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その七

「……それは酷い」

 顔を(しか)め、杯を乾す。「知識神ウルシム、冥界の女帝ハーム(ザーハムラーム)、鍛冶神の再来アラヒーン、這い寄る恐怖(ストーキング・フィア)オートアン、聖皇パルジヴァル、復讐者(リベンジャー)ラガン……このうちの何人かと組んでいる時点で失敗を想像出来ないんですが、気の所為ですかね?」

「人間の域を超えている聖職者、世界最強の魔導師、優秀な戦士にして鍛冶師の山小人(ドヴェルグ)の長、人類史上最高の暗殺者、一騎打ちだけで云えば国士無双、それに初代山賊王。どれもこれも伝説の英雄。それに付け加えて剣聖柴原雷刃。うん、頭おかしいね、この探索隊(パーティ)

 イアカーンは思わず笑い出す。

「どう考えても、そんなの相手していたら商売あがったりなんですがねえ」

 苦い表情で手酌をしながら、慶一郎はぼやいた。

「大丈夫。今の時代にはいないから、多分、屹度、おそらくは……」

 だんだんと自信が無くなってきたのか、最後は考え込むかの様にイアカーンは言う。「父上と母上は神界でいちゃついている筈。アラヒーン小父さんは英雄神として祀られているし、オートアン小父さんは今どこに居るか不明。パルジヴァル陛下は父上に見張られていて、ラガン小父さんは神界で隠居中。うん、よっぽど暇を余らせていない限り、現世には干渉していない筈だよ。……それにしていたら、僕の仕事量が減っている筈だしねえ」

 深々と溜息を付き、思わずイアカーンは天を仰いだ。

「ん~、いくつか気になる表現があったんですが、気の所為ですかね?」

 胡乱(うろん)な目付きで慶一郎は首を傾げる。

「オートアン小父さんは本当に僕じゃ読めないから仕方が無い。あの人、野小人(ヴィヒトメンシェン)生まれだから、本質が掴めないんだよ。基本原理が楽しいから、楽しそうだから、面白いと思ったから、気が乗ったから、そんなのばかりだよ? もうね、その上、運の良さだけは天下一品。流石にどうやっても計算出来ない。世界で唯一人、うちの父上様の背後を取れた本物の化け物だし。英雄神になってもそこら辺が変わっていないから、僕如きではとてもとても」

 今までで一番深い溜息を付き、イアカーンは首を横に何度も振った。

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