何処かでお会いしましょう。

今度は何処かお茶の飲める場所がいいですねぇ』



再び英国紳士の様なお辞儀をすると、フリーは闇の中へと消えていった。



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