凌辱の国。
凌辱の国 ピタ・ロイ
晴れだ。雲一つない素晴らしい陽気な空だ。けど晴れはあまり好きではないのだ。
僕は汗っかきだから、曇りの日がいいな。
そんな僕は今、凌辱の国にいる。なんて卑猥な名前の国なのだろう。純粋無垢な僕には少々過激な気がするけど、ここまで来たからには引き返すなんて事はしないよ。
中は異様な気配に満ち溢れていた。なんと言うべきか、本能に忠実な獣の気配とでも言えばいいのだろうか? なんだか余計分かりづらくなった気もする……。
とにかく、ここは異常と言う事だけは確かに言えると思う。
進んでいくと、何故ここが凌辱の国なのかが分かった。うん。名前に偽りなしだね。
一本道だ。両端には短い壁がいくつも並んでいた。
その壁の上部には、二つの鎖が繋がっていた。その先を目で辿って行くと、輪っかが見えた。
あれは俗に言う手錠と言うものだろうか? 僕とは縁もゆかりも無いので良く分からない。
まあ、ここまでは普通の光景だ。けれど、この手錠に全裸の女性が繋がれているとなれば話は変わる。全然普通じゃないよね?
それが何人、何十人と同じように繋がれているのだ。もう気が狂いそうだよ。
そんな中を歩き続ける僕もどうかと思う。けれど先を見たくなるのは男の本能だからね。
先へ進むと全裸の女性の傍に男がいる光景をチラホラと見た。男は総じて筋骨隆々の怖そうな人ばかりだ。僕なら目があっただけで逃げ出したくなるような人達だ。
そんな人達が全裸の女性と……。まあ、イケない事をしているのだ。
そこには羞恥などと言う感情は感じられない。ただ、自らの欲を発散さているだけに過ぎないようだった。僕には、それが良く分からない。けれど、分かる事は、僕はここがあまり好きじゃないという事かな。
人の行為をまじまじと見るのも趣味が悪いけど、歩いているだけで目に入るのだからしょうがない。
女の人は色々だった。二十代や三十代らしき人。五十代くらいのおばさん。十代やそれ以下
にしか見えない少女。
僕は震えが止まらなくなった。暑い筈なのに身が凍えそうな気さえした。
女性達の状態を案じているわけではない。少女と呼べる歳の女性が全裸で鎖につながれて
男共の性欲処理に利用されているからでもないんだ。
笑っていた。全員みんな。ぐちゃぐちゃに犯されながら、笑っていた。
おかしいよ。ここ。もうやだよ。僕。
帰るよ。僕はね。こんな場所、さっさと去ろう。
けれど――――最後に、一回だけ……。