始まりは約束から。
このお話は。少年少女、四人による旅行記である。
少年少女は旅をした。あらゆる国を巡り、その記録を残した。
何故そのような事をしたのか? そんな事は本人に直接聞いてくれ。私はただの語り部。
このお話には必要のない、余所の者なのですから。
そうだ、ここらで四人を紹介しましょう。
何事も最初は、理解することが大切です。そしてそれを納得して初めて進む事が出来るのです。
少年。ザン・キルム
少女。セツロ・ラーシー
少年。ピタ・ロイ
少女。クスザラ・ベルマ
これだけかって? 先程も言ったでしょう。私は余所者。多くを語ることは無いのです。
大丈夫。心配することはない。あなたは理解できます。理解できないことなどないのです。
ややこしく考えるからいけないのです。さあ、シンプルに、物事を考えるのです。
無理に頭を使うことはない。そんな事をしたら、折角の一生が無駄になってしまう。
全ては簡単。考えるのは少しだけ。そうすれば、一生のうちの使える時間が増えるのです。
この世界は駄目だ。
何もかも、理解をするのに時間がかかり過ぎている。そのせいで、一体何人もの一生の時間が減って言っているだろう……。
人類の祖先を見習え。
あの方達はシンプルだ。考えることなどほとんどしない。
人類は便利になり過ぎた。なり過ぎたせいで、人類は考えることに時間を費やした。
なんと愚か。なんと無様。なんと屑なのだろう。
おっと、失礼。でしゃばり過ぎました。
それでは、これからお話は始まるでしょう。
少年と少女による旅行記。そこには何が書かれているのでしょう?
そして、どこに行ったのでしょう?
皆さん。考えてはいけません。
なにも、なにも考えずに、いる事が大切です。
考えは人を愚かにする。
この旅行記を読む時も、考えてはいけません。
これは、この余所者との約束です。
この約束を守ってくれると、私は信じております。
それでは、みなさん。これより旅行記の始まりで御座います。